1955年に創業したコルムが、12年間にわたり傘下にあった中国・香港の企業シティチャンプ・ウォッチ&ジュエリー グループから離脱し、再びスイス資本のもとへと帰還した。マネジメント・バイアウトを主導したのは、32歳のセールスディレクター、ハソ・メフメドヴィッチ。彼は新たにCEOおよび取締役会会長に就任し、アイコニックなコルムの復権を目指す。2026年にはグローバル・リローンチも計画されている。
セールスディレクターのハソ・メフメドヴィッチ率いるチームによる買収
12年間、中国・香港企業の傘下にあったコルムが、再びスイス資本のもとに戻った。1955年にラ・ショー=ド=フォンで創業されたこのブランドは、設立70周年を目前にして新たな転機を迎えている。
長らく中国・香港のシティチャンプ・ウォッチ&ジュエリー グループの所有下にあったコルムであるが、この時代は終焉を迎えた。ブランドは現在、100%スイス資本へと戻っている。これは、セールスディレクターのハソ・メフメドヴィッチが主導するマネジメント・バイアウト(MBO)によって実現したもので、複数のスイス人投資家の支援を受けている。
新CEOハソ・メフメドヴィッチ

わずか32歳ながら、メフメドヴィッチはすでにコルムにとって「古参」ともいえる存在だ。2011年に若き時計技師として入社し、その後販売部門でキャリアを積み、最終的にセールスディレクターに就任。そして今回、CEO兼取締役会会長としてブランドを率いることとなった。コルムおよびそのファンにとっては朗報である。創造的な製品で知られるこのブランドは、かつての市場的地位を取り戻すポテンシャルを秘めている。
コルムが誇るアイコニックなモデルには、ヴィンセント・カラブレーゼが考案した棒状ムーブメントを搭載する「ゴールデンブリッジ」や、旧オーナーのセヴリン・ワンダーマンが2000年前後に発表した「バブル」、人気の「アドミラル」、さらには20アメリカドル金貨「ダブルイーグル」をダイアルに用いたコインウォッチなどが挙げられる。
近年はやや沈黙気味だったコルムだが、2024年晩夏にはユニークピース「ゴールデンブリッジ・サーペント」を発表し、再び注目を集めた。
2026年にブランドのリローンチを計画
なお、シティチャンプグループは今後もスイスの時計ブランド「エテルナ」を保有するが、コルムの売却はこの体制に影響しないという。
メフメドヴィッチ新CEOは、2025年はブランドにとっての移行期間と見なしており、創業70周年という節目についても大々的な取り扱いは予定していない。それに対し、2026年半ばにはブランドのグローバル・リローンチが予定されている。