Q:時計への衝撃、どれくらいならOKなの?
普段時計を腕に巻いていて、あまり気付かないのが時計へのショック。もっとも、私たちが連想するショックは2種類に分けられます。ひとつは物体が移動する時に発生する「振動」。例えば、腕を振った際に時計に掛かる外力は振動になります。
A : ロービートの時計では、振動を与え続けると精度に悪影響が生じる
A:多くの場合、振動はほとんど問題になりませんが、振動数が1万8000振動/時や1万9800振動/時といったロービートの時計では、振動を与え続けると精度に悪影響が生じます。
一方、時計を直接ぶつけた際に掛かる外力が「衝撃」です。衝撃は、時計へのダメージとなります。そのため量産メーカーのほとんどは、一般的な衝撃テスト(ISO 1413またはJIS B7001)をクリアしています。その条件は、1mの高さから、木の床に落としても影響がないこと。なお2016年にISO 1413は改定され、3kgのプラスティックハンマーを振り子のように動かして時計に2回当て、機械式時計の場合は、衝撃を与えない状態と比べて、30秒以内の精度に戻ることが求められるようになりました。時計メーカーのうたい文句で、5000Gの耐衝撃性があると書いてある場合、この基準を満たしていると考えていいでしょう。なおISOの改定を受けて、JIS B7001も改定されました。基準の内容はISOよりも厳しく、今後、JISの内容がISOにも反映される可能性があります。
ISOやJISはさておき、機械式時計であれば、拍手程度の衝撃でも、ヒゲゼンマイが歪んだり、緩急針が移動したりして、精度が悪化する場合があります。緩急針を持たないフリースプラングテンプ(自由振動ヒゲ)であれば衝撃には強くなりますが、それでも、ゴルフやテニスは極力避けた方がいいでしょう。もちろん、ゴルフやテニスに耐えられることを明言した時計であれば、基本的には問題ありません。日常生活においての衝撃が気になる方は、フリースプラングテンプの時計を選ぶべきでしょう。
ゴルファーのために作られた機械式ゴルフウォッチブランドがヤーマン&ストゥービ。「Ref.STI」では1ホールあたりのストロークカウンターとゲームの累計ストロークカウンター、さらにプレイするホールを表示するホールカウンターを搭載する。もちろんインパクト時に加わる衝撃への対策も取られており、搭載されるCal.A10の周りをラバーで支えることで、ムーブメントに掛かるショックを吸収している。