アクアノートの魅力はどんなところ? 種類や代表モデルを紹介

FEATUREその他
2021.09.09

アクアノートの種類について

「アクアノート」の変遷を見ていこう。現行モデルは、初期モデル、第2世代モデルの設計思想を踏襲し、多くの派生形を生んでいる。

初期モデルと特徴

アクアノートの初期モデルは、1997年に発表された「5060」である。現行モデルから見ると小ぶりなケース径35mm(ミディアム)は、装着すると上品な存在感を放ってくれる。

文字盤に施されたエンボス加工の彫りが深いため、装飾に目が行きやすく、現行モデルに比べるとややインデックスの視認性は低い。また、このモデルはソリッドバックであり、ムーブメントを見ることはできない。

なお5060は発売から1年足らずで販売終了された幻のモデルであり、元祖アクアノートという位置付けも相まって、非常に希少価値が高いモデルだ。

パテック フィリップ 5060/1A

5060/1A
1997年に発表された当時の新世代に位置付けられるスポーティーウォッチ。上の写真は5060に後の5066のブレスレットを取り付けた個人所蔵の個体。ノーチラスと同じ12気圧の防水性能を与えるため、ベゼルとミドルケースを一体化させている。自動巻き(Cal.330 S C)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。SS(10時〜4時方向の径35.6mm)。

第二世代と特徴

パテック フィリップ 5065A

1998年に発表された「5065A」。ケースサイズは38mmにアップして判読性を高めるとともに、ケースバックをシースルー仕様にしている。ムーブメントはCal.315 S Cを搭載。

5060が販売終了した1998年に登場したのが「5065」「5066」である。ふたつのモデルの違いはケース径と搭載するムーブメントで、5065は38mm(ラージ)と若干大きく、Cal.315 S Cを搭載。他方、5066は5060を引き継いだ35mmで、5060と同じくCal.330 S Cを搭載する。

文字盤のエンボス加工がやや浅くなったことで全体的な印象は控えめになったものの、これによりインデックスの視認性は向上。サファイアクリスタルバックの採用も大きな変更点だ。

ムーブメントはCal.330 S CとCal.315 S Cを搭載し、トルクの伝動効率と信頼性の高いモデルとなっている。現在でもファンの多い人気モデルだ。

パテック フィリップ 5066A

「5066A」も1998年に発表された。こちらのケースサイズは「5060」と同様の35mmで、同じムーブメントCal.330 S Cを搭載する。ケースバックはシースルー仕様に変更された。

現行モデルと特徴

パテック フィリップ 5167A

5167A
自動巻き(Cal.324 S C)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。SS(10時〜4時方向の径40mm)。12気圧防水。207万円(税別)。

アクアノートの現行モデルは、カラーやサイズなど、多彩なバリエーションが展開がされている。その中でも最もスタンダードなモデルが「5167A」だ。

5167Aには第2世代から大きな変更が加えられている。ケース径は40mm(エクストララージ)となり、重厚感が増したことに加え、インデックスの数字を大きく、目盛りを小さく、装飾をシャープにすることで判読性が非常に高くなっている。

さらにストラップの溝も浅くするなど、第2世代よりも全体的に洗練されており、スポーティーかつ先進的な印象を強めている。

ローズゴールドモデルも展開

パテック フィリップ 5167

5167
自動巻き(Cal.324 S C)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KRG(10時〜4時方向の径40mm)。12気圧防水。387万円(税別)。

機能面のバリエーションでいえば、アクアノート・トラベルタイム「5164A」は、Cal.324 S C FUSを採用し、デュアルタイムを表示する。

パテック フィリップ 5164A

5164A
自動巻き(Cal.324 S C FUS)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。SS(10時〜4時方向の径40.8mm)。12気圧防水。371万円(税別)。

アクアノート・クロノグラフ「5968A」は、クロノグラフムーブメントCal.CH 28-520 Cを採用し、オレンジのセンター針はクロノグラフ秒針、サブダイアルは60分の積算計となっている。


アクアノートの代表的なモデル

最後に「アクアノート」にまつわるエピソードを見ていこう。現行モデルの定番である5167Aの魅力もさらに掘り下げて紹介する。

希少な初期モデル アクアノート 5060

パテック フィリップの時計は、オークションに出品されて高額で落札されることも多い。それゆえ、アクアノート初期モデルともなれば、その希少性の高さから1000万円単位の値がつくのも不思議ではない。

2011年にジュネーブで開催されたオークションに、本来は出回らないはずの「5060」のプロトタイプが出品されるという一幕があった。

真贋が問われる一品であったものの、これは最終的に日本円にして4000万円を超える額で落札されたという。さらにパテック フィリップのウォッチは、億単位の値で取引されてメディアを賑わせることも少なくない。

現行の基本モデル アクアノート 5167A

パテック フィリップの時計は、ほとんどの工程がすべて手仕上げで行われている。しかも設計上の仕様から寸分違わぬ品質で製品化されるという信頼性の高さも大きな魅力である。

このパテック フィリップの基準を満たす時計であることを認定する「パテック フィリップ・シール」は、最高級スイスウォッチの証しであるジュネーブ・シールの品質規定を上回るとされる。

アクアノートの現行モデル「5167A」も、もちろんパテック フィリップ・シールを取得。100件以上に及ぶ技術特許を保有するパテック フィリップのマニュファクチュールの伝統を、余すところなく体現する逸品だ。


アクアノートの良さを知ろう

より美しく洗練された時計を求めれば、いつかはパテック フィリップにたどり着くという。

その中でも、着用するシーンを選ばないのが「アクアノート」だ。偉人たちが愛したトップブランドが放つ現代の逸品を、ぜひ手にとってほしい。


Contact info:パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター Tel.03-3255-8109


川部憲 Text by Ken Kawabe


【アイコニックピースの肖像】 パテック フィリップ 「アクアノート」

https://www.webchronos.net/iconic/33315/
【スペックテスト】 パテック フィリップ 「アクアノート・クロノグラフ Ref.5968A」

https://www.webchronos.net/specification/32678/