GMT機能を使ってみよう
ふたつのエリアそれぞれの時刻を同時に読み取ることを可能にする、GMT機能のメカニズムを理解できただろうか。
それでは、搭載されたGMT機能の具体的な使い方について見ていくことにしよう。
GMT機能の使い方
GMT機能の使い方について、代表的な4針タイプを例に説明しよう。時針・分針・秒針、そしてGMT針だ。
腕時計には針を回転させるためのリュウズが装備されている。そして、それは2~3段階で引くことができる仕様がほとんどである。
リュウズを1段引いて回すと、時針もしくはGMT針のみが回転する。この調整では、「時」のみを合わせることができる。
2段階式では、もう1段階引くと時針と分針、そしてGMT針すべてが連動して動くことが多い。
さらに3段階式では、日付表示を早送りして修正できるものもある。それぞれ細かな違いはあるが、基本的な操作はほぼ同じである。
合わせ方の例
GMT機能の使い方を前項で説明したが、実際に日本ともう1カ国を想定して、合わせ方をイメージしてみよう。
まず、時針とGMT針を同期させよう。GMTはグリニッジ時刻を基準とした時差の調整なので、まずリュウズを1段もしくは2段引いてGMT針を0時にセットする。
次に、ホームタイムとなる日本時間を設定する。リュウズを2段もしくは1段引いて、GMTとの時差分だけ時針を進めることで、GMT針と時針を同期できる。
その後、時針を日本時間に合わせよう。これでGMT(イギリス時間)と日本の2カ国の時刻を同時に表す状態になった。
GMT搭載の人気モデル
仕事で国境を越えて飛び回るビジネスパーソンや、海外に住む家族や友人を想う人などにとって、GMT機能はとても心強いものだ。
このようにビジネスライフや日ごろの暮らしをサポートしてくれるGMT機能搭載の人気モデルを、厳選して紹介しよう。
グランドセイコー「ヘリテージ コレクション」Ref.SBGN013
クォーツ(Cal.9F86)。年差±10秒。SSケース(直径40mm、厚さ12.2mm)。38万5000円(税込み)。(問)グランドセイコー専用ダイヤルTel.0120-032-617
日本が世界に誇る時計メーカーであるセイコーが1960年に世に送り出した高級ブランド、グランドセイコーからは、「ヘリテージコレクション」のRef.SBGN013を紹介したい。ブラック文字盤に赤いGMT針とロゴが映える1本だ。
シンプルでビジネススーツに合わせやすい意匠に加えて、グランドセイコー“究極”のクォーツ式ムーブメントであるCal.9F系の、Cal.9F86を搭載していることもおすすめしたい理由である。一般的にトルクが弱いとされているクォーツウォッチに力強い時分秒針とGMT針を載せているが、「4軸独立ガイド構造」により、それぞれの針は互いに干渉することなくなめらかに動く。さらに、時差修正時も時計が止まらないため、9Fムーブメントの年差±10秒という高精度を損ねないのだ。
意匠からも機能からも、グランドセイコーのウォッチメイキングの真髄を味わえるGMTウォッチと言えるだろう。
チューダー「ブラックベイ GMT」
自動巻き(Cal.MT5652)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径41mm)。200m防水。61万3800円(税込み)。(問)日本ロレックス/チューダー Tel.0120-929-570
チューダーが半世紀にわたって製造していたダイバーズウォッチ「サブマリーナー」を思わせる意匠と、優れた性能を有する「ブラックベイ」。2012年の誕生以来、チューダーを代表するコレクションとして、多彩なバリエーションが展開されている。このバリエーションに18年に加わったのが、「ブラックベイ GMT」である。
1970年代のチューダーのダイバーズウォッチから受け継がれているスノーフレーク針や、サテン仕上げが基調となったいかにも堅牢なケースが、ブラックベイらしい魅力となっている。また、ツートーンカラーで分けられたベゼルはインサートがアルミニウム製となっており、リベットブレスレットと相まってレトロな趣で、モダンなGMTウォッチとはまた違った味わいを楽しめるだろう。
一方で搭載する自動巻きムーブメントCal.MT5652は、パワーリザーブ約70時間と、現代的なスペックだ。
円安や原材料高騰などの影響で時計の値段が上がり続けている昨今、まだ60万円台(ファブリックストラップモデルは税込み56万8700円)という良心的なプライスレンジも、本記事でおすすめGMTウォッチとして取り上げたい、大きな理由のひとつである。
ブライトリング「アベンジャー オートマチック GMT 44」
自動巻き(Cal.32)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径44mm、厚さ12.05mm)。300m防水。ブレスレットモデルが73万7000円、ストラップモデルが69万8500円(いずれも税込み)。(問)ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707
ジェット機のコックピット内での使用がコンセプトである「アベンジャー」。タフネスや優れた視認性、操作性を有することが特徴であり、また、こういったユーティリティーを象徴するような計器然とした意匠が特徴だ。20年以上にわたって製造され続けてきたこのロングセラーが、2023年11月にリニューアルを果たした。
「アベンジャー オートマチック GMT 44」も、リニューアルして登場したモデルのひとつだ。ケース直径は44mmと大ぶりであるものの、ケースが薄型化。また、太すぎないラグや、ケースの稜線にあしらわれた面取りによって、シャープな印象が際立つ。
ブライトリングというとクロノグラフのイメージが強いが、GMTウォッチでも要注目のブランドと言える。
タグ・ホイヤー「アクアレーサーGMT キャリバー7」
自動巻き(Cal.7)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径43mm、厚さ12.80mm)。300m防水。45万6500円(税込み)。(問)LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤーTel.03-5635-7054
ブラックをベースとした文字盤から、機能性の高さと汎用性に対する自信がうかがえるモデルがタグ・ホイヤー「アクアレーサーGMT キャリバー7」だ。レッドのGMT針がほどよいアクセントを生んでいる。
無駄な主張をしないシンプルなデザインだが、しかし単調さを感じさせない。性能を追求した機能美にあふれる上質さがにじむ時計だと言える。
その他の性能面も申し分ないレベルだ。300mの防水性能も十二分のレベルである。文字盤の視認性も高く、見る者に情報を的確に届けてくれるだろう。
ハミルトン「カーキ アビエーションX-ウィンド GMT クロノ クォーツ」
クォーツ(Cal.G10.962)。SSケース(直径46mm)。100m防水。15万6200円(税込み)。(問)ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパンTel.03-6254-7371
1892年のアメリカにおいて、高い技術で時計の製造にあたっていた中小企業の集合体として誕生したブランドが「ハミルトン」だ。以来、高品質でデザイン性の高い時計を生み続けている。
そのハミルトンから「カーキ アビエーション X-ウィンド GMT クロノ クォーツ」を紹介しよう。直径42mmの大型ステンレススティール製ケースが採用され、航空学に基づいた緻密な設計がなされたモデルである。
そもそも腕時計におけるGMT機能は、パイロットの要請から生まれたものだ。その意味において本作は、空を駆け巡るパイロットたちから得たノウハウが凝縮された、実用性に富んだ1本と言えるだろう。
GMT機能搭載モデルを着けてみよう
時を刻む時計に求めるものは、人によって異なるだろう。もちろん、必要とする機能も人それぞれだ。
同時に複数のタイムゾーンの時刻を表示してくれるGMT機能を搭載した腕時計は、手にする人の世界観を広げてくれるだろう。そんなGMT機能搭載モデルを、旅のおともとして、そしてビジネスパートナーとして、ぜひ着けてみてはいかがだろうか。
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