パテック フィリップの魅力。その特徴や要チェックモデルを紹介

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2021.06.17

パテック フィリップの注目モデル

パテック フィリップ2019年新作モデルのなかから、注目したい3本を紹介する。

これらはいずれもサファイアクリスタルのトランスパレントバックを採用しており、最新のムーブメントを鑑賞可能だ。

コンプリケーション 5212A-001

Cal.26‑330 SCJ SE

新開発の自動巻きムーブメント「Cal.26‑330 SCJ SE」を搭載。手書き風の数字と文字が新たな魅力を創出している。59石、パワーリザーブ最大45時間、ステンレススチールケース、ケース径40mm。3気圧防水。価格365万円(税別)。

『5212A-001』は、パテック フィリップの新しい複雑機構『ウィークリー・カレンダー』を搭載している。

日付を3時方向の窓表示、曜日と週番号を文字盤上で指針表示する。これに伴い、特別にデザインされたキャリバー26‑330 S C J SEが採用された。

カラトラバとしては情報量は多いが、シルバー粒子仕上げのオパーリン文字盤に、太い針とブラック仕上げゴールドの植字インデックスを配したことで視認性が高い。

アクアノート5168G-010

アクアノート

新しい可能性を広げるカラーリングを採用した『アクアノート』。自動巻きムーブメント「Cal.324 S C」搭載。29石、パワーリザーブ最大45時間。18Kホワイトゴールドケース、ケース径42.2mm。12気圧防水。価格433万円(税別)。

「アクアノート 5168G-010」は、ケース径42.2mmの『ジャンボ』モデルの新作である。

新色となるカーキグリーンは、冒険心や地平線をイメージしており、過去モデルよりカジュアルでアクティブな印象を強めている。

ホワイトゴールドのケースはポリッシュ仕上げとサテン仕上げを交互に施すことで、薄型ながら立体感を盛り込んでいる。

大ぶりなサイズ感だが総厚8.25mmと薄く、折り畳みバックルによって厚みを最小限に抑えているため、アクアノートの大きな特徴のひとつである快適な装着感は変わらない。

ノーチラス 5726/1A-014

Cal.324 S QA LU 24H/303

自動巻きムーブメント「Cal.324 S QA LU 24H/303」搭載。曜日、日付、月のカレンダーを小窓で表示。ムーンフェイズと24時間表示を6時位置に備える。ステンレススチールケース、ケース径40.5mm、12気圧防水。価格501万円(税別)。

「ノーチラス 5726/1A-014」は、年次カレンダー、ムーンフェイズ、24時間表示を搭載した5726/1Aの新色だ。

ファーストモデル『Ref.3700/1A』のデザインを踏襲した水平エンボス仕様であり、外周に向かってブルーからブラックに変わるグラデーションが、より一層ケースとのコントラストを際立たせる。

窓表示を12時方向と6時方向に配したことでスマートな印象が高まり、太くなった夜光時分針を重く感じさせず、自然に視認性の高さを享受できるデザインだ。


パテック フィリップの販売店に足を運ぼう

パテック フィリップの時計は、世界最高水準の品質基準を満たすために『手仕上げ』が行われる。

たとえば、熟練職人がひとつひとつ手作業で植字するインデックス、歪みを生じさせないために毛髪やフェルトのディスクで力を加えず行われるポリッシュ、といったものだ。

これらは、肉眼でほとんど確認できないほどの微細な調整を行う。パテック フィリップの時計は、販売店で直に見てこそわかること、実際に使用してこそ気付くことが多い。これぞパテック フィリップの人気を支える理由かもしれない。

国内30カ所の正規販売店

日本国内には、パテック フィリップの正規販売店が30カ所ある。情報は公式サイトで確認でき、これらに含まれないものはパテック フィリップの認可を受けていない販売店ということだ。

販売店によっては、1フロアをパテック フィリップ専用にしていたり、ほんの数本の取り扱いであったりと在庫するモデル数に差があることも。目当ての1本がチェックできるか、まずは電話確認してみるとよいだろう。

日本唯一のパテック フィリップ ブティック

東京・青山にある「スフィア パテック フィリップ ブティック 東京」は、ミラノ、フランクフルトに次ぐ世界で3店舗目の「パテック フィリップ ブティック」である。

正規販売店のなかには、パテック フィリップが信頼の証しとして特別に指定した「パテック フィリップ ブティック」がある。

日本においては、東京・青山の「スフィア パテック フィリップ ブティック 東京」がそれだ。スイス本国の直営店と同等のサービスを受けられるブティックであり、世界約40店舗のうちミラノ、フランクフルトに次ぐ世界で3番目に認可を受けたブティックである。

世界3カ所にある特別なサロン

パテック フィリップでは直営店を「パテック フィリップ サロン」と呼び、世界には3カ所のみを用意する。

1番目のサロンはジュネーブのローヌ通りにある。これは1853年から本社としても利用されてきたいわばパテック フィリップの「ホーム」である。

ここにはティファニーが1876年にジュネーブを去るときに譲り受けたふたつの金庫が展示されており、両者の関係を伝えている。

2番目のサロンはパリのヴァンドーム広場にある。ここは時計宝飾の中心地であり、サロンは歴史的建造物の一角に置かれている。

3番目のサロンが開設されたのはロンドンのニュー・ボンド・ストリート16番地だ。ここでは、時計師が調整を行う様子をウィンドウ越しに見学することができる。


サポートとケアについて

パテック フィリップが自社製品に課したジュネーブシール以上に厳格な品質基準『パテック フィリップ・シール』は、アフターサービスも認定基準の重要なポイントとなっている。

これは同社が、時計の所有者に世界最高レベルのカスタマーサービスを提供することを責務と考えるからだ。

サイトの記載に沿って手入れを

腕時計は、機械式でもクォーツ式でも5年に一度のオーバーホールが推奨されている。

時計を長持ちさせるためには、修理、修復が必要となる前に、オーバーホールなどを通して時計の所有者自身が適切な手入れを行うことが重要だ。

公式サイトには部品ごと、あるいは場面ごとの手入れ方法が掲載されている。手入れ方法の解説には事前に目を通しておこう。

永久修理が保証されている

パテック フィリップのすべての腕時計は、オーバーホールや修復、修理が永久保証されている。

所有する時計がどんなに古いモデルであっても、また所有者が何世代変わっても、変わらないアフターサービスを約束しているのだ。

メンテナンスが必要になった際は、公式サイトから最寄りのサービスセンターを検索し、時計を引き渡して見積もりを受けよう。

オーナー登録で独自の情報誌を購読

パテック フィリップは、創業当時から180年間に販売した時計を網羅した販売台帳を保存している。

そして同社の時計の所有者となったなら、公式サイトから「オーナー登録」をしよう。すると、オーナーだけに送られる特別な雑誌を無料定期購読できるのだ。

登録にあたっては、時計の型番とムーブメントの製造番号が必要となる。先代から引き継いだ時計だとしても新たなオーナーとして登録されるため、中古であっても問題ない。


卓越した職人技のなせる品々

パテック フィリップは、幾度もスイス時計産業界を襲った危機を乗り越えて独立経営を続けてきた。培った技術とノウハウは、1839年に「パテック チャペック社」が創業して以来絶えることなく今に受け継がれている。

資本関係に左右されない、完全に自由なマニュファクチュールであるパテック フィリップは、たったひとつの時計をつくり上げるために数カ月、数年を費やすことも稀ではない。

業界をリードし続けてきた伝統の蓄積と熟練職人の技は、使う者の感性を揺さぶる。そんな体験をパテック フィリップは約束してくれる。


川部憲 Text by Ken Kawabe