腕時計のベゼルとは。ベゼルの種類や用途を理解して使ってみよう

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2021.03.20

目盛り付きのベゼルの種類

目盛り付きのベゼルには回転式のものが多く、腕時計の機能面で大きな役割を担っている。目盛り付きのベゼルの主な種類と、それぞれの特徴を紹介しよう。

ダイバー向けのカウントアップベゼル

プロスペックス マリーンマスター プロフェッショナル SBDX014

逆回転防止ベゼルを搭載した飽和潜水用ダイバーズ。セイコーがこれまで培ってきたダイバーズウオッチのノウハウを凝縮した。セイコー「プロスペックス マリーンマスター プロフェッショナル SBDX014」。35万円。

「カウントアップベゼル」とは、ベゼルに刻まれた目盛りの数字が時計回りに増えていくタイプのベゼルだ。ベゼルは反時計回りに回転する。

潜水時間の正確なカウントを求められるダイバーズウォッチのベゼルとして主に採用され、反時計回りにしか回転しない仕様になっているため、『逆回転防止ベゼル』とも呼ばれている。

この機能により、仮にベゼルがなんらかの原因で回転し、数字が変わったとしても、エアタンクの残量や無減圧潜水時間がより少なくなったことを示すことになる。これにより、規定時間以上、潜水するリスクを避けることができるのだ。

このように、逆回転防止機能はダイバーの安全を確保する重要なパーツとなるため、ダイバーズウォッチ規格においては、逆回転防止ベゼルなどのタイムプリセクティング装置誤操作防止機能を有することが規定されている。

目盛りが反転しているカウントダウンベゼル

104.ST.SA

ジンの基本的精神を継承したパイロットウォッチ「104.ST.SA」。通常とは異なるなる結合方式を採用しており、不意の衝撃でもずれることがない。価格22万円。

「カウントダウンベゼル」は、一般的には両方向に回転する。ベゼルには55から0までの数字が5刻みで時計回りに記される。

ベゼルの回転方向はカウントアップベゼルと同じだが、刻まれた数字の配置が異なるため、ベゼルが示す数値の意味も異なる。

実質的にはカウントアップベゼルで残り時間も測定できるため、カウントダウンベゼルを採用している腕時計はそれほど多くないのが現状だ。

ダイバーズ系より、ミリタリー系やパイロット系の時計で採用されていることが多い。その理由は、軍事攻撃などで用いられてきたため。砲撃した後に着弾するまでの時間を計測するためなどに使用された。

旅行などに役立つGMTベゼル

オイスターパーペチュアル GMTマスターⅡ

ベゼルを昼夜12時間ごとに色分けし、視認性を高めたGMTベゼル。写真はブルー×ブラックを採用したロレックス「オイスターパーペチュアル GMTマスターⅡ」の2019年モデル。価格88万円。

「GMTベゼル」は、両方向に回転し、第2タイムゾーンを表示させるベゼルだ。

GMTベゼルを搭載した時計は、現在自分のいる場所の時刻だけでなく、ベゼルによって他の地域の時刻を同時表示できるため、世界をかけるトラベラーにとって必需品といえるだろう。

ベゼルに24時間の時刻が表示され、文字盤の中央から伸びたGMT針が、第2タイムゾーンの時刻を指し示す仕様となっている。

一般的に、より視認性を高めるため、GMT針は時針・分針・秒針とは色や形の違う特殊な針が使われている。また午前と午後で色分けされたモデルもあり、その利便性とデザイン性の高さからも人気があるベゼルだ。

クロノグラフ用のタキメーターベゼル

「タキメーターベゼル」は、主にクロノグラフ(ストップウォッチ)が搭載された時計に採用されるベゼルだ。

時速の計測をメイン機能とし、クロノグラフで1km移動した際の所要時間を計り、クロノグラフの秒針が指し示すタキメーターの数値を読み取れば、移動距離内での平均時速が分かる仕様になっている。

タキメーターベゼルは、他の目盛り付きベゼルと異なり、ベゼルが回転しないことが特徴だ。

通常の生活において、時速計測機能に必要性を感じないかもしれないが、クロノグラフのメカニカルなイメージを際立たせ細やかな数字が刻まれる様子は、魅力となっている。


ベゼルへの理解が楽しみを増やす

本来、時計の風防を固定する役割を持つベゼルは、時計の多機能化に伴い、機能面でも重要な役割を担うようになっている。

また、デザイン面においても、時計の性格を決定付けるほどのインパクトを与えるパーツとして重要なポジションにある。

多様化するベゼルの特徴を理解することで、腕時計をより幅広く楽しめるようになるといえるだろう。


川部憲 Text by Ken Kawabe