Q:時計好きが注目するイベント、オンリーウォッチとは?
A :時計好きにとっての恒例イベントとなりつつあるのが、オンリーウォッチというオークションイベントです。名前の通り、出展されるのは各メーカーのユニークピースのみ。これはデュシェンヌ型筋ジストロフィーの研究支援を目的とする慈善オークションで、2005年以降、隔年で開催されています。2019年は、52のメーカーが参加し、11月9日日本時間22時よりジュネーブのオテル・デ・ベルグで行われました。
オンリーウォッチのために新規開発されるモデルも
創設者はモナコ・ヨットショウの創設者であるリュック・ペタヴィーノ。このショウを世界的なイベントに育て上げたペタヴィーノは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに苦しむ息子の病気を研究するため、スウォッチ グループなどの協力を得て、オンリーウォッチを開催。モナコ大公のアルベール2世が公演することで、世界的なプレステージを持つイベントとなりました。
時計好きが注目する理由は、他にはないユニークピースを手に入れることができるため。かつては文字盤だけを変えたモデルが少なくありませんでしたが、近年はこのイベントのためだけに特別なモデルを製作する、F.P.ジュルヌのようなメーカーも増えています。
注目の高まりを反映して、2019年はモナコ、ドバイ、パリ、ロンドン、ニューヨーク、東京、シンガポール、香港、台北、そしてジュネーブで下見会が開催されました。
なお、このイベントの収益の99%は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの研究に充てられてきました。そういった透明性も各メーカーに好まれる一因、と言えるでしょう。
F.P.ジュルヌが本イベントのために特別に製作した「アストロノミック・ブルー」。ミニッツリピーター、均時差表示、トゥールビヨンに年次カレンダーなど、18の機能を持つF.P.ジュルヌ史上最も複雑な時計である。落札予定価格が30万〜60万スイスフランだったのに対し、落札価格は180万スイスフランと大幅に上回った。