初めてドレスウォッチを選ぶなら。おすすめの10ブランドと取り扱いについて解説

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2024.07.06

ドレスウォッチのおすすめブランド

ドレスウォッチをこれから購入する読者に向けて、着用シーンにふさわしい品質や審美性、さらにステータスといった観点から、おすすめの10ブランドを紹介する。

A.ランゲ&ゾーネ

A.ランゲ&ゾーネ サクソニア・フラッハ

A.ランゲ&ゾーネ「サクソニア フラッハ」
直径37mmのケースサイズに、シンプルなダイアルを組み合わせた「サクソニア フラッハ」。写真のモデルは18Kピンクゴールドケースとシルバーのダイアルを採用。ドレスウォッチにふさわしい、落ち着いたトーンでまとめられている。手巻き(Cal.L093.1)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KPGケース(直径37mm、厚さ5.9mm)。3気圧防水。336万6000円(税込み)。(問)A.ランゲ&ゾーネ Tel.0120-23-1845

ドイツ高級腕時計を代表するA.ランゲ&ゾーネは、多くのモデルがドレッシーである。

グラスヒュッテやドレスデンの伝統工芸に根差したストイックな時計製造を守り続けており、シンプルなラウンドケースに高度な技術を凝縮している。

「サクソニア」や「ランゲ1」が代表的なコレクションであり、また、創業者フェルディナント・アドルフ・ランゲの誕生年にちなんだ「1815」はクラシカルでエレガントな佇まいが魅力的だ。

すべてのモデルがトランスパレント(シースルー)バックであり、審美性を追求したムーブメントが鑑賞できる点もポイントである。

ジャガー・ルクルト

レベルソ・クラシック デュオ・スモールセコンド
レベルソ・クラシック デュオ・スモールセコンド
ジャガー・ルクルト「レベルソ・クラシック デュオ・スモールセコンド」
ケースが反転する機構を生かし、背面のダイアルに第2時間帯と24時間表示を搭載した、海外渡航時にも便利なモデル。表側のダイアルはギヨシェ彫りを施したシルバーグレー、裏側のダイアルはクル・ド・パリ装飾を施したブラックで、どちらもフォーマルで着用できる上品な表情に仕上げている。手巻き(Cal.854A/2)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SS(縦42.9×横25.5mm、厚さ10.31mm)。3気圧防水。190万9600円(税込み)。(問)ジャガー・ルクルト Tel.0120-79-1833

ハイレベルなウォッチメイキングで知られるジャガー・ルクルトは、非常に薄いムーブメントに画期的な発明を凝縮する。「ランデヴー」や「マスター」など、ドレスウォッチをメインとしたコレクションが充実しているが、中でも特徴的なのが「レベルソ」である。

このレクタンギュラーケースを備えた一見シンプルな腕時計は、ケースが180°回転することが大きな特徴だ。予期せぬ損傷から風防を守るために開発された仕掛けだが、現在ではこの特徴を生かし、表裏で異なる意匠を持たせるという独創的なキャラクターへとつながっている。

フォーマルシーンではオーセンティックなダイアルで装い、日常やちょっとした特別な予定の時には遊び心あふれる裏側のダイアルを……。などといったように、シーンや気分に合わせて意匠を変えても楽しいだろう。

ヴァシュロン・コンスタンタン

パトリモニー・マニュアルワインディング

ヴァシュロン・コンスタンタン「パトリモニー・マニュアルワインディング」
「パトリモニー」コレクションのなかでも、最もシンプルさを極めた手巻き式モデル。1950年代の時計に着想を得たアワーマーカーと時分針は、ダイアルの形状に合わせて緩やかなカーブを描き、優美な雰囲気が漂っている。ケース厚もわずか6.79mmのスリムサイズを実現したドレスウォッチの理想形。手巻き(Cal.1400)。20石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約38時間。18KWGケース(直径40mm、厚さ6.79mm)。3気圧防水。314万6000円(税込み)。(問)ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755

創業から270年近くを数える、老舗高級時計ブランドの「ヴァシュロン・コンスタンタン」。世界3大時計メーカーのひとつにも挙げられる。

ヴァシュロン・コンスタンタンのラインナップからは、プラチナやゴールドのクラシックなラウンドケースを基調とした、格調高いドレスウォッチが打ち出されており、これから購入を考えている読者にとって、良い選択肢となるだろう。

なかでも、ミニマリズムを極めた「パトリモニー」や、蓄積した技巧の歴史ともいえる「トラディショナル」といったコレクションがドレスウォッチとしておすすめのモデルだ。あるいは、ブランドロゴのマルタ十字に着想を得た「フィフティーシックス」の流麗なケースフォルムを選び、一味違うドレスウォッチを身につけてみるのも面白い。

パテック フィリップ

パテック フィリップ「カラトラバ 6119」
2021年、新開発の手巻きムーブメントCal.30-255 PSを携えて登場した新型「カラトラバ 6119」。Ref.3919やRef.5119に見られたクル・ド・パリ装飾が特徴的なベゼルや2ピースケースを持つ一方で、全体的なデザインは名作Ref.96をほうふつさせる。ダイアルは6時位置にスモールセコンドを配しただけのミニマルなデザインで、ケース厚も8.08mmと非常にスリム。高い視認性と気品を兼ね備えた傑作だ。手巻き(Cal.30-255 PS)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。18KRGケース(直径39mm、厚さ8.08mm)。3気圧防水。484万円(税込み)。(問)パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター Tel.03-3255-8109

世界最高峰の品質を保証する「パテック フィリップ・シール」の基準をもとに、高級腕時計製造を続けるパテック フィリップでは、ドレスウォッチの模範的傑作「カラトラバ」が有名だ。

ラウンドケースの2針あるいは3針モデルというドレスウォッチの一般的認識は、カラトラバの影響が大きいといえるだろう。いずれは持ちたいドレスウォッチとして、世の男性の羨望の的ともなっている。

パテック フィリップの腕時計は永久保証を約束しており、一生ものの相棒としてもおすすめだ。

セイコー クレドール

SIGNO GCAR965

クレドール「SIGNO」Ref.GCAR965
年差±10秒の高精度クォーツムーブメントを搭載した、ケース厚6.9mmのスリムウォッチ。乳白色のダイアルと美しく磨き上げられたステンレススティール製ケース、クロコダイルストラップの組み合わせにより、ドレッシーな佇まいに仕上がっている。ダイアルにはスマートなデザインのアワーマーカーとブルースチール針を配し、クラシカルな中にもモダンな雰囲気を感じさせる。クォーツ(Cal.8J81)。SSケース(直径37mm、厚さ6.9mm)。日常生活用防水。36万3000円(税込み)。(問)セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012

日本を代表する時計メーカー「セイコー」のドレスウォッチも、ぜひ選択肢に入れたい。

多くのブランドを展開する同社だが、その中でも「クレドール」は、ラグジュアリーな意匠を備えつつも、比較的購入しやすい価格帯のドレスウォッチをラインナップしている。

日本古来の金属加工技術「木目金(もくめがね)」や、厳かな場の衣装に用いられてきた「鈍色(にびいろ)」でダイアルを装飾したモデルなど、メイド・イン・ジャパンならではのデザインセンスも魅力だ。

オメガ

デ・ヴィル トレゾア コーアクシャル マスター クロノメーター

オメガ「デ・ヴィル トレゾア」Ref.435.53.40.21.09.001
ドーム型のアイボリーエナメルのダイアルと18Kイエローゴールド製ケースを組み合わせたドレッシーなモデル。エレガントな佇まいながらも、搭載するのはオメガが誇るコーアクシャル脱進機を備えたマスター クロノメーター準拠のムーブメントCal.8929で、高い精度と性能に加え、1万5000ガウスもの高耐磁性を実現している。手巻き(Cal.8929)。29石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KYGケース(直径40mm、厚さ10.8mm)。3気圧防水。288万2000円(税込み)。(問)オメガお客様センター Tel.03-5952-4400

「スピードマスター」や「シーマスター」の知名度が高いオメガの腕時計は、スポーティーなイメージが強いかもしれない。

そんなオメガのコレクションのなかでドレスウォッチを選ぶなら、「デ・ヴィル」シリーズに注目しよう。

クラシックなラウンドケースに都会的なエスプリを注入した「トレゾア」コレクションや、気取らないシンプリシティーが魅力的な「プレステージ」は、ドレスウォッチの入門としても最適だ。

オメガのタイムピースは、上質で洗練されたデザインと高い性能を両立していることが魅力のひとつだ。特にコーアクシャル脱進機を備えた、マスター クロノメーター 準拠のムーブメントによって、抜群の耐磁性を備えており、電子デバイスをはじめ、磁石にあふれた現代に着用したいドレスウォッチとしておすすめできる。

ブレゲ

ブレゲ「クラシック 5177」Ref.5177BB/2Y/9V6
“ブレゲ・ブルー”をグラン・フー・エナメルによって表現した2019年発表モデル。ブレゲ針やコインエッジ装飾が施された意匠は伝統的な一方で、搭載するムーブメントCal.777Qにはシリコンパーツが用いられており、現代における実用性にも優れたドレスウォッチと言える。自動巻き(Cal.777Q)。26石。2万8800振動/時。18KWGケース(直径38mm、厚さ8.8mm)。3気圧防水。360万8000円(税込み)。

「時計の歴史を2世紀早めた」と称される、天才時計師アブラアン-ルイ・ブレゲの名を受け継ぐブレゲ。1775年にフランスのパリで時計工房を構えて以来、自動巻き機構「ペルペチュエル」やパーペチュアルカレンダー、トゥールビヨンなどの機構を開発した。機構のみならず、手彫りのギヨシェやブレゲ数字、ブレゲ針など、時計の意匠に大きな影響を与えたことも特筆すべき点だ。この時計師が築いた伝統を守りつつ、革新性によって自社製品をアップデートさせ続けるのが、現在のブレゲである。

そんなブレゲからは「マリーン」「タイプ XX」など、さまざまなコレクションが展開されている。中でもドレスウォッチであれば「クラシック」がおすすめだ。クラシックは懐中時計を思わせるラウンドケースをベースに、優れた視認性や高い精度、そして洗練されたデザインといった、腕時計の理想の姿を体現させたコレクションだ。定番は「クラシック 5177」や「クラシック 5157」。ブレゲ数字あるいはローマ数字インデックス、ブレゲ針などといった伝統的なディテールが、エレガントに手首を装ってくれる。

ブランパン

ブランパン「ヴィルレ ウルトラスリム」Ref.6651 3640 55B
程よい余白が優雅な印象を与える「ヴィルレ ウルトラスリム」。薄型のムーブメントでありながら、約100時間のロングパワーリザーブを誇る。ムーブメントはシースルーバックから鑑賞可能。(Cal.1151)。28石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約100時間。18KRGケース(直径40mm、厚さ8.7mm)。3気圧防水。327万8000円(税込み)。

1735年創業と、現存する時計ブランドとして、極めて長い歴史を誇るブランパン。その創業地であるスイス・ジュウ渓谷に位置するヴィルレ村の名を冠するコレクションが、「ヴィルレ」だ。ラウンドケースやダブルステップベゼル、先端に丸みを付けたラグなど、クラシカルな意匠がちりばめられている。

今回取り上げる「ヴィルレ ウルトラスリム」は、時刻と日付の表示に特化したシンプルなモデルだ。中央を切り抜いたセージの葉のような形状の時分針や立体的なローマンインデックスが、優雅な印象をもたらしている。ミニッツマーカーを廃することで、パーティシーンにもふさわしい、ゆったりとした時の流れを感じられるスタイルに仕上がっているのだ。

薄型自動巻きムーブメントを搭載することでケースの厚みも抑えられ、シャツの袖口にもスッと収まる。

ロンジン

ロンジン「ロンジン マスター コレクション」Ref.L2.843.4.73.2
彫りこまれたアラビア数字インデックスや筆記体のロゴ、ブルースティール製の針がクラシカルなモデル。ロンジンが積み重ねてきた歴史を感じる1本だ。自動巻き(Cal.L893)。26石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径38.5mm、厚さ10.2mm)。3気圧防水。37万8400円(税込み)。

1832年に創業したロンジン。「ロンジン レジェンドダイバー」や「ロンジン スピリット」など、自社の歴史的名作を巧みに復刻させたツールウォッチにも定評があるが、ドレスウォッチの手腕も見事なものである。本記事で紹介するのは、「ロンジン マスター コレクション」の中の1本だ。

本作は、往年の懐中時計を想起させるようなディティールがちりばめられた、ロンジン マスター コレクションのスモールセコンド仕様のモデル。サンドブラスト仕上げのダイアルには、CNCマシンで彫り込まれたシャープなアラビア数字インデックスが並ぶ。ふっくらとしたリーフ型の時分針や秒針は、熱を加えることで鮮やかなブルーに変色させたスティール製だ。全面にポリッシュ仕上げを施したケースは滑らかなラインを描き、手首にそっと寄り添ってくれる。

ケースバックからは、機械式自動巻きムーブメントのCal.893を鑑賞することが可能。耐磁性に優れるシリコン製ヒゲゼンマイを採用し、約72時間のロングパワーリザーブを備えている。

ベルトは、グレーのアリゲーターレザー製。フォールディングバックルが取り付けられており、容易に脱着することができる。

ショパール

ショパール「L.U.C.1860」Ref.168860-3003
ノンデイト仕様で復刻された「L.U.C.1860」。ギヨシェ装飾が施されたサーモンダイアルや職人の手仕上げによるムーブメントなど、表裏両面に見どころが溢れている。自動巻き(Cal.L.U.C 96.40-L)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。ルーセントスティールケース(直径36.5mm、厚さ8.2mm)。30m防水。371万8000円(税込み)。

1990年代という早い時期からムーブメントの自社開発に着手してきたショパール。また、近年では「サステナブル・ラグジュアリーへの旅」を標榜し、サスティナビリティやエシカルに配慮した素材を使うなど、時計市場をさまざまな面でリードする時計ブランドといえる。

今回紹介するのは、1997年に同ブランドから登場した「L.U.C.1860」の復刻モデルだ。オリジナルと同じ直径36.5mmのケースには、リサイクル素材を主原料としつつ抗アレルギー性、耐摩耗性、審美性に優れる同社独自のスティール合金、ルーセントスティールを採用している。

ソリッドゴールドにガルバニック加工を施したサーモンダイアルには、手作業によるギヨシェ装飾が施され、光の当たり具合によって豊かな表情を見せる。くさび型のインデックスやドーフィン型の針は、ホワイトゴールド製だ。

ムーブメントは、ふたつの香箱によって約65時間のパワーリザーブを獲得した、マイクロローター式自動巻きのCal.L.U.C 96.40-Lを搭載する。受けに施されたストライプ装飾や面取りなど、ジュネーブシールが与えられた仕上げを楽しむことが可能だ。


大切な時計を守るために気を付けたいこと

お気に入りのドレスウォッチを購入したら、末永く愛用するために、意識したいポイントがある。

多くのドレスウォッチはスポーツウォッチに比べるとスペックは高くはなく、デリケートなアイテムであることを心に留めておこう。ここでは、使用上・保存上の注意点について解説する。

水濡れに注意する

ドレスウォッチは基本的にハードな使用を前提としていないため、防水性能が高くないモデルが多い。

ムーブメントや風防内に水が侵入することはぜひとも避けたいが、レザーストラップの劣化を防ぐうえでも水濡れは厳禁だ。

加えて、防水性能が低い腕時計、特にレザーストラップは湿気に弱い点にも留意しよう。手洗いや汗、雨に注意するのは当然として、保存時の換気や乾燥剤の使用も意識したい。

電化製品の近くに置かない

オメガのマスター クロノメーターモデル(耐磁性1万5000ガウス)など、一部のモデルは例外として、機械式時計は磁気の影響を受けやすい。

最近の高級腕時計は耐磁性を高めるために非磁性の部品を使用しているものもあるが、多くのモデルのヒゲゼンマイは鉄製だ。

強い磁気を帯びると精度に悪影響を及ぼし、運針が止まったり、最悪の場合はムーブメントが故障したりする。電子レンジや磁石など、強い磁気を発するものには近付けないようにしよう。


ドレスウォッチで上品な男の身だしなみを

冠婚葬祭の場では、スポーティーなステンレススティール製ブレスレットやラバーストラップはそぐわない。腕時計はシーンに合ったものを着用することが大人の男性のエチケットだ。

着用する機会が少ないからといって、手は抜けない。レザーストラップの気品漂うドレスウォッチを身に着け、エレガントな男の身だしなみを整えよう。


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