グラハム
2019年は第二次世界大戦におけるノルマンディー上陸作戦(D-Day)から75周年にあたる年である。英国の系譜を継ぐスイスブランドのグラハムは、連合国軍の歴史的勝利を記念し、「クロノファイター ヴィンテージ D-Day」をリリース。44㎜径ケースにトリガースタイルのクロノグラフプッシャーを備え、ETA7750をベースとした自動巻きキャリバーG1747を搭載した新作だ。
グレイン仕上げによるブラック文字盤の12時位置となるグラハムのロゴの真下には、大きくホワイトで“D-Day”の文字が配されている。6時位置のサブダイアルには、ナチス占領下にあったフランス・ノルマンディー地方にある5つの海岸からの上陸作戦決行の日として、やはりホワイトで“1944”“June 6”と表記されている。3時位置のサブダイアルに配された星のデザインは連合国軍のシンボルであるとともに、フランスの主要な港をドイツ軍から奪取するまでの間、迅速な車両の上陸と侵攻軍への物資補給を可能とするための人工港湾施設“マルベリー”が、英国軍によって設けられた時間である“3時”を示している。
IWC
ブライトリングのように、IWCも多くの素晴らしいパイロットウォッチのコレクションを拡充し、選択肢を多いに広げている。ここで紹介するのは希少性と複雑性の最も高いモデルだ。「パイロット・ウォッチ・タイムゾーナー・クロノグラフ“80イヤーズ フライト トゥ ニューヨーク”」は、このブランドの著名なパイロットであり“星の王子さま”の作者でもあるサン=テグジュペリとの関連性を示すものである。
わずか80本のリミテッドエディションであるこのモデルは、航空黎明期におけるサン=テグジュペリの飛行艇“ラテコエール521”によるパリ・ニューヨーク間の飛行80周年を記念した製品だ。搭載する機械はIWCのキャリバー89760で、クロノグラフに調整が容易な特許取得のワールドタイム機構を併載し、ベゼルを回転させるだけで24時間表示針によって時刻を調整することが可能だ。
ミューレ グラスヒュッテ
ドイツのミューレ グラスヒュッテは、2019年に創業150周年を迎えた。その機会に、Aircraft Owners and Pilots Association (AOPA)の80周年に敬意を表し「AOPAアエロスポーツ リミテッドエディション」を発表したのだ。AOPAメンバーの協力を得て設計されたこのモデルは、42.5㎜径のステンレススティール製ケースに、ねじ込み式リュウズ、反射防止加工を施したサファイアクリスタル製風防、クラシックなコインエッジを添えた回転ベゼルを備えている。ベゼル上にある三角形は、固定したGMT表示または飛行時間の計算に使用が可能。ジェットブラックの文字盤には、AOPAのロゴが6時位置上部に配置されている。この500本のリミテッドエディションに搭載されているのは、セリタのキャリバーSW-200-1にドイツ・グラスヒュッテにあるミューレ・グラスヒュッテの本社で開発されたウッドペッカーレギュレーターと、カスタムメイドされたAOPAの80周年記念ローターを組み合わせた機械である。
ゼニス
キャリバー、エル・プリメロの50周年を祝う新作を数多く世に送り出したゼニスは、人気のヴィンテージ調パイロットコレクションに「パイロット タイプ20 エクストラ スペシャル シルバー」を追加。これはゼニス史上初ということに加え、今の時計業界では珍しいシルバー925をケース素材に採用したものだ。45㎜径ケースには20世紀に軍のパイロット達が使用した時計に見られたような、ヴィンテージ風の大きなラチェット式巻き上げリュウズを備えている。シルバーのヘアライン仕上げをあしらった文字盤には、リヴェットを想起させる模様が施され、第二次世界大戦中の軍用機の機体にも似たツヤ感を持たせているのが特徴だ。時代性を考慮した大きなアラビア数字インデックスには、全体にスーパールミノバが施され、光量が限られたコックピットでの明るさと視認性を確保している。機械としてはゼニスの自動巻き自社製キャリバーElite679が搭載され、毎時28,800振動、50時間のパワーリザーブを保持。ブラウンのリヴェットを取り付けたカーフスキンのストラップが合わせられ、250本のリミテッドエディションとしてリリースされている。