ジャガー・ルクルトとムーブメント
卓越した技術力を備えるジャガー・ルクルトは、ムーブメントメーカーとしても活躍していた経緯を持つ。情熱的な挑戦を続けてきた歴史を見ておこう。
数多くの自社製キャリバーを製造
ジャガー・ルクルトは、1844年のミリオノメーター発明などにより精巧な時計部品の製造が可能となり、早い段階から優れた生産システムを確立した。
事実、創業から1900年までの約350種類の自社製ムーブメントを製造しており、クロノグラフ機能やリピーター機能を備えた複雑系が半数以上を占めていることも特徴的だ。
複雑機構だけでなく、超薄型・超小型の機構も開発している。どのような時計に対しても、目的に合わせたムーブメントを製造できる技術を備えていたのだ。
高い技術力を生かし、創業当時から複雑機構を中心としたムーブメントを製造し続けていたことから、技術屋と呼ばれていたのも納得できるだろう。
代表的なキャリバー101
20世紀前半のレディースウォッチは、現代よりも小型なものが好まれていた。しかし、時計を小型化すれば品質に悪影響を及ぼし、大量生産には向かないという課題に直面することになる。
この難題にチャレンジしたジャガー・ルクルトは、1929年、世界最小の手巻きムーブメント「キャリバー101」の開発に成功した。101は98個の部品で構成され、厚さ3.4mm、重さ約1gしかなかったというから驚きだ。
英国女王エリザベス2世が、キャリバー101を搭載した時計を1952年に行われた即位式で着用したエピソードもある、名ムーブメントと言えよう。
小型化の傑作と称されるキャリバー101は、時代と共に進化を遂げながら、現在も世界最小ムーブメントとして唯一無二の存在感を放っている。
他社供給のみのキャリバーも
ジャガー・ルクルトは、自社製品だけでなく、他社にも高性能ムーブメントを数多く提供していた。中でも「キャリバー920」は、1度も自社の時計に組み込まれなかった、他社供給専用ムーブメントとして知られている。
パテック フィリップの「ノーチラス」やオーデマ ピゲの「ロイヤル オーク」など、名門ブランドが展開する主力級モデルの多くに、キャリバー920は名前を変えて搭載された。
自動巻きの古典的な仕組みを保ちながら薄型化を図られたことが、キャリバー920の大きな特徴である。
代表コレクションとキャリバー
ジャガー・ルクルトは「マスター」と「レベルソ」の2モデルを、主力モデルとして展開している。それぞれの特徴と魅力をチェックしよう。
1000時間コントロールが由来のマスター
ジャガー・ルクルトでは製造した時計ごとに、「マスター1000時間コントロール」と呼ばれる検査を実施している。業界トップレベルの精度を誇るこの検査名から、ジャガー・ルクルトを代表する「マスターシリーズ」の名が付けられている。
丸型フォルムとシンプルなデザインの文字盤が、マスターの大きな特徴だ。クロノグラフやパーペチュアルカレンダーなど、複雑なムーブメントを搭載した派生モデルも、数多く製造されている。
反転可能なレベルソ
マスターと共に、ジャガー・ルクルトの象徴として知られるモデルが、「レベルソ」シリーズだ。
文字盤が反転するという、他に類を見ない特徴を持つ。スクエアフォルムのケースから文字盤を横にスライドさせ、反転させて再び押し入れることが可能である。この独特の機構は、強い衝撃がかかるポロの競技中での着用を想定したものだ。
そのオリジナルの意匠を残したモノフェイスの場合、文字盤裏面のメタルプレートにエングレーブを施すことができる。さらに、文字盤裏にもうひとつの文字盤を配した「デュオ」(レディースモデルは「デュエット」)では、両面で異なるデザインを楽しむことができる。
レベルソは手巻きが主で、多くは角型のケースに合わせた長方形のムーブメントを搭載する。
ムーブメントの魅力を知ろう
真のマニュファクチュールであるジャガー・ルクルトは、ムーブメント製造において、創業当時から高い信頼を得続けている名門である。
ムーブメントに関し、歴史に名を残すほどの豊富な実績を知れば、ジャガー・ルクルトの魅力をより一層強く感じられるだろう。
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