ヒラシュモクザメの保護には、まず種への理解が必須
新しく発足したモカラン保護協会は、自らを「ヒラシュモクザメをより理解するための同盟」と称している。このチームは2019年12月〜20年1月まで、ランギロア・プロンジェ ダイビングセンターで展開されていた。同センターも2008年からさまざまな海洋保全プロジェクトに携わっているという。前回のプロジェクト同様、ブランパンは1本の時計の売り上げごとに1000ドルを寄付しているのである。
モカラン保護協会は、ほとんどがボランティアで構成されており、侵略的でない技術のひとつであるレーザー・フォトグラメトリーなる方法を用いて活動している。2本の平行するレーザーとデジタルカメラを用い、計測と個体の識別、時間をかけた個体の追跡が大きな特徴だ。
これによりその先のステップでは、種の保存につながる陸上での活動が求められているという。マーク・A・ハイエックはこう語る。
「ランギロアを12年に初めて訪れたとき、この美しい生物の虜になりました。と同時に、この種の生態についてはほとんど知られていないことにも気付きました。過去に私たちがサポートしたプロジェクトに比べ、今回プロジェクトはボランティアに負うところが大きく、ここに生息するヒラシュモクザメについて、もっと我々自身がよく知ることが何より肝心です。最初のステップはヒラシュモクザメを公に認知してもらうこと。そしてこの海中での記録を取り、データベースを構築し、現地で活躍しているタチアナ・ブーブなどの科学者たちに活用してもらうことでした。今回のプロジェクトの初期から活躍しているブーブ達をサポートできることは、我々の喜びと言えるでしょう」
ハイエックはそれに続き、「この仕事は非常に緊急性の高いもの。しかし当初は2、3のサメしか見つけられないように考えていました。しかし想定よりも多くの頭数を見つけられる可能性が出てきています。それには複数のヒラシュモクザメの生態が観察され、それを繰り返していく必要があるように思います」と語った。
だがハイエックにとって、ヒラシュモクザメは個人的なつながりがどうやらありそうなのである。「私自身、ダイビングのインストラクターになるつもりはありません。しかしカメラを装備しつつある程度の深海へ潜るためには、プロダイバーの資格が必要です。数年前に受けたプロダイバーの最終テストでは、それまでに見たことのないサイズのサメに出会いました。そのサメは私たちのすぐ側を泳ぎ、アイコンタクトを行い、深海に消えて行ったのです。この出会いがどんなに特別なものかを理解したとき、それがまるでイニシエーションであり、深海に潜る許しを得た思いがして非常に感動したことを覚えています」。
バチスカーフの次なるステップ
2013年に発表された現在の3針モデル「フィフティ ファゾムス バチスカーフ」は、1956年に生まれたモデルからインスピレーションを得たものだ。バチスカーフはその発表時から大きく発展を遂げ、多彩なサブコレクションを擁するまでに成長した。クロノグラフモデル(2014年)やデイ・デイト'70、アニュアルカレンダー、コンプリートカレンダー ムーンフェイズバージョン(以上2018年)、そして異なるケースサイズとケース素材を擁して展開したのである。その素材にはチタン、セドナゴールド、セラミックチタン、スティール、セラミックなどが用いられている。
ブランパンの「フィフティ ファゾムス バチスカーフ」の最新版は、コレクションに新色をもたらした。グリーンの文字盤とリキッドメタルのマーカーを施しており、グリーンセラミックと非常にマッチしている。独自素材であるリキッドメタルは、ブランパンのいくつかのモデルとスウォッチグループの他のブランドでも採用され、12時位置の夜光性ドットは、1950年代製となるオリジナル「フィフティ ファゾムス 」を踏襲している。また43.6㎜径ケースの防水性は300mを保持し、ブラックセラミック製かつ傾斜したラグとサテン仕上げが加えられている。
今回の「フィフティ ファゾムス バチスカーフ モカラン 限定エディション」が持つサンバースト仕上げのグリーン文字盤は、センターに時分針を備え、オリジナルが持つヴィンテージピースらしい雰囲気を持つ。
ケース径43.6mmモデルの仕様では、4時位置に配したデイト表示は初めて取り払われ、よりピュアな外観を生みだしている。先端を赤く染めた長めのセンターセコンド針は、ダイビングをする際に、時計がしっかり稼働していることを教えてくれるもの。直径43.6mm、厚さ13.8mmのケースを持つバチスカーフは、決して小さな時計ではない。しかし控えめで抑えの効いたデザインゆえに、大きいという印象を与えないだけでなく、手首にあっても強すぎる存在感は示さない。安全性確保のためのねじ込み式のリュウズも同様の印象である。
搭載される機械は自動巻きムーブメント、キャリバー1318。204個ものパーツで構成された堅牢な35石のムーブメントであり、ハイレベルなクロノメーター機械として、優れたパフォーマンスを発揮する。連結された3つの香箱により、約5日間のパワーリザーブを保持するところも特徴だ。
クリアなサファイアクリスタル製ケースバックから鑑賞できるムーブメントは、シリコン製ヒゲゼンマイを備え、以下の特長を備えている。低密度による軽量性、耐衝撃性、高い耐磁性能がそれである。これによりテンプの動きが最適化されムーブメントの等時性も改良されることで、精度が向上しているのだ。
ブランパンのキャリバー1318は、グリュシデール製テンプにスクエア型のネジ山をもつ偏心錘を持ち、精度を向上させるとともに効果的な調整を可能としている。ヒラシュモクザメのエングレービングが施されたゴールド製ローターも特徴のひとつである。
セラミックスは金属に比べ欠けやすい特性を持つが、特筆すべき長所も備えている。耐腐食性に加え軽量性にも優れたこの素材は、ダイバーズに最適な外観と高い装着感をもたらしている。それに加え、表面にカラーなどの層を持たないため、ブラックカラーを維持できるところも見逃せない。
デイト表示が取り除かれた点も同様である。デイト表示は市場でも一般的な機能のひとつだが、シンプルにデイト表示を持たないモデルがより好まれる傾向を持つという。
ベゼルと文字盤に採用されたグリーンは非常に美しく、光線の具合によりエメラルドグリーンからほぼブラックまでの階調を備えている。これによりコレクションのなかでも最も魅力的なモデルとなっているのだ。水中では、3針モデルより視認性に優れる時計はないだろう。無駄を取り去ったミニマルなデザインの恩恵なのである。
もうひとつ個人的に付け加えるとすれば、ブランパンのバチスカーフは、13年の発表直後から私のお気に入りとなったという事実。それは特に控えめかつクリーンなデザインと、過去のモデルから受け継いだ利点のおかげと言えるだろう。またブランパンは細心の注意を払ってこのモデルを展開してきたことも注目すべき部分だ。
特にそのデザインについては、クラシックと呼べるに足るものとなるよう十分に時間を掛けてきたことがうかがわれる。今回の新作では単に新色を導入したというだけでなく、絶海の孤島でも自らヒラシュモクザメを見つけに海中に潜る場合でも、満足度の高い1本を世に送り出したと言える内容なのだ。
最後に付け加えておくとマカラン保護協会のサポートは、既にスタートしており結果も表れている。チーム全体とプロジェクトが効果的に展開し、関係者が協力していく様子を目にすることは、非常に印象的な光景だと言わざるを得ないのだ。
Contact info: ブランパン ブティック銀座 Tel.03-6254-7233
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