洗練された装着感にA.ランゲ&ゾーネの発展を見る
広田「それから、装着感の話をすると、直径は旧モデルのまま41.9mmで、厚さは0.1mm薄くなって10.9mm。わずかな差だけど、重心は明らかに腰が低くなって、腕載りが良くなってる」
鈴木「うん。そこはさすが新規ムーブメント。単にモジュールを載せたわけではないから、重心まで考えられているのを感じるね」
広田「一昔前だとA.ランゲ&ゾーネの複雑系は装着感に無頓着な印象があったけど、微妙にリファインをかけてきて、ここ5年ほどは装着感が洗練されてきているのを感じる」
鈴木「これまではケースがズドーンとしてたし、更に腰高だと一層装着感が悪かったけど、改善されてきたよね。パッと見のデザインはそのままに」
広田「ダイアルと都市リングの仕上げのニュアンスをそろえたことにも細やかな気配りを感じます。それから、ダイアルの微妙な荒しのニュアンスがうまくなった。一般に、荒したダイアルは強い光が当たると反射でホワイトアウトしがちなんだけど、それが改善された。細やかなチューンがされてます」
鈴木「見やすさへの細やかな配慮がありますよね」
広田「A.ランゲ&ゾーネは、着けているとその良さが実感できるブランドだけど、ギミックのあるタイムゾーンはその性格が一層強まってる」
鈴木「使い勝手はホント申し分ない。今はコロナ禍でなかなか海外に行けないけど、海外出張のある人ならやっぱりタイムゾーンはあると便利だと思うし、このモデルはその選択肢の中に入ってくるはず。機構的にも熟成されているしね」
使うほどに愛着が増すA.ランゲ&ゾーネの哲学
広田「あとは適度な重みがあるから良い」
鈴木「そうそう! それが良いですよね。『A.ランゲ&ゾーネは重い』ってよく言われるけど、その重みが愛着になるというか……。重さって高級時計で忘れられがちな要素だと思う。装着感を良くするために軽量化を図るのもひとつの方向性だけど、軽ければいいってものじゃない」
広田「A.ランゲ&ゾーネは、意図的に重さを残してますね。初代のランゲ1や1815、カバレットから重く作っていたので、そのフィロソフィーを残しているんでししょう」
鈴木「そういうところ、僕は好きですね」
細田「重い時計は僕も好きですけど、ストラップとのバランスが問題になってくる。A.ランゲ&ゾーネのストラップはどれも全部同じ厚みのように思えるけど、タイムゾーンはバランスがちょうど良いですね」
広田「重厚感や精密さや機能性といったA.ランゲ&ゾーネらしいキャラクターを守りつつ、うまくブラッシュアップしてる」
細田「そうそう、ランゲ1にタイムゾーンを付けてもデザインが崩れてないからスゴい。オリジナルデザインの普遍性を感じます」
鈴木「細やん、良いこと言うねぇ〜」
広田「そういう意味では、同じ高級時計で比較すると、例えばパテック フィリップらしい時計は“実用的なコンプリケーション”、つまり、ワールドタイマーやアニュアルカレンダーだと思う。一方で、A.ランゲ&ゾーネらしい時計を挙げるなら、ひとつはこれになるんじゃないかな。ガッチリしていてしかも使い勝手が良い」
鈴木「ブランドアイコンはもちろんランゲ1なんだけど、巧みに+αされてる。ランゲ1から一歩踏み出したい人にはオススメしたいですね」
Contact info: A.ランゲ&ゾーネ Tel.0120-23-1845
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