ブレゲが導き出したスポーティーエレガンスの極み
ゴールドのケースとブレスレットが一体になり、圧倒的な迫力をもって存在感を主張する重厚なクロノグラフは、“ラグジュアリースポーツ”の名で語るにふさわしい魅力的な時計の姿を見事に表現している。
精巧なクロノグラフムーブメントもまた、スポーツウォッチにとっては不可欠の要素。技術的に目覚ましく進化したブレゲのムーブメントが、新世代「マリーン」の魅力を一段と高める。
自動巻き(Cal.582QA)。28 石。2 万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KWG(直径42.3mm、厚さ13.85mm)。10 気圧防水。671万円。
マリーン クロノグラフ 5527
ラグジュアリースポーツウォッチの分野において注目を浴びるクロノグラフ。その機能自体がもとよりスポーツと密接に結び付き、さらにはクロノグラフ特有のダイアルがスポーティールックという見栄えの重要な決め手となるから、洗練されたスタイリングと独創性の追求は常に欠かせない。
新しい「マリーン クロノグラフ 5527」のスタイリングにおいて注目すべきポイントは、第3世代のコレクションに属すリファレンス番号が「55」で始まる全モデルに共通のデザインコードが用いられ、機能の点では異なる各モデルが緊密な統一感をもってデザインされていることである。実際、このクロノグラフのダイアルに置かれたスモールセコンドやふたつの積算計、ケース側面のプッシュピースを取り除くと、外観の点ではシンプルな自動巻き3針モデルとなんら変わりなく、機能を誇張する過剰な演出を注意深く避けていることが分かる。第3世代「マリーン」を準備した時点でブレゲが入念に練り上げたスタイリングが極めて高い完成度に達し、一種の汎用性を手に入れていたのは間違いない。
このクロノグラフの場合、ブレゲの秀逸な美的センスはスモールダイアルにも見事に発揮されている。ローマ数字を配したチャプターリング内側の3時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計、9時位置にスモールセコンドをバランス良く配置しながら、それぞれが大・中・小のサークルを成すように絶妙にアレンジされているのである。しかもギヨシェ彫りダイアルでは、独特の波模様がサークル内部にまで連続している。高度な職人技を要する装飾だが、こうした細部にも、スポーティーであるのと同じくらいエレガンスにも配慮するブレゲの姿勢が明瞭に表現されているのだ。
クロノグラフにとっては、精巧なムーブメントもまた重要。「マリーン クロノグラフ 5527」のために選ばれた自社製キャリバー582QAは、ブレゲが改良を施し、熟成を重ねてきた名機である。このムーブメントは、ブレゲのパイロットウォッチにも伝統的に採用されてきたフライバッククロノグラフ機能が備わるだけでなく、機構の核心部に最新のLIGA製法で作った中間車が用いられている。弾性を持ったこの中間車は、歯の噛み合いを無駄なく実行し、4番車から秒クロノグラフ車に動力を伝達する際のロスを解消するのに役立つ。また、ブレゲのムーブメントでは、もはやスタンダードと呼べるシリコン素材をここでも脱進機とヒゲゼンマイに用い、伝統的な構造とハイテクとを融合してムーブメントの現代的な進化を図っている。
(左から)スレートグレーダイアルのチタンケース&ブレスレットモデル、287万1000円。
シルバーダイアルの18KRGケースモデル、ラバーストラップ、402万6000円。
ブルーダイアルの18KWGケースモデル、ラバーストラップ、402万6000円。
ブルーダイアルのチタンケースモデル、レザーストラップ、265万3000円。
すべて自動巻き(Cal.582QA)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。直径42.3mm、厚さ13.85mm。10気圧防水。
実用性を追求して生まれたアラームウォッチの新たな傑作
新世代「マリーン」を成す自動巻き3針「5517」、クロノグラフ「5527」、アラーム ミュージカル「5547」が、2018年に揃って発表されたが、これら3種類の中でとりわけユニークなのが「5547」だ。
音楽的な響きをもってアラーム音を鳴らす独自の複雑機能が備わり、第2時間帯表示も併せ持つこの時計は、海洋をテーマにした「マリーン」に、実用的なトラベルウォッチという新たな特色を加えた。
マリーン アラーム ミュージカル 5547
コレクションを成す3種類のモデルの中でワン&オンリーの個性を主張するのが「マリーン アラーム ミュージカル 5547」である。新世代「マリーン」のデザインコードを全面的に採用して自動巻き3針やクロノグラフとの統一感を強調する一方で、旅行で役立つ実用的なアラームと第2時間帯表示機能を併せ持つこのモデルは、「マリーン」にトラベルウォッチという新たな道を切り開いた。例えるなら、第3世代の船出をナビゲートするフラッグシップを演じるモデルと言えるだろう。
この「マリーン アラーム ミュージカル 5547」の最大の特徴は、もちろん使いやすいアラーム機構にある。ダイアルの3時位置にアラーム専用の独立したダイアルがあり、4時位置の調整リュウズで時刻の設定ができる。アラームの設定時刻を視覚的にもリマインドできるところも便利だ。ケース左側8時位置にあるプッシュボタンでアラーム機能のオン/オフが切り替えられるのもよく考えられている。アラーム用のリュウズを引き出した状態でオンとする、従来の仕組みで生じやすかった誤作動や美観上の違和感を解消すべく改善を図っているのが秀逸である。さらに興味深いのは、アラームがオンの状態では12時位置の窓にベルのモチーフが表示されるという遊び心。アラームの音響については、リピーターを模したハンマーとゴングによるストライク機構を用い、適度な音量で上品な音を発する。それもまた、アラームウォッチでは稀少な特徴である。
アラーム機能はアポイントの時刻など、さまざまなリマインドに利用できるが、最も役立つのは旅の場面だろう。そこで便利なのが第2時間帯を表示するGMT機能である。2時位置のリュウズ操作で時針の単独調整ができ、タイムゾーン変更が素早く行えるのは実用的だ。
これらの機能を融合したモデルの原点は、2000年代に発表され、時計愛好家の間で人気を博した「クラシック アラーム 5707」にさかのぼることができるが、「マリーン」が大きく異なるのは、「クラシック」のスモールセコンドをセンターセコンドに置き換えたことだ。スポーティーな「マリーン」のデザインには、センターセコンドが当然ふさわしいだけでなく、海洋信号旗のアルファベット「B」を配したセンター針を「マリーン」の全モデルに共通するアイコニックなエレメントにしようとしたブレゲの意図にもマッチしている。各機能が視覚的に独立していて、しかもすべてローマ数字のチャプターリングの内側にバランス良く取り込んだレイアウトは、クロノグラフの手法とまったく同じだ。
(左から)ブルーダイアルの18KWGケースモデル、ラバーストラップ、475万2000円。
シルバーダイアルの18KRGケースモデル、レザーストラップ、475万2000円。
スレートグレーダイアルの18KRGケース&ブレスレットモデル、718万3000円。
ブルーダイアルのチタンケースモデル、ラバーストラップ、341万円。
すべて自動巻き(Cal.519/F1)。36石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。直径40mm、厚さ13.05mm。5気圧防水。
Contact info: ブレゲ ブティック銀座 TEL:03-6254-7211
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