IWCのコレクション
IWCは多彩なコレクションを展開している。現行コレクションを中心に、チェックしておこう。
時代を選ばないデザイン「ポートフィノ」
1984年に登場した「ポートフィノ」は、イタリアのリゾート地であるリグーリア海岸の漁村のライフスタイルをイメージしたドレッシーなコレクションだ。クラシカルな薄型ラウンドケースにリーフ針やアプライドインデックスなど、洗練されたディテールが特徴である。
時代に左右されない優美なデザインから、比較的若いシリーズでありながら性別を問わず支持を集めている。
スーツに合う上品なデザインとこなれたプライシングも、ポートフィノが評価されている理由といえるだろう。IWCを初めて手に取る人にもおすすめである。
精度の高さと豪華さを両立「ポルトギーゼ」
航海用の高精度時計に匹敵する腕時計という、ふたりのポルトガル商人のオーダーにより誕生したのが「ポルトギーゼ」である。高精度かつ優れた視認性を持つ、IWCの中でも大きな成功を収めるフラッグシップモデルだ。
大型ケースは懐中時計のムーブメントを搭載していたことに由来する。
1930〜40年代としてはケース径が大きすぎたため、誕生当初は目立つ存在ではなかったが、1993年の復活から一気に人気が高まった。現在ではIWCの不動の人気を確立する名機である。
航空計器を思わせる「パイロット・ウォッチ」
1936年、民間航空のパイロットを対象に「スペシャル・パイロット・ウォッチ」を製造したことが、IWCのパイロットウォッチ史の始まりだ。以降、1948年発表の「マーク11」などをはじめ、空という過酷な環境で活動するプロフェッショナルに向けたパイロットウォッチを供給してきた。
現行の「パイロット・ウォッチ」コレクションにもその精神性は受け継がれており、洗練されたデザインを備えつつも、視認性や堅牢性、耐磁性といった、パイロットウォッチに必要な機能を盛り込んだモデルを展開している。
耐磁時計として誕生した「インヂュニア」
1955年、IWCはドイツ語で技術者(エンジニア)を意味する、「インヂュニア」というモデルを発表した。このモデルは高い耐磁性が特徴で、前述したマーク11の設計を流用したものだ。
インヂュニアは長い歴史の中で、多彩なデザインを与えられていく。2023年に一新された現行モデルは、1976年発表の「インヂュニアSL」をリバイバル。インヂュニアSLのデザインはジェラルド・ジェンタが手掛けており、ケースとブレスレットが一体型となったフォルムやグリッドパターンをあしらった文字盤を現行モデルに継承する。一方で2013年に発表された「インヂュニア・オートマティック40」に見られた、モダンなリュウズガードも備えており、自社の歴史と新しさを、巧みに融合させたモデルと言える。
視認性に優れたダイバーウォッチ「アクアタイマー」
「アクアタイマー」はIWCのダイバーズウォッチだ。水中におけるダイバーの命を守るために、2色の蓄光塗料を用いて高められた視認性が特徴である。
独特の仕組みが施されたベゼルもポイントだ。1967年の登場時より、一般的な回転式ベゼルではなく、アウターベゼルと連動する回転式インナーベゼルを風防内に搭載している。
IWCの人気を支える定番モデル
IWCの代表的なコレクションの中から、特に人気を集めている定番モデルを紹介する。特徴や魅力をチェックし、自分に合う1本を選んでみよう。
「ポートフィノ オートマティック」
イタリアのリゾート地に着想を得たクラシカルな3針モデル。深みのあるブルーのサンレイ文字盤とゴールドカラーのインデックスの組み合わせが、腕元に艶っぽさを添える。自動巻き(Cal.35111)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径40mm、厚さ9.2mm)。3気圧防水。74万2500円(税込み)。
時代に左右されない、クラシカルかつシンプルなデザインが魅力を放つポートフィノの中でも、特にミニマルなのがRef.IW356523だ。
バーとローマ数字を組み合わせたインデックスと、3針と日付表示のみを配する。丁寧に磨き上げられたケースとスリムなベゼルにより、知的な雰囲気が際立っている。
搭載された自動巻きムーブメントCal.35111は、約42時間のパワーリザーブを持つ。
「ポルトギーゼ・クロノグラフ」
同コレクションの特徴である、縦目ダイアルのクロノグラフ。左右対称の文字盤デザインが、アクティブな中に端正な印象を与える。自動巻き(Cal.69355)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約46時間。SS(直径41mm、厚さ13mm)。3気圧防水。123万7500円(税込み)。
Ref.IW371605は、自社製ムーブメントCal.69355を搭載したモデルだ。クロノグラフムーブメントの精巧な動きを、トランスパレント仕様の裏蓋から鑑賞できる。
初代モデルから継承されたエレガントかつ端正なデザインが大きな魅力であり、ベゼルいっぱいに広がる文字盤が特徴的だ。
ブルーの針やインデックス、ストラップにより、若々しくスポーティな印象を添えている。
シンプルになりがちな41mmのケースは、独特な形状のリュウズでデザイン性が高められている。
「パイロット・ウォッチ・マーク XX」
サンレイ仕上げのブルー文字盤に、大きい針とインデックスは判読性が高く、パイロット・ウォッチらしい配慮が感じられるモデルだ。自動巻き(Cal.32111)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。SSケース(直径40mm、厚さ10.8mm)。100m防水。100万1000円(税込み)。
IWCのパイロット・ウォッチの中でもロングセラーとして長く人気を誇る、マークシリーズ。1948年に製造されたマーク11から歴史をスタートしている。このモデルは、イギリス政府からの要請の下、英国空軍(RAF)のために開発された。
現行モデルは、2022年に発表された「マーク XX」だ。優れた視認性や、10気圧という防水性といった日常使いにもピッタリの実用性とともに、厚みをわずか10.8mmに抑え、サテン仕上げを基調にポリッシュ仕上げもコンビネーションで与えられたケースは、高級感を醸し出している。
EasX-CHANGE®システムによって、工具なしでブレスレットを脱着させられることも便利な機能と言える。
「インヂュニア・オートマティック 40」
ブルーグリーン文字盤を備えた「インヂュニア・オートマティック 40」。インヂュニアSLで見られたグリッドパターンがブルーグリーンに彩られることで、個性的なデザインを演出している。自動巻き(Cal.32111)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。SSケース(直径40mm、厚さ10.7mm)。10気圧防水。177万6500円(税込み)。
ジェラルド・ジェンタが手掛けたデザインを踏襲する現行インヂュニアは、ラグジュアリースポーツウォッチのスタイルを獲得した。厚みが抑えられたケースとブレスレットは一体型のフォルムとなっており、スポーティーとドレッシーを併せ持っている。
現在のラインナップはチタン製モデルまたは、4種のステンレススティール製モデル。このモデルはステンレススティール製の、ブルーグリーン文字盤を有するバリエーションである。
搭載する自動巻きムーブメントはCal.32111。約120時間のパワーリザーブを持つため精度が安定しており、また、頻繁に主ゼンマイの巻き上げや時刻調整を行わなくて良い。
「アクアタイマー・オートマティック」
2022年より展開されている、現行「アクアタイマー・オートマティック」のブルー文字盤モデル。シンプルかつ視認性に富んだダイアルは、水中のみならず日常生活にも有効だ。ストラップはクイックシステムによって、簡単に脱着が可能。自動巻き(Cal.32111)。21石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。SSケース(直径42mm、厚さ14.1mm)。30気圧防水。92万4000円(税込み)。
2022年に発表された、アクアタイマーの新世代モデル。アクアタイマーを特徴づける独特なインデックスやケースフォルムを踏襲しながら、ベゼルにはやや丸みをつけるなど、水中での操作性にも配慮している。
誤作動と潜水時間の誤読を防止するため、セーフダイブ・システム付き機械式回転式アウター/インナーベゼルを採用する。防水性を30気圧に高めた点も、ダイバーにうれしいスペックだ。
なお、2022年の現行アクアタイマー・オートマティックから、自社製ムーブメントCal.32111を搭載しており、約120時間というロングパワーリザーブを獲得している。
IWCの時計には「質実剛健」の言葉が似合う
150年の歴史を持つIWCは、確かな技術力や永久修理保証により、時計愛好家から高い信頼を得ているブランドだ。「質実剛健」を体現する洗練されたデザインや繊細な仕上げが、IWCの大きな魅力である。
代表的なコレクションとしては、「ポートフィノ」「ポルトギーゼ」「アクアタイマー」が挙げられる。それぞれの定番をチェックし、お気に入りのモデルを探してみよう。