なぜグランドセイコーは季節の移ろいを文字盤で表現し始めたのか? 春分をテーマにした文字盤を持つ「SBGJ251」の魅力に迫る

2022.05.09

以前のグランドセイコーに対するささやかな変化

 正確な時期まで把握していないが、最近のグランドセイコー(およびセイコー)のウェブサイトでささやかな変化を感じている。それは、商品ページの後半にストラップの組み合わせシミュレーションを提供するようになった点である(筆者がこれに気付いたのはキングセイコー発表時だった)。

 日本は湿度が高いためブレスレットモデルの需要が高く、これを反映するようにグランドセイコーはブレスレット装着を前提としたデザインのモデルが多い。今作もケースとブレスレットのデザインのまとまりは良いが、レザーストラップとの相性が良いモデルでもある。

 ストラップを積極的に交換して、そのモデルが持つさまざまな“顔”を引き出すことは時計ファンの間では嗜みとして認知されているが一般的であるとは言い難い。これを公式サイトでシミュレーションし、時計の多角的な楽しみ方を提示することは、ささやかながら好ましい変化だ。

グランドセイコー HP


季節と人のつながりを強くする「季節を閉じ込めた時計を愛用するということ」

 春分の時期に、まさに春分をテーマとした今作を着用し、そのダイアルが表現する情景と呼応するような新緑の間に桜色が見える景色を眺めながら郊外をドライブするのは幸せな経験であった。これは季節の移ろいや、景色をデザインに取り込んだモデルならではの楽しさであると言える。

 では、そのような楽しみを年間を通して感じるために、四季に合わせて最低4モデルをそろえるというのは、多くの人にとってお財布に厳しい提案だ。ならば、節目となるタイミングの二十四節気に合わせて選ぶのはどうだろうか? 季節をダイアルに閉じ込めたような時計である二十四節気モデルの中からユーザーが思い入れのある季節のモデルを購入して愛用することで、いわば人と季節と時計が三角関係となり、それら三つの間に深い関係を築くことができると考えるからだ。

 例えば結婚記念や御子息の誕生記念に、その季節のモデルを購入し、その季節を閉じ込めたダイアルと共に人生を歩むのである。そして二十四節気を巡って所有するモデルの季節が到来した時に、その記念すべき日を、時計を手に取りながら思い起こすのだ。これは特別な感慨につながりそうであるし、ユーザーと時計の間の幸せな関係性と言えるのではないか。

 このように、時計を購入する際のストーリーを重視したり、それを選ぶ必然性を求めたりする層にとっては、この二十四節気モデルは大きな意味を持つものとなりそうだ。何かの節目に時計を買おうと考えておられる方は、今作に限らずに二十四節気モデルに着目することをお勧めしてみたい。

Contact info: グランドセイコー専用ダイヤル Tel.0120-302-617


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