スポーティーエレガントな佇まいを昇華させる
モダンで緻密なダイアルの描写
最新作「マリーン オーラ・ムンディ 5557」のダイアルは、同コレクションでは最もデザインに凝っている。第3世代「マリーン」に取り入れられた新しい針の形状や立体的なインデックスなどを生かしつつも、ユニークなマルチレイヤーダイアルが絶妙な立体感を生み出し、そのダイナミックなビジュアル表現によって海と旅のテーマをシンボライズしているのだ。
マルチレイヤーダイアルの基盤になるのは18Kゴールド製のプレート。表面にはブレゲのシグネチャーである手作業のギヨシェ彫りによって「マリーン」コレクション特有の新しいウェーブ模様が細かに刻まれ、その上にブルーコーティングが施されている。海を連想させるブルーはまた、ブレゲのブランドカラーでもある。ちなみに、ハンマーで凹凸感を出したサン/ムーンのディスクもこの基盤にセットされ、デイ/ナイト表示を担う。
基盤については従来の「マリーン」と同じだが、注目すべきはその上に重なるサファイアクリスタルのプレートだ。わずか0.4mmの透明なプレートには、メタライズ加工によって世界の陸地と経線および緯線、錨のモチーフが描かれている。2011年発表の「クラシック オーラ・ムンディ 5717」でも世界地図がダイアルに用いられていたが、それは実際に大陸をレリーフ状にしたものであった。これに対して「マリーン オーラ・ムンディ 5557」の場合、世界地図そのものは物理的にフラットに違いないのだが、地図の上に走る経線と緯線のカーブによって地球儀を俯瞰しているような3Dイリュージョンを演出しているところが非常に興味深く、このモデルの見どころのひとつになっている。大陸のモチーフはまた、サテン仕上げとメタライズのターコイズブルーで強調した海岸線によって、海を背にしてくっきりと立体的に見えるのも凝った意匠の視覚効果だ。
真空容器内で金属酸化物をサファイアクリスタルに蒸着させ、表面に金属皮膜の層を形成するメタライズ加工については、とくに珍しいものではないが、ブレゲによると、このモデルのようにメタライズ加工とサテン仕上げ、無反射コーティングなど、さまざまなテクニックをひとつのダイアルに駆使したのは今回が初めてだという。確かに、ブレゲのあらゆる現行モデルの中でもここまでアイデアを凝らした「マリーン」のようなダイアルはほかに見当たらないだろう。
そして、このサファイアクリスタルのプレートにゴールド製のローマ数字インデックスを植え、ミニッツトラックを配したフランジをセットして、ダイアルの立体感はさらに増す。0.4mmという極めて薄いサファイアクリスタルにアプライドインデックスの足を通すための微小な穴を開け、接着剤でそれらをしっかり固定するには繊細な作業を要したと、ブレゲは説明する。
最後に、サファイアクリスタルによる世界地図のプレートの上に「マリーン」独特のデザインによる3本の針を取り付け、風防を成すサファイアクリスタルで密封して、複雑なマルチレイヤーダイアルによる「マリーン オーラ・ムンディ 5557」のフェイスが完成する。最深部に存在する都市名や日付のディスクから風防のサファイアクリスタルまでを数え入れると、階層は実に5層に及ぶ。
誰でも使いやすい実用的なトラベルウォッチ機能と世界の旅へと誘う創意に富んだダイアルデザイン――「マリーン オーラ・ムンディ 5557」を特徴付けるこれらふたつの要素は、スポーティーでエレガントなラグジュアリーウォッチとして人気を博す新生「マリーン」にふさわしい個性として以前から待望されていたに違いない。徹底したクラフツマンシップによる妥協なきディテールとハイクォリティの追求もさすがにブレゲ。「マリーン」の世界観を語る新たなアイコンを担うのは、まさしくこのモデルだ。
18Kホワイトゴールドによる3モデルとともに18Kローズゴールドによる3モデルも展開。「マリーン」のスポーティーなデザインがゴールドのカラーによって一段と華やかに引き立つ。右からブルーのレザーストラップモデルとラバーストラップモデル、各892万1000円(税込み)。ブレスレットモデル、1168万2000円(税込み)。すべて自動巻き(Cal.77F1)。40石。。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。直径43.9mm、厚さ13.8mm。10気圧防水。
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