IWCの手巻きコレクション
IWCの手巻きコレクションといえばこのふたつ。「ポートフィノ」と「ポルトギーゼ」を紹介しよう。
ポートフィノ
「ポートフィノ」という名前は、イタリアにある高級リゾート地「ポルトフィーノ」に由来している。1984年のファーストモデル誕生から現在まで、約40年の時を経てもベースとなるデザインを大きく変えることなくクラシカルで上品な表情を持ち続けている。
IWCのエントリーモデルとして人気を集めるポートフィノだが、「オールドインターファン」からも愛されている。「オールドインター」とは、IWCの過去モデルを表す愛称だ。
手巻き(Cal.59800)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約192時間。18KPGケース(直径45mm)。3気圧防水。325万500円(税込み)。
現行のポートフィノは、ダイアルのロゴがブロック体で表記されているが、かつてのモデルは筆記体だった。ファンや愛好家にとっては、IWCやポートフィノの歴史や時を感じられる魅力的なオールドインターといえる。
ポルトギーゼ
「ポルトギーゼ」とは、ポルトガル人という意味を持つ。1939年にポルトガル商人がIWCへ時計の製造を依頼したことがポルトギーゼ誕生のきっかけとなり、コレクション名の由来となった。
IWCのなかで最も古いコレクションのひとつであるポルトギーゼは、発売当初それほど人気を得られなかった。しかし、1993年にIWCの創業125周年を記念した復刻モデルが時計愛好家たちのハートを射抜き、高い評価を獲得した。
手巻き(Cal.59215)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約192時間。18KPGケース(直径43.2mm)。3気圧防水。生産終了。
ポルトギーゼは、ケースサイズの展開が40.0mm以上と大型であることが特徴。大型のケースサイズとは裏腹にケースの厚さは薄く作り込まれている。
IWCの人気手巻きモデル
IWCの歴代手巻きコレクションから定番と人気モデルを4種ご覧いただこう。
ポルトギーゼ・ハンドワインド・モノプッシャー “ローレウス・スポーツ・フォー・グッド”
本モデルは、恵まれない環境下で生きる子供たちをスポーツを通して支える団体「ローレウス・スポーツ・フォー・グッド」のプロジェクトを支援するためにつくられた。ローレウスの特別モデルは本モデルが14作目、限定500本の生産だ。
手巻き(Cal.59360)。36石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約192時間。SSケース(直径46mm、厚さ13.9mm)。3気圧防水。生産終了。
ローレウスブルーの文字盤は、上品かつ落ち着いた印象が魅力。ケースバックにはハートをのせた手のひらが描かれている。
この絵は、プロジェクトとしてIWCが開催している絵画コンテストの優勝者の作品だ。本作では、中国からの15歳の応募者の作品が採用されている。
ポートフィノ・ハンドワインド・エイトデイズ
モデル名の「エイトデイズ」は、パワーリザーブの長さに由来している。搭載されている自社製ムーブメントのキャリバー59210は、驚くべきことに主ゼンマイをフルに巻いてから約8日もの間、時を刻み続けるのだ。
「8日間」としているが、実は予備としてもう1日分のパワーリザーブがある。パワーリザーブの残日数は、9時位置のパワーリザーブ表示の目盛りから確認できるため巻き忘れの心配も少ない。
手巻き(Cal.59210)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約192時間。SSケース(直径45mm、厚さ11.7mm)。3気圧防水。生産終了。
ケースサイズは直径45mmとかなり大型だが、厚さが11.7mmまで抑えられているため長時間着けていても負担が少なく、袖口への引っ掛かりも気になりにくい。シースルー仕様のケースバックからは、自社製ムーブメントを存分に鑑賞できる。
ポートフィノ・ハンドワインド・ムーンフェイズ
本モデルは、ポートフィノコレクションに初めてムーンフェイズ表示が搭載されたもの。搭載された自社製のキャリバー59800は、約8日分のパワーリザーブを持つが故に、前出の4モデル同様、次の手巻きまで待ち遠しさすら感じてしまうほどだ。
手巻き(Cal.59800)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約192時間。SSケース(直径45mm、厚さ13.1mm)。3気圧防水。177万6500円(税込み)。
初代ポートフィノを強く感じる「ポートフィノ・ハンドワインド・ムーンフェイズ」は、伝統的でクラシカルな雰囲気が魅力。美しく洗練されたデザインは、ビジネスシーンをはじめとしたスーツとの相性が抜群だ。
ビッグ・パイロット・ウォッチ・ビッグデイト・スピットファイア “ミッション・アコンプリッシュド”
実は、パイロット・ウォッチにも多数手巻き時計がある。そのひとつである「ミッション・アコンプリッシュド」は、イギリス出身のパイロット、スティーブ・ボールトビー・ブルックス氏とマット・ジョーンズ氏による修復されたスピットファイアでの世界一周の達成という記録的飛行をたたえるためにつくられた。
手巻き(Cal.59235)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約192時間。ブロンズケース(直径46.2mm、厚さ15.2mm)。6気圧防水。生産終了。
世界限定500本の本モデルは、文字盤のオリーブグリーンやケースのブロンズ、ストラップのブラウンなどヴィンテージ感が強い1本である。とくにケースに用いられているブロンズは、緑青へと移り変わる経年変化を楽しめるのがポイントだ。
12時位置に配された大型の日付表示は、桁ごとに分割されているのが特徴。ケースバックには「SILVER SPITFIRE」と「THE LONGEST FLIGHT(最長飛行)」の文字が刻まれている。
手巻き時計でアナログの良さをさらに堪能しよう
今回紹介したIWCの約8日間パワーリザーブを備えた手巻き時計とは異なり、パワーリザーブがそれほど長くない手巻き時計の場合、毎日の習慣になるほど頻繁に主ゼンマイを巻き上げなければならないこともあるだろう。不便だといえばそれまでだが、裏を返せばそれは時計と向き合える時間ともいえる。
すなわち、主ゼンマイを巻いた回数と同じだけ、時計と人生を共にしたといえるだろう。
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