総評
時間の流れは変わらないし、機械式時計のメカニズムは約400年も変わっていないとは言われるが、それでも2022年も驚かせるような新作時計がたくさん見られた。もちろんスマートウォッチは相変わらず人気であるし、機械式時計なんて時代遅れだなんて意見もある。
為替などの影響で価格は上昇中だが、しかしそれでも時計市場は相変わらずホットなのは、クオリティ・オブ・ライフを高める手段のひとつとして「素敵な時計と毎日を送る」という考え方がすっかり定着したからだろう。
そのため時計ブランド側も、時計を通じたライフスタイルの表現にはかなり力を入れているし、個人的にも、時計の数がライフスタイルの幅の広さの表現だと思っている。
スーツのための時計、犬の散歩のための時計、リラックスのための時計、時間を忘れるための時計などなど、シーンを楽しむための時計を増やしていくことで、その時間をより充実したいではないか。
だから2022年のベストウォッチは、驚きのある個性派でありつつ、時計の向こうにライフスタイルが見えるようなモデルを選んだ。驚異的なダイバースウォッチを着けて海に行くも楽しいだろうし、カジュアルなコラボレーションウォッチで、手元のお洒落を楽しむもいいだろう。
ラグジュアリーなラグスポは、艶っぽいシーンに似合いそうだし、画期的な旅の時計と一緒に海外にも行きたい。そして疲れた夜には、複雑時計の奏でるチクタク音に耳を傾ける。時計が自分自身を語るからこそ、驚きのあり、そして楽しみのある時計を選びたい。
選者のプロフィール
篠田哲生
1975年生まれ。講談社『ホットドッグプレス』編集部を経て独立。時計専門誌、ファッション誌、ビジネス誌、新聞、ウェブなど、幅広い媒体で硬軟織り交ぜた時計記事を執筆している。また仕事の傍ら、時計学校「専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ」のウォッチコース(キャリアスクールウォッチメーカーコース)に通い、時計の理論や構造、分解組み立ての技術なども学んでいる。クロノス日本版のTop 10 Rankingのレギュラー選考委員。2020年には『教養としての腕時計選び』(光文社新書)を上梓。
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