総評
デザイン・性能共に控えめな実用時計と、見せ方にまでこだわった複雑機構が好きな私。上記で挙げた5つのモデル以外にも、ジラール・ぺルゴ「ロレアート」グリーンと、チューダーの「レンジャー」、そしてグラスヒュッテ・オリジナルの「パノマティック・カレンダー」で悩みました。
そして大事なことなのでお伝えしておきますが、今回の順位は優劣による順序ではありません。どれも素晴らしい! たまたまこの5本! たまたまこの順番に筆が進んだだけです!
私の場合、時計選びはまずデザインから。最終的には、登場背景という所に興味関心が移っていきます。登場背景というのは、ブランドがなぜそれを作ろうとしたのか。誰が何をきっかけに言いだして、誰が実現までもっていったのか。ということです。
自分が大切にしたい思いと、ブランドが掲げるコンセプト、モデルの登場背景などに共通の思いを見つけた時は、とてもうれしくなり、より深い興味が芽生えます。今回選んだ作品は、どれも私を深い沼へと引きずり込んだ時計たちです。
近年の新作時計は、コンセプトや登場背景が分かりやすく体現されているのがいいですね! 作品を見て、「ああ、なるほどね!」って理解できることが多い。登場背景やコンセプトと、出来上がった作品にズレを感じないものが多いです。
これはETA問題による結果でもあるかと思います。各社慌てて整えられていったマニュファクチュール化の流れ、それが一巡し、現在はブランドのコンセプトをより強く反映させたムーブメントが主役になったのでしょう。
コンセプトからデザイン・外装設計、そしてそれを実現するためムーブメントと、それぞれが重なり合いひとつの作品が生まれています。表現方法も多種多様なものとなり、我々時計好きにとっては、本当に素晴らしい時代になりましたよね。
選者のプロフィール
ウォッチ情熱応援団 団長
腕時計の面白さを伝えるYoutubeチャンネル「ウォッチ情熱応援団」のメインMC。モノづくりに憧れ、東証一部の電機メーカーへ研究職として就職。しかしマスプロダクトではなく“手仕事”への興味を自覚したことで職人の世界へ転身。“クラフトマンシップへの賞賛』をテーマに年間およそ300本、これまでに1200本を超える動画を投稿。累計再生回数は3220万回(2022年12月時点)を超える。
https://www.webchronos.net/news/79563/
https://www.webchronos.net/features/84393/
https://www.webchronos.net/features/85044/