カシオのオシアナス「OCW-T200S-7AJF」を実機レビュー。ポイントはシンプルフェイスに隠されたハイテクムーブメント

2023.01.24

モーターによって駆動する電子式リュウズ

 今作は電子式リュウズを搭載しているため、一般的な時計とは操作感が大きく異なる。リュウズを2段目まで引くことで、時刻だけではなく、年・月・日まで調整することが可能だ。

 リュウズを回転させると明確なクリック感があり、1クリックごとに分針を1分進むか戻すことができる。そのままリュウズを素早く回転させることで、分針の動きを早送りさせられるが、早送りとはいえ分針を1周させるためにはそれなりに時間がかかるため、少しもどかしさを感じる。

 時刻調整時、秒針は57秒もしくは3秒のどちらかを指すが、これは前者が午前、後者が午後を表している。

 2段引きのまま4時位置のプッシュボタンを押下すると、年の調整に入る。まずは秒針が西暦の10の位を指す(202x年であれば、2時のインデックスを指す)。変更する場合は、リュウズを回転させる。もう1回プッシュボタンを押下すると、同じ要領で西暦1の位を調整することができる。

 更にもう1回プッシュボタンを押すと、今度は秒針が月を指し、調整ができる。再度プッシュボタンを押下すると、秒針は12時を指し、リュウズで日付の調整をすることができるようになる。

 リュウズを1クリックすることで、デイトディスクが回転しだすものの、その動きは非常にゆっくりであり、何日分も調整しようとすると少し時間がかかる。日付は進めるだけではなく戻すこともできる。ちなみに、1段引きではサマータイムの設定変更が可能だ。

 リュウズを押し込んだ状態でプッシュボタンを1回だけ、さっと押すと、電波の受信結果を確認することができる。そう、今作は電波時計である。

 マニュアルで調整しようとすると上述したような手順を踏む必要があるが、電波時計のため、実際にはリュウズに触れる必要性がほとんどない。時刻調整や日付調整に電子式リュウズ特有のクセがあったとしても、それは実用上全くと言っていいほど影響がない。

 標準電波が届かず、モバイルリンク機能が使えず、かつ時刻調整が必要な場面など、そう多くはないだろう。

 しかし、たとえ使わなかったとしても、操作感は時計の個性の一部であろう。リュウズとボタンひとつ、そして3本の針とデイト窓によって、これだけの情報を表すことができるのは、紛れもなくこの電子式リュウズのお陰であり、このオシアナスにもエレクトロニクス技術に長けたカシオのDNAが、しっかりと受け継がれていることを主張している。


利便性を飛躍的に高めるモバイルリンク機能

 最後に、モバイルリンク機能について簡単に触れておきたい。この機能は、スマートフォンにインストールした専用アプリ「CASIO WATCHES」に、登録無料の会員サービス「CASIO ID」でログインし、手持ちの時計とBluetoothでペアリングさせることで使用可能となる。

オシアナス アプリ

今作を使いこなす鍵は、モバイルリンク機能にある。リュウズ操作でも各種設定が可能だが、アプリを介することで、より簡単に行うことができる。ソーラー発電量や時刻合わせの履歴を確認することも可能。

 接続中は秒針が7時位置の“C”を指し、自動で時刻修正がされる。アプリ上で自動時刻合わせの設定を行えば、手動で接続しなくとも1日4回、自動的に時刻が修正される。

 アプリ内では、時計の状態やソーラー発電量などのステータスや、自動時刻合わせ履歴の確認、針の補正などを行うことができる。携帯電話探索機能を設定すれば、時計のプッシュボタンを長押しした際に、スマートフォンを鳴らすことができる。もし、意図せずプッシュボタンが長押しされるようなことが想定されるならば、設定は控えておいた方が良いだろう。

 もちろん、時計とスマートフォンがBluetoothで接続できない距離にあった場合は、これらの機能を使うことはできない。


カシオが提示する、ビジネスウォッチの最適解

 華美さを抑えつつも品のあるケース、視認性に優れた清潔感のあるダイアル、そして標準電波やモバイルリンク機能による正確な時刻表示。これらを特徴とする今作は、まさにビジネスウォッチとしての最適解ではないだろうか。

 ソーラー発電によって基本的にメンテナンスフリーとはいえ、2次電池はやがて劣化する。今作であれば、アプリを通して発電量を確認することで、外見では分かりにくいその変化にも気付くことができるだろう。

 ある日突然、寿命を迎えて慌てるようでは遅い。異常を事前に察知する手段があるものこそ、信頼を置いて愛用することができるのだ。

 個人的に、今やビジネスシーンに時計が必須だとは思わない。パソコンを見れば、スマートフォンを見れば、あるいは街中の至る所で時刻を知ることができるのだ。しかし、腕元に目をやるだけで済むのであれば、時刻を知る頻度はより多くなるだろう。

 そのことが自分に対するモニタリングとなり、マネジメント力の強化につながるかもしれない。あるいは逆に、時計に見惚れて時刻を確認することすら忘れてしまうかもしれない。

 今作がどちらをもたらすかはユーザーに委ねられるが、いずれにしろ他のカシオ製品と同様に、彼ら彼女らの生活を豊かにしてくれることは間違いない。

Contact inf0:カシオ計算機お客様相談室 Tel.03-5334-4869


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