【2023年新作時計ベスト5】時計系人気Youtuberが本気で欲しい！「腕時計のある人生 Channel」RYが選ぶ新作

4位：ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート・クロノグラフ」

元々ポロの競技中に風防を守るための文字盤反転機能だが、現代ではTPOに合わせて楽しむことも多いだろう。

その点、ドレス顔の表面とスポーティな裏面を備える本作は、レベルソの中でも最も振り幅あるTPOを楽しめるモデルではないだろうか。個人的には次期ジェームズ・ボンドにもおすすめしたい。

5位：グランドセイコー「エボリューション9 コレクション テンタグラフ SLGC001」

これまで機械式クロノグラフがなかったグランドセイコーにとって新たな一歩となる本作。オフセットデザインだったクロノグラフ文字盤はシンメトリーとなり、より万人受けしやすそうだ。

2020年発表の傑作Cal.9SA5をベースにしている点も胸熱で、グランドセイコーの進化の勢いが感じられるし、今後の期待もさらに高まった。

総評

今年のWatches & Wondersも非常に面白い内容で、新しい時計が発表されるたびに驚いたり喜んだりした（時計好きは夏だけではなく春もお祭りシーズンなのでお得感がある笑）。

今回ベスト5に選んだ時計はいずれも心から欲しい！　と思った時計を選ばせて頂いた。

それぞれジャンルやカラーなどバラバラのように思えるが、共通しているのは各社の歴史やアイデンティティがしっかりとベースにあり、その上で進化も感じられる時計であるということ。

一方で懸念点もある。それは価格の高騰だ。

これは欲しい！　と思っても、価格を見て渋い顔をしてしまったのは筆者だけではないはず。

世界的な金融緩和の反動、為替、原材料費や人件費、輸送費の高騰などさまざまな要因からか、コロナ禍以降の値上げラッシュは凄まじいものがあり、新作の価格設定もかなり強気なものが多いように思う。

事実、スイス時計協会の時計業界の統計データ「Watches and movements since 2016」から、コロナ禍以前である2019年と22年で、スイス時計の1年間の輸出量を見ると
・数量ベースで2019年：2064万5670個 → 2022年：1578万449個（-23.6%）
・金額ベースで2019年：205億270万スイスフラン → 2022年：236億7090万スイスフラン（+15.4%）
と、量は大きく減っているのに対し、金額は大きく上がっていることが分かる。

一方、ミドルクラスの価格帯で素晴らしい時計も見られた。

特に、ボーム&メルシエの「リビエラ アズール 300m」は高耐磁かつクロノメーター級の精度を誇る自社製ムーブメントのボーマティックを搭載し、さらに300m防水に約120時間パワーリザーブというハイスペックでありながら50万円台という嬉しい価格。しかもダイバーズウォッチでありながら厚さ12mmというパッケージングも素晴らしく、突出した時計だと感じた。

各社時計は間違いなく良くなっている。と、同時に価格も厳しいほどに高くなっている。欲しい時計を買うために、仕事を頑張らねばと思わされるWatches & Wonders 2023であった。

選者のプロフィール

腕時計のある人生 RY
1990年生まれ。本業は外国船の“船長”。初めて購入した機械式時計をきっかけに腕時計の魅力に取り憑かれる。腕時計好きの人口を増やすため、2019年にブログ「腕時計のある人生」を開設。20年にはYouTube「腕時計のある人生Channel」を開設した。webChronosへのインプレッション記事の寄稿やForza Stayleの人気動画シリーズ「ロック福田の腕時計魂」への出演なども行う。