創業135周年を迎えたカール F. ブヘラ。外装とムーブメント、発表方法に至るまで、いくつかの新しい試みとともに登場した最新作は、新時代の幕開けにふさわしい革新性に満ちている。
個体ごとに個性が宿る、フォージドカーボンケースを採用する。手彫りによる立体的なムーンフェイズは、夜空に輝く月そのものだ。自動巻き(Cal.CFB A2055)。33石。パワーリザーブ約55時間。フォージドカーボンケース(直径41.6mm、厚さ12.49mm)。3気圧防水。世界限定88本。539万円(税込み)。
Text by Tsubasa Nojima
Edited by Kouki Doi (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2023年5月号掲載記事]
マネロ ペリフェラル パーペチュアルカレンダー ブラック
創業135周年を迎えたカール F.ブヘラは、新時代の幕開けを飾るべく、カプセルコレクション5モデルそれぞれを、世界中の異なる国際都市と関連付けて発表した。今回紹介する「マネロペリフェラル パーペチュアルカレンダー ブラック」は、東京から発表されたモデルだ。
まるで漆黒の夜空を思わせる本作には、革新性に満ちた試みが盛り込まれている。ケース素材は、ブランドとして初採用のフォージドカーボンだ。カーボンファイバーを型に入れ、圧縮成形したこの素材は、その製法上、繊維の向きがランダムに並ぶ。これにより、軽量かつ強靭という素材特性に加え、時計1本1本に個性が生み出される。
マットブラックダイアルに規則的に並ぶ4つのインダイアルは、12時位置から時計回りに、月と閏年、日付、ムーンフェイズ、曜日を示す。ムーンフェイズは、アベンチュリン製のディスクとホワイトゴールドに手彫りの彫金を施した月で構成され、南北両半球の月齢をリアルに表現する。これらの複雑機構は、新開発の自社製ムーブメントによるものだ。
腕時計を作り慣れた同ブランドらしく、本作は実用面も洗練されている。ペリフェラルローターを採用したムーブメントは、軽量なケースの薄型化を実現し、ケース内部には、チタン製コンテナを格納することで防水性を確保している。
東京からの発表時、そのPRに起用されたのは、バーチャルモデルのimmaであった。現代日本を象徴するチョイスだが、老舗時計宝飾店を母体とする同社がポップカルチャーとタッグを組んだことには、正直驚かされた。しかし、この選択こそ、新時代の幕開けを宣言した同社の言葉が、形だけではないことを表しているのではないだろうか。
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