CURRENT PIECE
往時の時代性を残しながら現代の時計へと跳躍した「真正レプリカ」
ロイヤル オークオリジナル復刻モデル
現行品のRef.15202ST。「ジュビリー」(1992年)の外装に、太めの針とインデックスを合わせたモデルである。若干厚みを増したほか、ブレスレットの作りや仕上げも改善されている。搭載するのはオリジナルモデルに同じCal.2121。なおここで挙げたブルーダイアルは、ブラック、ホワイトダイアルと共に現在は生産休止となっている。自動巻き。36石。1万9800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SS(直径39mm)。50m防水。参考商品。
現行品のRef.15202ST。「ジュビリー」(1992年)の外装に、太めの針とインデックスを合わせたモデルである。若干厚みを増したほか、ブレスレットの作りや仕上げも改善されている。搭載するのはオリジナルモデルに同じCal.2121。なおここで挙げたブルーダイアルは、ブラック、ホワイトダイアルと共に現在は生産休止となっている。自動巻き。36石。1万9800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SS(直径39mm)。50m防水。参考商品。
1972年に発表された、直径39㎜の「ロイヤル オーク」。一時期生産休止となったが、同社のアイコンとして今なおカタログに留まっている。しかし、まったく同じではなく、90年のRef.15002STで若干造形に手が加えられた。これをトランスパレントバックに改めたのが92年の通称「ジュビリー」(Ref.14802ST)であり、現行のRef.15202STはその外装を受け継いだものである。
オリジナルとカレントピースの違いは、まず側面にある。15002以降、ケースバックは厚くなり、ケースサイドも若干太くなった。またベゼルとケースの間に差し込まれたラバー製のインナーケースも厚い。強いて挙げると、弓状の反りもゆるく、全長も心持ち長めだ。薄型という特徴を守りながらも、やや肉厚に改められた(といっても、厚さは8㎜しかない!)のが90年以降のロイヤル オークと言えるだろう。ケースが強固になったためか、バックルも異なる。オリジナルのバックルは価格にそぐわないほど簡素だったが、現行品は強固なバネ式となった。併せてブレスレットの無駄な遊びが小さくなったのも、進化と言えよう。
ただより大きな変化は、意匠や機能ではなく素材にある。72年のファーストモデルは、ステンレスに304Lを採用。対して現行品は316Lである。クロムの含有量が高いため、外装全体が白っぽく見えるのが特徴だ。もちろん耐食性や硬度は改善され、実用性は大きく高まった。
原型を留めながらも、大きなブラッシュアップが施されたRef.15202ST。現在はロゴ位置が変更された「ロイヤル オーク・エクストラ シン」が系譜を受け継いでいる。多くの愛好家にとって、この時計は今もって「聖杯」のひとつなのである。
Ref.15202STのディテール。(左上)若干太くなった針とインデックス。夜光塗料も、トリチウムからスーパールミノヴァに変更された。針、インデックス、ビス共に18KWG製。(右上)手彫りのギョーシェが施された「タペストリー」文字盤。パターンが拡大し、下地の模様も変更されている。(中)厚みを増した側面。ケースバックだけでなく、ケースサイドとベゼルの厚みも増えた。弓状の反り返りも、オリジナルに比べて抑えられている。(左下)2ピースという特徴を守りながらも、トランスパレント化された裏蓋。「ジュビリー」との違いはローターのみ。(左中)5つの部品からなる精巧なバックル。プレートは「はしご」形だったが、近年APのロゴをかたどったものに変更された。(右下)7段階のコマに分けられたブレス。左右の遊びが小さくなったほか、中ゴマの上下にはポリッシュが施される。外装の加工精度は圧巻である。