CHRONOMAT EVOLUTION
新しいデザインコードでアップデートされたクロノマット・エボリューション

クロノマット・エボリューション(2004)

クロノマット・エボリューション(2004)
Ref.156(旧13356)。新しいデザインコードを持つ現行クロノマット。ケースサイズが拡大されたほか、より誇張された「面」に特徴がある。外装の加工精度はクロノマット2000に比して良く、セキュリティ・プッシュボタンや回転ベゼルの感触はスムースだ。この価格帯における、リファレンスのひとつ。自動巻き。2万8800振動/時。25石。パワーリザーブ約42時間。SS(直径43.7mm)。300m防水。参考商品。

 ライダータブに代表される、クロノマットの独創的な意匠。それを引き継いだ最後のモデルが、2004年の〝エボリューション〟である。デザイナーは、1989年からブライトリングに参画したエディ・ショッフェル。彼は従来のデザインコードを踏まえつつも、大幅なアップデートに成功した。ショッフェルが狙ったのは、彼曰く、既存のクロノマットに不足していた「色気」の追加である。それはいくつかのポイントに見て取れよう。ひとつは湾曲したラグ。従来までは一直線だったが、鍛造ケースの「面」を誇張するように曲げられている。フライトジャケットの袖には引っかかるだろうが、立体感はより強調された。ベゼルの側面も、下方に向かってわずかに絞られたほか、ベゼルを固定するビスも、よりフラットに変更された。より「面」を強調した新クロノマットのデザインコード。これは今や、ブライトリングの新しい定石になろうとしている。

 もっとも大きな変更は、ケースサイズである。従来の39㎜に対して、直径は43.7㎜。これにより防水性能は300mまで高められた。ダイアルも立体的な仕立てが可能になった。また、直径30㎜のキャリバー13は、インダイアルの配置がかなり離れている。ショッフェルは、離れたインダイアルが違和感を与えないよう、その処理に気を配ってきた(クロノマットの進化は、インダイアル処理の進化と軌を一にしている)。「クロノマット2000」は最も成功した例だが、なおインダイアルが外周に寄っていたのは否めない。しかし本作では、ケースサイズを拡大することで、インダイアル配置の最適化に成功している。

アップデートしてなお、クロノマットらしさを色濃く残した〝エボリューション〟。手に取る価値は大いにあろう。但し、本作は残念ながら2011年に生産終了となっている。

(左上)最適化されたインダイアルの配置。従来モデルでは、文字盤外周側に寄っていたが、時分針側と、文字盤外周側の距離がほぼ等しくなった。
(右上)1/5秒から1/4秒刻みに変更された秒インデックス。これによりクロノグラフ針は、インデックスと適切に重なる。ただしポリッシュされたローマ数字は簡単にブラックアウトするため、視認性という点においてはバーインデックス仕様が良い。
(中)ラグを湾曲させたケース。サイズは拡大したが、装着感はむしろ向上した。「面」を強調した本作らしく、風防も、ややドーム状になっている。(左下)改良された一方向回転ベゼルとライダータブ。側面はわずかにシェイプされ、ビスもフラットになった。
(中下)パイロット・ブレスレットとバックル。重量の増加に併せて、より強固なものに変更された。
(右下)ケースサイドと裏ブタ。セキュリティ・プッシュボタンにより、300mの防水性を実現。
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