Royal Oak OFFSHORE
CHRONOGRAPH [44MM]
さらに先鋭化するケースデザイン
Ref.26401PO。SSケースの6400をPtケースに改めたモデルである。外装の完成度は圧巻だ。2011年初出。自動巻き(Cal. 3126/3840)。59石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。Pt×セラミックス(直径44mm)。100m防水。695万円。
ロイヤル オーク オフショアの人気は、1999年の映画「エンド・オブ・デイズ」で決定的となった。主演のアーノルド・シュワルツェネッガーは、ブラックPVDケースの「エンド・オブ・デイズモデル」(Ref.15770)を腕に巻き、世界中の観客を魅了した。この成功が、オフショアのあり方を変えたと言えなくもない。以降オフショアはさまざまな限定モデルを加えるようになり、一部のモデルはケースサイズを拡大した。有名なのはふたつの限定モデル、2003年の「T3」(直径48㎜)と07年の「アリンギ」(直径44㎜)だろう。もっともオーデマ ピゲは、際限ないケースの拡大には懐疑的だった。直径44㎜サイズのケースがレギュラー化されたのは、実に11年のことである。
1993年から現在に至るまで、オフショアは複数回のリファインを受けている。ムーブメントが自社製に置き換わり、耐磁ケースが廃された2006年のものが最大の変化だが、11年の手直しも大きな変化と言える。後者で加わった44㎜モデルは、オフショアの特徴であるマッシブさをより誇張した試みだった。ベゼルにはブラックセラミックスが与えられ、ふたつのプッシュボタンはスクエアに変更されたほか、リュウズガードの形状はよりエッジが強調された。その造形は、かつての限定モデルの要素を、巧みに取り入れたものといえる。もっとも限定モデルの造形を量産モデルに転用できた背景には、加工技術の進歩がある。とりわけ、ベゼルとプッシュボタンで用いられた「割れないセラミックス」は、ケースメーカーの買収が大きな一因だった。量産型オフショアで初めて採用されたプラチナケースも、理由は同様だ。オーデマ ピゲが進めてきたケースの内製化と工作機械の刷新。本作は、そういったオーデマ ピゲの充実ぶりを示すモデルと言えるだろう。