ブルガリ「オクト」は、いかにして”ブルガリの新しいアンバサダー“となったのか

ハイコンプリケーションに挑む独自のアプローチ
〝超薄型〟という新しいプラットフォーム

ブルガリCEOのジャン-クリストフ・ババンは、ブルガリが目指す方向性のひとつに薄型化を挙げた。立体感を強調したオクトもその例外ではなく、やがて3つの極薄モデル「フィニッシモ」を加えることとなった。薄さと立体感の両立は、デザイナーにとって永遠の課題である。ではボナマッサはどうアレンジを加えたのか?

オクト

オクト フィニッシモ
2014年初出。ケース厚がわずか5.15mmしかない超薄型時計。搭載するムーブメントも、わずか2.23mmの厚さしかない。手巻き(Cal.BVL128フィニッシモ)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。Pt(直径40mm)。30m防水。303万円。

オクト フィニッシモ トゥールビヨン

オクト フィニッシモ トゥールビヨン
厚さ1.95mmの手巻きトゥールビヨンを搭載した薄型時計。地板を抜き、一部の輪列はベアリングで支えられている。手巻き(Cal.BVL268トゥールビヨン フィニッシモ)。13石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約52時間。Pt(直径40mm)。30m防水。予価1402万円。

 細かいチューニングでキャラクターの違いを演出するブルガリ。その手腕は、3つの超薄型時計コレクション「フィニッシモ」にも見て取れよう。このモデルが薄型であることを示すのは、細身に仕立てられたインデックスだ。超薄型時計固有のディテールを盛り込むことで、この時計は、真正面から見ても薄型であることが分かるようになっている。その一方で、ボナマッサは「立体感を維持することにも気を配った」という。それを示すのが、ラグの端末処理だ。オクトとオクト ローマではケースギリギリまで斜面が続いているが、フィニッシモでは意図的に途中で裁ち落とされた。04年モデルほど極端ではないが、この薄型時計が、腕上でらしからぬ立体感を見せる一因が、この巧みなラグの処理にあるのだ。

オクト フィニッシモ ミニッツリピーター

オクト フィニッシモ ミニッツリピーター
世界最薄のミニッツリピーター。音量・音質ともに極めて優秀である。手巻き(Cal.BVL362、フィニッシモ・ミニッツリピーター)。36石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。Ti(直径40mm、厚さ6.85mm)。50m防水。世界限定50本。予価1762万円。

 力と普遍性を湛えたデザインはそのままに、スポーツウォッチ、ドレスウォッチ、そして薄型時計として仕立て直された3つのオクトコレクション。ボナマッサは自身のアイデンティティであり、ブルガリが彼に期待したイタリアン・デザインの本質をこう語っている。

「ドイツのデザインとイタリアのデザインは似ている。つまり形は機能に従う、だ。しかし私たちは異質なものを、笑って陽気にはぎ取るのだ。いいかえると、私たちはユーモアを好むがシリアスなのだ。これがイタリアン・デザインの魅力であり、私たちの時計がユニークな情熱を発する理由だ」

 改めて述べるが、ブルガリのオクトは、厳密な意味でのジェンタ・デザインではない。しかし独創的でありながらも時計としてのコードを守り、そしてユーモラスだがシリアスな造形を持つオクトは、実のところ、ジェンタ・デザインそのものではないか。ブルガリは、ジェンタに並ぶような、新しいアイコンを打ち立てることに成功したのである。

オクト フィニッシモ ミニッツリピーター

リピーターのダイアルにフォーカスしたデッサン。音響効果を持たせるため、大半のインデックスがくり抜かれている。超薄型時計の定石を守って、インデックスはかなり細身に仕立てられた。
オクト フィニッシモ ミニッツリピーター

オクト フィニッシモ ミニッツリピーターのデッサン。ブルガリは一般的なスライド式のトリガーを採用。しかし立体感を持たせるべく、その形状はかなり凝っている。



Contact info: ブルガリ ジャパン Tel. 03-6362-0100


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