ANNUAL CALENDAR[Ref. 5205]
表示窓を扇形に配したボリューミーな表情
年次カレンダー Ref.5205
2010年初出。ケースの立体感を増し、カレンダーの視認性も改善したモデル。時計としての完成度とパッケージングは傑出している。自動巻き(Cal.324 S QA LU 24H/206)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KRG(直径40mm)。30m防水。523万円。
2010年初出。ケースの立体感を増し、カレンダーの視認性も改善したモデル。時計としての完成度とパッケージングは傑出している。自動巻き(Cal.324 S QA LU 24H/206)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KRG(直径40mm)。30m防水。523万円。
ディスクで表示する新しい年次カレンダー。その現時点における完成形がRef.5205である。Ref.5396との違いは、曜日と月表示のディスク。面積を拡大させて視認性を高めている。
最近のパテック フィリップが好む、デザインコードのひとつが扇形のカレンダー表示である。初めて採用したのは、2004年の「年次カレンダー」Ref.5135だった。後にパテック フィリップはこの表示を進化させ年次カレンダーに多用しただけでなく、永久カレンダーに発展させた。
年次カレンダーの日送りを担う24時間車の突起を2つから3つに増やせば、確かに3日間の早送りが可能になる。つまり、永久カレンダーになるはずだ。もっとも理論上、カレンダーの切り替わりには時間がかかるはずだ。それが理由で、同社は生産性が高いであろう〝年次カレンダーベースの永久カレンダー〟を手掛けなかったのではないか。後年にパテック フィリップは視認性の高い扇形レイアウトの永久カレンダーを、非連続型で実現してゆくこととなる。
2010年に発表された年次カレンダーのRef.5205とは、そう言って差し支えなければ、2004年のRef.5135を改良したものだった。視認性は申し分ないし、6年前にリリースされたムーブメントの改良版のため信頼性も高かった。外装も申し分ない。個人的な感想を言うと、かつて、永久カレンダーとそれ以下では、ケースの仕上げはわずかに異なっていた。しかし、仕上げはもはや相違ない。
審美性と実用性を見事なまでに強調したRef.5205は、パテック フィリップという時計メーカーのあり方を、最も具現化したモデルのひとつと言える。もし懐に余裕があるならば、本作は手にすべきだろう。使えて楽しめる時計の、これは最高峰なのだ。
(右)Ref.5205には18KRGと18KWGの2種類がある。これは18KRGケースとラッカー文字盤の組み合わせ。サークル状の金線は、プリントではなく、ダイヤカットで深く彫り込んだもの。まったく歪みのない、ブラック文字盤とのコントラストが際立つ。なお、本作を含めすべての年次カレンダーのインデックスは18Kゴールド製である。加えてRef.5205では分針と秒針がインデックスに完全に届いたため、高級機らしい印象がいっそう強まった。(左)6時位置のムーンフェイズと24時間針。インダイアルのサークル処理が示すとおり、文字盤の加工精度は極めて高い。白い印字の乗り方、発色も申し分なし。
ケースサイド。ラグの内側を大きく抜くことで、時計の立体感を強調している。あわせて、プッシュボタンの位置はリュウズ近くに寄せられた。ベゼルはRef.5035に同じく、内側をえぐったコンケーブ。ケースの厚さはRef.5396にほぼ同じだが、写真が示すとおり、重心は大きく下げられた。
(右)ミドルケースから裏蓋にかけて。立体感を増すため、裏蓋もドームではなく、コンケーブ状の造形を持つ。ラグの抉った部分が示すとおり、磨きも優秀だ。(左)本作が搭載するのは、Ref.5396に同じく自動巻きのCal.324である。
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