HEUER MONACO Calibre11 CHRONOGRAPH
2nd Generation Model
往年の〝左リュウズ〟を復活させた正統派スタイル

ホイヤー モナコ キャリバー11 クロノグラフ

ホイヤー モナコ キャリバー11 クロノグラフ
Ref.CAW211P。2015年初出。2009年にヒットした「モナコ 40周年復刻モデル」をリファインした定番モデル。ケースサイズが1mm拡大されたほか、仕上げも改善された。個人的には、最も望ましいモデルである。自動巻き(Cal.12)。59石。パワーリザーブ約40時間。SS(縦39×横39mm)。100m防水。63万円。

 モナコファン待望のモデルが、往年の左リュウズをほぼ忠実に再現した「ホイヤー モナコ キャリバー11クロノグラフ」(Ref.CAW211P)である。2009年、タグ・ホイヤーは、モナコのファーストモデルを再現した「モナコ40周年復刻モデル」(Ref.CAW211A)を発表したが、限定数はわずか1000本だった。同作の大ヒットを受けて、タグ・ホイヤーは、より再現度を高めた本作を2015年に発表した。ケースサイズは、ベースのCAW211Aに同じ39㎜。ケースの完成度が高いのも、ベースモデルに同じだ。文字盤のカラーを抑え、仕上げも変えた結果、アンティーク感がいっそう強まった。筆者の私見だが、これは歴代モナコのベストではないか

 搭載するのは、やはりセリタベースの自動巻きに、デュボア・デプラ製の2000系モジュールを重ねたムーブメントである。オリジナルのクロノマティックはデュボア・デプラの開発したものだが、この2000系もジャック・ホイヤーの依頼により、レマニア経由で、最終的にデュボア・デプラが完成させたものだ。確かに1997年以降のモナコは、自社製ムーブメントを載せていない。しかし、デュボア・デプラの直系モジュールを載せる現在のモナコは、過去のモナコの延長線上にあると言えないだろうか。自社製ムーブメントの搭載を望む声は少なくないが、モナコには、むしろデュボア・デプラのモジュールこそがふさわしいように思える。加えてこのモジュールは、クロノグラフを作動させても、振り角が落ちにくく、高精度を保つという特徴を持っている。

  ファーストモデルに極めて近い見た目に加えて、外装の優れた作り込みと、正統なムーブメントの組み合わせを持つ本作。かつては悲運の傑作、あるいはカルトウォッチと言われたモナコの、現時点における、最良の完成形と言えるだろう。

ホイヤー モナコ キャリバー11 クロノグラフ

(右)1969年初出のRef.1133を思わせるデザインを与えられたサブダイアル。正しくは2009年のモナコ 40周年復刻モデルの意匠を転用したものだが、スモールセコンドの“袴”まで黒に塗装された。また、オリジナルと40周年モデルはデイト窓の外周にメタルリングをはめていたが、本作ではプリントに変更された。(左)現在のモナコを象徴するディテール。かなり複雑な形状を持つが、細部まで筋目処理が施されているのが分かる。切削技術の向上は、2010年以降のモナコに、洗練されたルックスをもたらした。

ホイヤー モナコ キャリバー11 クロノグラフ

ケースサイド。基本的にはベースとなった、「キャリバー12」(Ref.CAW2111)に同じ。しかしリュウズはファーストモデルに同じく、左側に改められた。モジュールを搭載する本作では、リュウズ位置の変更は極めて容易である。

ホイヤー モナコ キャリバー11 クロノグラフ

(右)搭載するのは、セリタSW300にデュボア・デプラ製の2000系モジュールを重ねたCal.11である。Cal.12との違いはリュウズの位置のみ。(左)ファーストモデルに同じく、横に伸びたバーインデックス。仕上げは高級機らしくダイヤモンドカット。以前もダイヤモンドカット仕上げのインデックスを採用したが、近年はいっそう面が整うようになった。フラットなサファイアクリスタル製の風防と併せて、モナコが急激に魅力を増した一因である。


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アイコニックピースの肖像 タグ・ホイヤー/カレラ

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時計史に輝く1969年の自動巻きクロノグラフ開発競争(前編)

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タグ・ホイヤー「モナコ」/時計にまつわるお名前事典

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