MARINE 5517
次世代スポーティーウォッチの試金石となる〝第3世代〟
マリーン 5517
2018年に発表された第3世代。デザインは大きく変わったが、リュウズガードといった特徴は残された。サイズも大きくなったが、取り回しは良好だ。自動巻き(Cal.777A)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KRG(直径40mm)。100m防水。310万円。
2018年に発表された第3世代。デザインは大きく変わったが、リュウズガードといった特徴は残された。サイズも大きくなったが、取り回しは良好だ。自動巻き(Cal.777A)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KRG(直径40mm)。100m防水。310万円。
大ヒット作となった第2世代のマリーン。その後継機にあたるのが、2018年に発表された現行モデルである。大ぶりなケースと、リュウズガードは従来に同じ。しかし、ベルトを留めるラグがプレートに改められたほか、文字盤のデザインが刷新された。
この大がかりなモディファイが示すのは、スポーツウォッチから、幅広いシチュエーションに向けたモデルへの脱皮、あるいは第1世代への回帰である。デザインの元になったのは、17年発表の「マリーン エクアシオン マルシャント 5887」。ベゼルを細く絞り、文字盤を拡大したこのモデルの意匠は、スポーツウォッチというより、明らかにインフォーマルウォッチを目指したものだった。
マリーンの刷新に際して、ブレゲはそのデザイン要素を、レギュラーモデルにもほぼそのまま転用したのである。スポーツウォッチの人気に伴い、ブレスレットのデザインを刷新したブレゲのことだから、時代の流れを読んだモデルチェンジなのだろう。
外装の質感は、前作よりもいっそう高まった。例えば、ミドルケースとベゼル、ケースバックとの噛み合わせ。間隔が密になったほか、鏡面の歪みは極めて小さくなった。また、プレート状の部品で取り付けているにもかかわらず、ベルトの遊びは皆無だ。直径は40mmと大きくなったが、リュウズがわずかに小ぶりになり、時計の全長も短くなった結果、細腕にもフィットするようになった。
インフォーマルな要素を強めた、新しいマリーン。その一方で、ムーブメントの刷新は、スポーツウォッチとして使えるだけのパフォーマンスをこのコレクションにもたらした。スウォッチ グループによる買収以降、ブレゲはいかにしてムーブメントを進化させてきたのか? 次項では、その点を改めて見ていくことにしたい。
(左)夜光塗料を施した時分針。マリーンが決してスポーツウォッチを称しない一因は、文字盤と針のクリアランスの狭さにある。普通のスポーツウォッチなら、針を太くし、両者の間隔を開ける。しかしブレゲは一貫してマリーンに、程よい太さの針と、文字盤との狭いクリアランスを与えてきた。
(右)マリーンらしく、波模様を加えた文字盤。プレスのように思えるが、これも手作業によるギヨシェ仕上げ。ロゴ外周の枠も同様である。インデックスは夜光塗料入りに変更された。
(右)マリーンらしく、波模様を加えた文字盤。プレスのように思えるが、これも手作業によるギヨシェ仕上げ。ロゴ外周の枠も同様である。インデックスは夜光塗料入りに変更された。
ケースサイド。ラグを短く断ち落とした結果、第2世代よりいっそうマッシブに見える。しかしケース厚は、わずか11.50mmと、多くのビジネスウォッチよりも薄い。ブレゲが、このモデルどう進化させたかったのかは明らかだ。
(左)3針モデルのムーブメントは、前作のCal.517GGから、Cal.777Aに変更された。変更の理由は、おそらくカレンダー窓の位置。Cal.777Aは直径が15リーニュもあるため、カレンダー窓を文字盤の外側に置くことが可能である。緩急針のないフリースプラングテンプと、シリコン製のヒゲゼンマイを備える。高級機らしく、ローター音も極めて小さい。
(右)第3世代を特徴付ける、プレート状のラグ。写真が示す通り、ケースの磨きは極めて良い。また、ストラップのガタツキも皆無だ。
(右)第3世代を特徴付ける、プレート状のラグ。写真が示す通り、ケースの磨きは極めて良い。また、ストラップのガタツキも皆無だ。