モンブラン「ヘリテイジ スピリット オルビス テラルム」
ラテン語で「地球」と「世界」を意味する「オルビス テラルム」と名付けられたこのワールドタイムは2015年に発表。24都市表示のスタンダードなタイプだが、ダイアル中央に北極から見下ろした世界地図を大きく配し、昼夜に応じて大陸の明暗が変化する視覚効果も斬新。ワールドタイム機能の初期設定や旅先での調整は8時位置のプッシュボタンで容易にできる。自動巻き(Cal.MB 29.20)。26石。2万8800振動/時。SS(直径41mm)。

ジャガー・ルクルト「ジオフィジック・トゥールビヨン・ユニバーサルタイム」
2017年発表モデル。ダイアルに世界地図を配したワールドタイムでは最も複雑で、フライングトゥールビヨン搭載も点の試み。昼夜を色分けしたダイアル外周の24時間リングは固定されていて、トゥールビヨンを組み込んだ中央の地図ディスクと都市名リング自体が反時計回りに24時間で1週する。地球の自転とともに、トゥールビヨンが公転を連想させるところも秀逸だ。自動巻き(Cal.948)。42石。2万8800振動/時。PT(直径43.5mm)。


 ワールドタイムはまた、ダイアルに世界地図を描いて視覚的な演出を凝らしたものが以前からあるが、たんなる見栄えではなく、そこにも機能を付与したモデルも増えてきた。ヴァシュロン・コンスタンタンの「トラディショナル」と「オーヴァーシーズ」のワールドタイムやモンブランの「ヘリテイジ スピリット オルビス テラルム」では、24時間表示と連動して回転するディスクが世界地図の上または下に置かれていて、その明暗によって地球の各地域の昼と夜を刻々と示すアニメーションが目を楽しませる。

 ジャガー・ルクルトの「ジオフィジック・トゥールビヨン・ユニバーサルタイム」は、なんとトゥールビヨンを組み込んだ世界地図のダイアルと都市ディスクが反時計回りに24時間で1周するというアクロバティックな動きを見せる。遊びの要素と高度な技術を併せ持つユニークなワールドタイムである。ユーザーのみならず、開発者にとっても、実用複雑時計の一種の頂点にあるワールドタイムは興味が尽きないのだろう。