創業より一族経営を続ける「レイモンド・ウェイル」。同ブランドの創業者は熱心なアートコレクターでもあった。現在のCEOエリー・ベルンハイムは祖父から受け継いだ芸術への情熱を時計製造と融合し、今なおアートの世界に影響を与え続けるジャン=ミシェル・バスキアとのスペシャルエディションが実現した。
自動巻き(Cal.RW5030)。27石。パワーリザーブ約56時間。Tiケース(直径43.5mm、厚さ13.7mm)。10気圧防水。93万5000円(税込み)。
アーティストへのリスペクトと時計製造技術の融合
レイモンド・ウェイルが「フリーランサー」コレクションで、ジャン=ミシェル・バスキアとの世界観を融合させた、スペシャルエディションを展開すると発表した。2023年11月10日より、発売がスタートしている。
バスキアは20世紀で最も重要なアーティストの一人だと評される。1970年代後半から80年代にかけて活躍し、88年に27歳の若さでこの世を去った。単語、文字、数字、ピクトグラム、ロゴ、地図記号、ダイアグラムといった様々な表現方法を組み合わせて創り出すエッジの効いた世界観は大胆で自由で、冒険心に満ち溢れている。作品を通して、若く国際的な都市文化の価値観と願望を体現しようとした、現在もカリスマ的な存在感を放つアーティストである。10年間ほどの活動期間のうちに、3000点あまりのドローイングと1000点以上の作品を生み出したバスキアの生涯は映画「バスキア」として1996年に映画化されているほか、タムラ・デイビス監督によるドキュメンタリーフィルム「バスキアのすべて」が2010年に公開されているので、そちらも合わせてご覧いただきたい。
ベースのブラックに原色があしらわれたカラーリングは、まさにバスキアの描いた世界そのものである。ダイアル中央には1984年の作品である「Pez Dispenser」がデザインされている。王冠を被った恐竜はバスキアのシンボルとしてアートの世界にそれほど詳しくない人にとっても広く知られている。12時位置の王冠にはイエロースーパールミノバが塗布され、アプライドインデックス、時・分針にはホワイトスーパールミノバが塗布されているため、暗所での視認性も高い。
バスキアは、ストリートアートから始まり、アートを通して自らの疑問や思いと向き合ったアーティストの作品はアンディ・ウォーホルやキース・へリングからも愛され、世界中に広まっていった。歴史や詩の書籍を読むことを愛し、聡明だった彼が芸術界で天才、と評される点として挑発的二分法を生み出した功績にあるとされている。これは、例えば「外側と内側」「生と死」「金持ちと貧乏」といった、相対するもの2つに焦点をあてて描かれることだ。
本作においても「HUMAN」を構成する2つの要素「LIFE」「DEATH」が3時位置に描かれている。
ローターはレイモンド・ウェイルのイニシャルを象ったWの形に設計されている。ブルーのガスケットがケースバックにアクセントカラーを添える。
レイモンド・ウェイルとジャン=ミシェル・バスキアのスペシャルエディションが細部までこだわって作られたものであるということがスペシャルボックスからも伝わってくる。バスキアが初期の作品の中で使用していた下地にちなみ、ブラックのアクリル素材製ボックスが用意されている。ボックスの側面にも王冠マーク、内側にはロゴプレートと王冠を被った恐竜「Pez Dispenser」がデザインされた。
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