グランドセイコーは「Kodo」シリーズの新作を2024年12月6日(金)に発売する。世界で唯一、同軸上にトゥールビヨンとコンスタントフォースを搭載したムーブメントであるCal.9ST1を採用した、国産コンプリケーション腕時計だ。全世界で20本の数量限定品であり、希望小売価格は4950万円を予定している。
手巻き(Cal.9ST1)。44石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。プラチナ950、ブリリアントハードチタンケース(直径43.8mm、厚さ12.9mm)。10気圧防水。世界限定20本。4950万円(税込み)。
明るい色味が魅力的な新作「Kodo」
スケルトン仕様である本モデルのムーブメントは、積み重ねられた340以上のパーツで構成されている。重なり合ったムーブメントが織りなす影のグラデーションは、パーツのディティールをよく楽しめることだろう。なお、ケースと裏蓋といった外装パーツには、プラチナ950およびブリリアントハードチタンが素材として用いられている。
本モデルは白漆を塗り重ねた姫路黒桟革をストラップに採用している。金属地肌が輝く銀色のムーブメントと白いストラップとの組み合わせは、明るい印象を覚えることだろう。特徴的な本モデルの色味は、夜明前の淡い薄明かりをイメージしたものなのだ。2022年に発表されたモデルはブラック調の色味で統一されたものだったため、今回発表された腕時計とは対照的だ。
姫路黒桟革は革の黒ダイヤモンドの異名を持つ逸品である。宝石をちりばめたような独特の風合いがある革なのだ。年月を経るたびに、色合いが徐々に白さを増していく特徴を持つ。なお、姫路黒桟革は下地作りに3カ月、漆塗り作業に1カ月を費やすため、仕上がるまでに約4カ月もの時間を要する。摩擦にも強い革だ。戦国時代には大将クラスの甲冑にも使われていたという。なお、付け替え用としてチャコールグレーカラーのクロコダイルストラップが付属する。
複雑機構が生み出す独創的な動きと音
搭載されているCal.9ST1は、コンスタントフォースの中にトゥールビヨンを組み込み、複雑機構を同軸上にて一体化した構造に大きな特徴がある。コンスタントフォースはテンプにエネルギーを均等に供給するための機構であり、トゥールビヨンは重力の影響を軽減させるための機構だ。
また、ムーブメント駆動時の音も特徴的だ。16ビートのリズムに思わせる音を奏でながら動作する。テンプからは1秒間に8回、コンスタントフォースからは1秒に1回鳴った音が重なり合い、16ビートを思わせるサウンドを実現させるのだ。
このモデルの特筆すべき点は、驚異的な複雑機構を搭載したという点だけでない。セイコー創業の地である銀座に構えた工房「アトリエ銀座」にて生み出されている点にある。
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