オーデマ ピゲの R&D ラボが革新的なセラミック素材を発表

2024.05.12

オーデマ ピゲが、時計業界初のポリクロームセラミックを発表した。同社の R&D チームが開発したこのクロマセラミックは、これまでにないカモフラージュ(迷彩柄)デザインで、セラミックパウダーを素早く焼結させる最新のスパークプラズマ焼結(SPS)テクノロジーを用いている。この革新的な技術は他の素材、特にゴールドにも応用することが可能で、最初のプロトタイプは新たなクリエーションとして数ヶ月以内に発表される予定だ。

迷彩柄のクロマセラミック

クロマセラミック

時計業界初のカモフラージュ モチーフを実現した新しいクロマセラミックは、これまでにない新たなデザインの可能性を開くだろう。©オーデマ ピゲ提供


最先端の製造プロセス

クロマセラミック

 クロマセラミックはこれまで数時間かかった焼結時間を、数十分に短縮する最新のスパーク プラズマ焼結(SPS)の技術を応用している。マルチカラーのカモフラージュモチーフをつくるには、まずそれぞれの異なる色のセラミックパウダーを円形のグラファイト型に注意深く配置し、金型に高電流をかけグラファイトを介した伝導により焼結させる。電流により瞬時に高温となると同時に金型の両側からかけた圧力により短時間でパウダーが焼結し、セラミックのディスクができあがる。

クロマセラミック

 このプロセスは精密なスキルを必要とし、チームはテストを何度も繰り返し最終的な成果を獲得した。焼結サイクルの間にセラミックパウダーが圧縮され、そのパターンは毎回わずかに変化するため、一つひとつのピースはユニークな模様に出来上がる。このようにパターンにバリエーションがあるにもかかわらず、各セラミック部品の統一感はしっかりと確保されている。さらに製造されたディスクはケースにもベゼルにも使うことができ、素材のユニークな個性を十分に活かすことが可能だ。パウダーは色によって反応が違うので、短時間の焼結と冷却の間に破損やひび割れが起きるリスクがあるため、非常にデリケートな工程を行う必要がある。

非常に硬度が高いディスクを加工する

クロマセラミック

 製造された非常に硬度が高いディスクは機械加工で最終的な形状に仕上げられる。各部品はプレポリッシュまたはプレサテン加工され、その後マニュファクチュールのトレードマークであるサテンとポリッシュ加工を手作業で施すのだ。

クロマセラミック

カモフラージュ(迷彩)文様が浮かび上がるケースとベゼル

クロマセラミック

 このように迷彩柄が浮かび上がる素材は存在しなかった。焼成環境によって個体差が出てくることもユーザーにとっては自分だけのモデルとして強い愛着が持てる可能性が高い。


常に前進する革新的な素材の研究

 1972 年に登場した有名な「ロイヤル オーク(5402ST)」は、それまでゴールドウォッチに限られていた高級な仕上げをステンレススティール素材に施した。オーデマ ピゲはこのように素材のバリエーションを常に広げてきたブランドである。「ロイヤル オーク オフショア」では 1998 年にチタン、2004 年にフォージドカーボン、2008 年にセラミックと、発売当初から素材のバリエーションを展開。セラミックは 1980 年代の終わりには既にバンブー コレクションに使っていた。2002 年発売の「ロイヤル オーク コンセプト」ではさらに素材の展開が進み、ケースはチタンと軽量で耐久性に優れたハイテク合金アラクライト 602 を組み合わせたものだった。2008 年の「ロイヤル オーク コンセプト トゥールビヨン クロノグラフ」では、カーボン素材を生かした前衛的なデザインが新たな足跡を記した。2023 年、オーデマ ピゲは時計史上初の快挙となる希少なバルク メタリック グラス(BMG)を使った「ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン」モデル(ref. 16202XT)をカタログに登場させた。

 オーデマ ピゲそして時計業界にとっても初のクロマセラミックにより、マニュファクチュールは、素材の組み合わせ、カスタム化、デザインの可能性をさらに広げ、時計業界において未来への展望を開くことだろう。


Contact info: オーデマ ピゲ ジャパン Tel.03-6830-0000


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