チューダーは、フランス海軍航空隊のニーズに応える新作「ペラゴス FXD GMT “ZULU TIME”」を発表した。ペラゴス FXDは、フランス海軍特殊部隊と共同開発されたモデルであり、それをベースにフランス海軍航空隊の要求に合わせて、GMT表示機能が追加され、マスタークロノメーター化も果たしたのが本作だ。従来のペラゴス FXDと同様に、ストラップ取り付け部は固定式（”Fixed”がモデル名の由来）で、フランス海軍航空隊のフライトスーツのカラーに合わせたオリーブのストラップが組み合わされる。
チューダーとフランス海軍のパートナーシップ
チューダーは、1956年にフランス海軍へダイバーズウォッチを提供したことをきっかけに、1961年に制式サプライヤーの地位を得ている。供給されたモデルの中で有名なものは、1970年代半ばから1980年代まで供給されたRef.9401であり、象徴的なブルーのダイアルとベゼル、現在の「ブラックベイ」のアイコンである「スノーフレーク」針を備えたモデルであった。この歴史的なパートナーシップを記念し、2021年にフランス海軍の戦闘ダイバーと共同開発した海中ナビゲーションのためのモデルとして発表されたのが「ペラゴス FXD」である。
自動巻き（Cal.MT5652-U）。28石。2万8800振動／時。パワーリザーブ約65時間。Tiケース（直径42mm、厚さ12.7mm）。200m防水。65万1200円（税込み）。
ミッションの基準時間となるズールー時間を表示可能
今般発表されたのは、フランス海軍航空隊と共同開発した「ペラゴス FXD GMT “ZULU TIME”」である。直径42mm、厚さ12.7mmのグレード2チタン製に、24時間目盛り入りの両方向回転ベゼルを組み合わせ、GMT表示機能を追加している。軍事、特に航空分野では、ローカルタイムではなくてGMT（正確には、協定世界時間UTC）を基準にすることが多く、フランス海軍航空隊でもこれを基準としている。この基準時間は軍事用語でズールー時間と呼ばれ、本作の名称の由来となっている。
“24”が12時位置となるように両方向回転ベゼルをセットし、先端に三角形のポインターを備えた赤いGMT表示針をベゼルの表示に合わせることで、ズールー時間の表示となる。時分針はローカルタイムに設定し、2つのタイムゾーンが表示されることとなる。ここから、3つ目のタイムゾーンのズールー時間に対する遅れ進みに応じて回転ベゼルを回転させて設定することで、同時に3つの地域の時刻を確認可能としている。また、時分秒針とダイアル上のインデックスはブルーの蓄光塗料、ベゼル上の24時間表示とGMT表示針の先端はグリーンの蓄光塗料と使い分けられていることで、暗所でもひと目で識別可能となっている。
マスタークロノメーター認定を受けた高い実用性
また本作では、時期を発する装置の多いコックピット内でも精度と信頼性を確保するため、高い耐磁性能を備え、高磁場環境やその他の厳しい条件でも精度が一定範囲内であることを検定によって確認したマスタークロノメーター認定を受けている。加えて、約65時間の「ウィークエンドプルーフ（週末耐性）」となるロングパワーリザーブを備え、実用性が非常に高い仕上がりとなっている。
良好な着用感とアイコンとなる固定式のストラップバー
グレード2チタンケースのため軽量であり、直径42mm、厚さ12.7mmのサイズ感も、200mの防水性能や強度確保のために十分なサイズを確保しつつ、着用性を高めるためにコンパクトに仕立てられている。
FXDの名前の通り、ストラップバーは固定式で、一般的なラグ部にループが設けられた形状になっている。ここに通されるのが、フランス海軍航空隊のパイロットが着用するフライトスーツを思わせるオリーブカラーのストラップである。かつてのチューダーは、フランス海軍に時計を納品する際にはブレスレットやストラップ無しの状態で納品しており、隊員はハンドメイドのストラップなど、各々にフィットするものを取り付けていた。本作のストラップはこの歴史にオマージュを捧げるものとなっている。
ストラップに用いられるファブリックは、フランスのサン・テティエンヌで150年以上家族経営を続けるジュリアン・フェール社によるもので、19世紀の織機を用いて製造されている。ピンバックルとキーパーはケース同様のグレード2チタン製である。
