ジャケ・ドローは、日本の侍の面頬をモチーフとし、それを尊重しつつも色や形に自由な解釈を加えて比類ないモデルを作り上げた。この「トゥールビヨン スケルトン サファイア – 武士道」に生命を吹き込むために、彫刻、彩色、エングレービング、エナメル装飾、セッティングといった分野の多くの熟練の職人に協力を求めた。ジャケ・ドローではいつものことだが、世界で1本しか制作されないユニークピースである。
トトゥールビヨン スケルトン サファイア – 武士道
![トゥールビヨン スケルトン サファイア “ラスト サムライ](https://www.webchronos.net/wp-content/uploads/2025/02/2-13.jpg)
自動巻き(Cal.Jaquet Droz 2625SQ)。30石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約8日間。サファイアクリスタルケース(直径42mm、厚さ13.76mm)。30m防水。42万7000CHF。
海外では「サムライ(侍)」として知られ、何千年も前から日本の伝説の一部をなしてきた武士は、現実と伝説の間にある存在となっている。能や歌舞伎を考えてみても日本文化での面は単なる装飾以上のものであり、公式に記録されている面は 140 種類近くにのぼる。しかし、武士道(武士が従うべき道徳・規範)における面は特別な位置を占めている。面頬は、武士の名誉の掟に定められた 7 つの基本的価値観(義、礼、勇、名誉、仁、誠、忠義)を表現している必要があり、面頬をかぶる者の力を誇示し、敵を恐れさせ、精神的な守りを体現し、年長者に敬意を払うものでなければならないからだ。こうした必要性を満たすために、武士の面は日本の神々や悪霊からもいくつかの特徴を借りている。
精巧に作りこまれた面頬
![トゥールビヨン スケルトン サファイア “ラスト サムライ](https://www.webchronos.net/wp-content/uploads/2025/02/4-10.jpg)
覆い隠すものがまったくなく、精巧に作りこまれたディテールまで鑑賞することができるサファイアケース。面頬の大部分は手作業による彩色が施されているが、ツノは半透明のエナメル加工となっている。平らな面は全くなく、レッドゴールドのベース部分にエングレービングを施し、ゴールドで縁取った目、鼻、口が強調されている。ジャケ・ドローとしては初めて、ムラーノガラスのビーズをセッティングし、メインカラーとなっている翡翠色、そして手作業によるペイント仕上げの2 本の針の威嚇的なレッドのアクセントを引き立てている。
自社製の複雑ムーブメント
![トゥールビヨン スケルトン サファイア “ラスト サムライ](https://www.webchronos.net/wp-content/uploads/2025/02/5-10.jpg)
本作には複雑ムーブメントを搭載。12時位置にトゥールビヨン、6時位置に香箱を配置することで、バランスを取っている。このふたつの機構は、ユニークな特徴を備えたスケルトン加工を施したレッドゴールド製ローターを通してケースバックから眺めることができる。面の裏側には手描きで非常に洗練された桜の花が描かれている。通常、彫金細工の裏面は、研磨することはあってもペイントまで施されることは滅多にない。
![トゥールビヨン スケルトン サファイア “ラスト サムライ](https://www.webchronos.net/wp-content/uploads/2025/02/6-8.jpg)
職人の技術が問われる彫刻と彩色工程