オメガが提供するアンティークウォッチ市場への新たな起爆剤
オメガより30年以上の歴史を持つ同社の時計を対象に、その真贋性やオリジナリティーを保証する「オーセンシティ(信頼性)認定制度」を導入することが発表された。
この制度を導入する意義は大きい。アンティークウォッチにつきものとなるのが、その真贋の判定である。近年に製造されたモデルであれば、コレクターたちが蓄積してきた情報の利用やブランドでのOH可否によって真贋の確認ができることが多い。しかし、アンティークウォッチの場合は一般に未知の部分もあり、真贋の判定が難しい場合も少なくない。この制度によって認定されたアンティークウォッチであれば、安心して売買することができる。
この制度では、スイス本社のヘリテージチームによってオーセンシティ認定の可否を判断する。そのため、時計を直接スイス本社へ送付するか、あるいは各国のブティック経由でスイス本社へ送付する必要がある。残念ながら、現時点では日本国内のブティックはサービスに対応していないが、対応可能なブティックを順次増やす予定とのことなので、今後に期待したい。
既に同社は、多くの他ブランドと同様に、「アーカイブ参照サービス」を提供している。これは、同社が所有する製造・販売データを基に、アーカイブを発行するものであり、特にアンティークウォッチ市場では、その時計の真贋を裏付ける手掛かりとして重視されている。
コレクターが所有しているアンティークウォッチが調査されることで、思わぬ発見があるかもしない。時計史に残る数々の偉業を成し遂げてきた同社だからこそ、その期待は大きい。
「オーセンシティ(信頼性)認定制度」との大きな違いは、現物の時計を専門家の目で直接見るか否かだ。「アーカイブ参照サービス」では、時計オーナーが自ら個体番号や時計の写真等を専用フォーマットに記入・添付し、申請する。製造年等の調査であれば「アーカイブ参照サービス」で十分であるが、時計内部の状態も含めたより詳細な情報を得るためには「オーセンシティ(信頼性)認定制度」の方が有効であることは間違いない。
今回の制度導入によって、同社のアンティークウォッチ市場はより盛り上がることとなるだろう。オメガはすでにアンティークウォッチを対象とした「修復サービス」も行っており、旧来からの時計オーナーとブランドの歴史を大事にしていこうという姿勢を改めて感じることができた。今後の動きにも注目していきたい。