HYTは、「H5」の限定モデルとして、「H5 ブルーエディション」を発売する。限定数量は25本だ。「H5」は同社の他のモデル同様に、液体によって時刻表示を行うムーブメントを搭載しており、「H5 ブルーエディション」では、ブルーの液体が過去の時間、無色の液体が未来の時間を示す。
驚異のメカニズムで時の流れを表現する、芸術と科学の結晶
液体を使用した独自の方法で時刻表示を行うHYTのH5に、限定モデルが追加される。ブルーの液体を用いた「H5 ブルーエディション」だ。このモデルでは、ブルーの液体が過ぎ去った時間、無色の液体が未来の時間を示し、その境目を現在時刻として表示する。この時刻の表示方法は、本来時間というものが持つ流動性を表現すべく、同社が研究を重ね実現したものである。
時計と液体との関係性は古く、紀元前16世紀頃には水を用いた時計が存在していたといわれている。日本でも西暦671年に天智天皇が漏刻(アジア圏の水時計)を使い、日本で初めて鐘を打った記録が残されており、それは現在「時の記念日」として制定されているほどである。しかしながら、それほどの関係性を持ちながらも現在の時計は針によって現時刻一点のみを示すものばかりである。本来、時というものは流れる水のようなものではないのか。そんな疑問を持ったHYTは、幅広い分野の専門家を集め、理想の時計を作るために研究を重ねた。そうして完成したものが、同社の独創的なモデル群である。
手巻き式のムーブメントには、一般的な機械式ムーブメントと同様にテンプや歯車が組み込まれている。異なるのは動力を伝達する先が大きなレバーになっていることだ。これが動くことによって、ベローズ状のキャピラリーが圧縮され、中の液体がチューブへ流れ込む。液体の動きに夢中になってしまいそうだが、それらを実現させるムーブメント内の精緻な動きも魅力の一つである。
針やデジタル表示によって現時刻のみを指し示す時計は、直感的で分かりやすいかもしれない。しかしながら本来、時というものは絶えず流れゆくものであり、過ぎ去った時間とこれから来る時間との狭間が今である。もしかしたらこのモデルが教えてくれるのは、そんな時間以上のものなのかもしれない。