2018年のジュネーブサロンにて、ピアジェはわずか2mmという薄型の「アルティプラノ アルティメート コンセプト」を発表した。ムーブメントと一体化したケースやリューズ、極めて薄いサファイアクリスタルと、更に重要なことはこのウォッチを通じて、ピアジェの技術革新は新たなステージに達したという点だ。「アルティプラノ アルティメート コンセプト」は、実験的なマイクロエンジニアリングの域を超え、試行錯誤を経て、ついに商品化された。
手巻き(cal.900P-UC)。13石。28,800振動/時。コバルト合金製ケース(直径41mm / 厚さ2mm)。パワーリザーブ約40時間。2気圧防水。重量21.7g。42,800,000円(税別)
薄型時計を得意とするピアジェの技術力
1957年以来薄型ウォッチの匠とされるピアジェは、2014年の900P(3.65mm)、2018年の910P(4.3mm)開発において「一体化」というコンセプトを採用してきた。いずれも当時において世界最薄の機械式ウォッチで、ケース、ケースバック、地板を1つのゴールド塊から削り出し、3つのパーツを1つのケースに収める事に成功している。その最進化版がケース厚2mmの「アルティプラノ アルティメート コンセプト」だ。
コバルト合金ケースとわずか0.2mm厚のサファイアクリスタル
ゴールドを用いるにはあまりにも薄いケースのため、耐久性が高いコバルト合金が新たに採用された。この素材は強度がゴールドの2.3倍ほどあり、今までと同じ工具では製作が難しい。他の部品も全てサイズを見直し、例えば歯車は従来の0.20mmから0.12mmにまで薄くし、サファイアクリスタルは標準的なウォッチでの通常サイズ1mmから80%削剝して、信じがたいほどの薄さ-わずか0.2mmまで薄型化した。
薄いウエハースのようだが衝撃にも堅牢
針に対しても新たなアプローチを採用した。文字盤と2本の針をブリッジ(受け)の上に配置する代わりに、ブリッジの下に文字盤を配したことで、衝撃を受け剛健なクリスタルと接触しても、理論上は部品が保護されるのだ。
部品数は多いが妥協のない完璧な仕上げ
「アルティプラノ アルティメート コンセプト」はわずか2mmという薄さだが、部品の数は283個にも及び(基本的な手巻ウォッチより少なくとも100個は多い)、究極の薄さを実現するために顕微鏡レベルの極めて小さいサイズの部品が使用されている。にもかかわらず、精度、信頼性、堅牢性に対するピアジェの厳格な基準は厳しく守られた。同様に、サンレイ仕上げやサテン仕上げ、受けの面取り・ポリッシュをしてムーブメントを飾り、ケースと地板の部分には高度なPVD処理で見た目も美しく保たれている。手作業で行う精巧な装飾は、いささかも失われていない。
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