世界最薄の光発電エコ・ドライブムーブメントを搭載した「シチズン エコ・ドライブ ワン」から、ケースとバンドにシチズン独自の表面硬化技術であるデュラテクトDLCを施した数量限定モデルが発売される。2020年6月18日に発売予定だ。
シチズンの「エコ・ドライブ」とは
シチズンが持つ光発電時計の歴史は古い。1976年、同社は世界で初めてアナログ式の光発電時計「クリストロン ソーラーセル」を開発した。太陽光や室内のわずかな光を電気に換えて時計の動力とし、余った電気を二次電池に蓄えるテクノロジーは「エコ・ドライブ」と名付けられた。定期的な電池交換をする必要がないこの仕組みは環境保護の観点からも高評価を受け、日本では96年に腕時計として初めて「エコマーク商品」に認定された。2014年にはシチズンの「エコ・ドライブ」を搭載した製品の普及、会社としての環境への取り組みが評価され、時計業界で初めて「エコマークアワード 金賞」を受賞。まさに“エコ”なムーブメントなのだ。
アナログ式光発電時計として世界最薄、厚さ1.00mmのムーブメント
わずか1.00mm（設計値）という非常に薄いムーブメントには、85個もの部品が内包されている。過度な機能や華美な装飾を極限まで削ぎ落とすことで、時計の美しさをシンプルに表現することを目指したのだ。限られたスペースに必要なパーツを収めるために、構造や加工方法を根本から見直している。
たとえば、時計の心臓部であるローター（モーターの回転子）は通常の3体構造のまま、厚さ1.00mmのムーブメントに収めることは不可能だ。そこで、これを2体構造にし、今までにない溶接技法で大幅なサイズダウンを図っている。コイルや二次電池においても試行錯誤が繰り返され、時計作りの常識を超えた構造が実現した。
「薄さ」と「強さ」を両立させる素材と硬化技術
通常、薄さを追求すると強度に問題が出てくる。これまで発表されてきたモデルに関しても、シチズンはサーメットやアルティックといった硬度の高い素材を採用することでその問題を克服しようとしてきた。今回「シチズン エコ・ドライブ ワン」スーパーチタニウム™モデルで薄さと強さを両立するために採用されたのは、デュラテクトDLCだ。デュラテクトとは、腕時計のケースやバンドの素材表面に特殊な加工処理を施すことで、キズから時計本来の美しさを守るシチズン独自の表面硬化技術の総称で、シチズンはこのデュラテクトで多くの特許を取得している。デュラテクトは大きく3つに分けられ、それぞれ腕時計の目的に合わせたデュラテクトを施すことで、必要な硬度や表現したい色調などを生み出すことができるのだ。数あるデュラテクトの中でも素材をコーティングする技術として優れた力を発揮するのが、この「デュラテクトDLC」である。
DLCは一般的にも使用されている技術で、Diamond-Like Carbonの略語である。キズに強いだけでなく、触り心地が非常に滑らかなのが特徴だ。シチズンのデュラテクトDLCは一般的なDLCとは異なり、中間素材に徹底的にこだわることで密着性を向上し、はがれにくく耐久性にも優れる。さらに硬さだけでなく美しさも追求し、豊かな発色を実現した。シチズンは業界の中でもいち早く腕時計にDLCを採用しているのだ。
シチズン独自のスーパーチタニウム™は純チタニウムにデュラテクトを施し、ステンレスの約5倍以上の硬さを実現。軽さと美しさ、耐久性を併せ持つ素材である。キズが重なることによって、金属が柔らかな風合いを増す時計の良さとはまた別の楽しみ方があり、モダンでタフな実用時計として活躍するだろう。
幾何学パターンとピンクゴールドカラーのコントラスト
光発電エコ・ドライブ。フル充電時約12ヶ月可動。スーパーチタニウム™+デュラテクトDLC（直径36.5mm、厚さ3.5mm）。日常生活用防水。53万円（税別）。
素材の持つ美しい艶を生かすため、非常にシンプルなデザインとなっている。3.5mmの厚さを実現したブラックカラーのケースに、文字盤の繊細な幾何学パターンと、部分的にあしらったピンクゴールドカラーが組み合わさることで、印象的なコントラストを作っている。直径36.5mmのケースは男女問わず快適に使うことができるサイズだ。世界限定200本の生産となる。
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