創立15周年を迎えたローマン・ゴティエの新作「インサイトマイクロローター・スケルトン」

2020.09.08

2005年のブランド誕生以来、高い評価を誇るローマン・ゴティエは「手作業の仕上げ」を堪能できる新作「インサイトマイクロローター・スケルトン」を発表する。

インサイトマイクロローター・スケルトン

ローマン・ゴティエ「インサイトマイクロローター・スケルトン」
自動巻き。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。18KRG(直径39.5mm、厚さ12.9mm)。50m防水。1370万円(税別)。


スケルトン化されたインサイトマイクロローター

インサイトマイクロローター・スケルトン

搭載されたマイクロローターは文字盤側、日の裏側のどちらからでも鑑賞することができる。摩擦を最小限に抑えるため、ベアリングにはルビーを使用。そのためなめらかかつ静かに動くのだ。

 22Kゴールド製の両方向巻き上げマイクロローターをムーブメントに搭載した「インサイトマイクロローター」。今回このモデルがスケルトン化されたのは、全体のバランスを考慮した上で、最もスケルトン化に向いていると判断されたからだ。「プレステージHM」や「プレステージHMS」はスケルトン化するとスペースが大きく空いてしまい、逆に「ロジカルワン」はほとんどスケルトン化する部分がなくなってしまう。さらにローマン・ゴティエ氏は次のように述べている。

「受け(ブリッジ)の形、テンプやマイクロローターの位置、香箱と歯車のレイアウトから、このムーブメントをスケルトン化することに新たな可能性を感じました。隠れていたディテールが見えることでさらなる感動をもたらすことができるのではないかと。」


250時間以上を費やす手作業での面取り

インサイトマイクロローター・スケルトン

シースルーバックからはムーブメントをより鑑賞することができる。エレガントな装飾が施された主ゼンマイと歯車はスケルトン化によって鑑賞しやすくなった。受け(ブリッジ)が描く曲線は、それらに取り付けられた直線状のプレートと完璧なバランスを見せる。

 地板と8個の受け(ブリッジ)には、グレード5のチタンが採用。これまでは真鍮製だったこれらの部品がチタンに変更されたのは、スケルトン化により必要となった強度と軽さを確保するためだという。これにより、ムーブメントの重量は28gから16gに。大幅な軽量化に成功している。またこのグレード5のチタンはガルバニック(メッキ)処理なしでも自然な色味を実現し、手作業で磨きを施すことができる。

 ローマン・ゴティエは誕生以来、手作業による仕上げで高い評価を受けている。そのひとつが面取りだ。その作業は次のような工程で行われる。

①スチールのやすりで丸みを帯びた面取りを行う
②アルミナ(金属アルミニウムの原料)で面を整える
③エメリーペーパーを用いて仕上げる。
④ジャンシャン(ジュウ渓谷に自生するリンドウの1種、和名ゲンチアナ)の茎を乾燥させた棒とダイヤモンドペーストを使用して磨く

 受け(ブリッジ)と地板のスケルトン化は、高いスキルを持つ面取りのチームをもってしても、初めての取り組みばかりだったという。まずスケルトン化に伴い、156もの角が生まれる。特に内側の角は道具が入りにくく、困難を極めた。さらにチタン特有の素材の問題もつきまとう。加工が難しいチタンは、面取りの作業も非常に困難だ。真鍮と比べるとすべての作業に時間がかかる上、時には同じ工程を繰り返さなければならなかったという。

 ローマン・ゴティエの面取りのスペシャリストの手を持ってしても、地板と8個の受け(ブリッジ)に面取りを施すのに250時間以上かかるというのだ。その他のパーツに、ハンドフロスティングやサーキュラーグレイン、スネイル仕上げなどの装飾を施すには、さらに100時間以上を費やす。


素材と仕上げを選択できるカスタムオーダーモデル

 本作の魅力のひとつに、カスタムオーダーモデルであることが挙げられる。オーダーが可能なのはケース、文字盤、ムーブメント、ストラップ、バックルだ。文字盤でカスタマイズできるのは、時分秒針の素材と色、グランフーエナメル文字盤の仕上げ、インデックス。ムーブメントにおいては、地板と受け(ブリッジ)の面取り面の仕上げ、プレート上にエングレービングされるテキストだ。ケースではその素材を18Kレッドゴールド、18Kホワイトゴールド、プラチナ、ナチュラルチタン、ブラックチタンの中から選ぶことができる。ストラップは素材と色、さらにバックルの種類も選択可能。カスタムオーダーとはいえ、自分好みの1本を作り上げられる充実っぷりだ。

 また、このカスタムオーダーは、中世の西洋貴族文化における「顧客と時計師」のような関係を築き、顧客のオーダーに応える取り組みの一環であるという。ローマン・ゴティエは「ロジカル・ワン」でも、グラン・フー エナメル文字盤の色選択を可能にしたばかり。カスタムメイドの自由度をさらに広げ、時計を通じてより深い関係を顧客と結ぼうとする同社の強い意思を感じる。



Contact info: スイスプライムブランズ Tel.03-4360-8669


高級腕時計にチタンケースという概念をもたらしたローマン・ゴティエ


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