F.A.ランゲの工房設立175周年を記念し、A.ランゲ&ゾーネは3種類の記念モデルを発表した。そのうちの1種類が「1815フラッハ・ハニーゴールド”F.A.ランゲへのオマージュ”」だ。ハニーゴールド製ケースとエナメルダイアルを採用するこのモデルは、ムーブメントに粒状感を持たせた特別な仕上げが施される。世界限定175本での販売であり、発売予定時期は2020年9月だ。
ランゲ製懐中時計に倣った、シンプルながら強いメッセージを持つ記念モデル
1845年12月7日、フェルディナント・アドルフ・ランゲ氏が、若干30歳にして自らの懐中時計工房を開くという夢を叶えた。それと同時に、かつて銀の採掘で栄えたグラスヒュッテの町に活気が戻ってきた。今に続くザクセン精密時計産業の始まりである。その後1948年、ドイツの時計産業は国有化され、「ランゲ」の名前は一時期姿を消したが、1990年にその末裔であるウォルター・ランゲ氏とギュンター・ブリュームライン氏によって、「A.ランゲ&ゾーネ」として華々しく復活した。そして工房設立から175周年を迎える今年、同社は3種類の記念モデルを発表した。いずれもF.A.ランゲの誕生年を冠した「1815」シリーズからのラインナップとなる。
「1815」は、同社初のシンプルな3針モデルとしてリリースされ、工房創設当時の懐中時計と共通するデザインを随所にあしらったコレクションだ。アラビア数字インデックス、リューズから90°位置にスモールセコンドを配置するサボネット様式、そして時計の精度向上と共に普及した、鉄道を想起させるレイルウェイミニッツサークルなど、クラシカルにまとめ上げられている。
今回発表された記念モデルのうちの1本が、「1815フラッハ・ハニーゴールド”F.A.ランゲへのオマージュ”」である。通常モデルとしてはラインナップされていない2針モデルであり、そのシンプルさがより強調されている。記念モデルとして相応しく、外装とムーブメントには大幅なアップデートが加えられている。
ケース素材には、同社が専用使用権を有するハニーゴールドが使用されている。この素材は、特殊な配合と熱処理によって、通常の18K合金よりも硬く傷つきにくい特徴を持つ。ダイアルには、エナメルが採用されており、ハニーゴールドの色合いと相まって、暖かみのある印象に仕上がっている。また、時分針はケースに合わせたハニーゴールド製だ。ケースと同色の針を用いた組み合わせは、1995年の「1815」デビュー時のモデルを彷彿とさせる。
ムーブメントは、わずか2.9mmの薄さでありながら72時間ものパワーリザーブを誇る「Cal.L093.1」を搭載する。このムーブメントには、記念モデル用に特別な仕上げが与えられている。特徴的な4分の3プレートは、グラスヒュッテストライプではなく、往年のランゲ製懐中時計に見られる粒状感を持たせた仕上げとなっている。同社ではおなじみのゴールド製チラネジ付きテンプ、ビス留め式ゴールドシャトン、テンプ受けのハンドエングレービングも当時のデザインに倣ったものだ。
シンプルながら、その中にF.A.ランゲへのリスペクトをこれでもかと詰め込んだ「1815フラッハ・ハニーゴールド”F.A.ランゲへのオマージュ”」は、まさにザクセン精密時計産業の長い歴史を祝うに相応しいモデルだといえよう。
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