ボヴェが2020年に発表した、サファイアクリスタルケースで発表した「リサイタル 26 ブレインストーム®︎ チャプター ツー」に、18Kレッドゴールド製のケースを採用した新作を発表した。独自のライティンスロープケースから鑑賞できる立体的な造形のムーブメントは、圧巻の仕上がりだ。
新たなケースをまとうブレインストーム®︎
ボヴェは2021年の新作として発表したのが、「リサイタル 26 ブレインストーム チャプター ツー」の新しいバージョンだ。サファイアクリスタル製のケースを採用していたオリジナルモデルに対し、今回発表されたモデルでは18Kレッドゴールド製のケースを採用することで、全く異なる印象を与えている。明瞭で軽快なイメージのサファイアクリスタルとは対照的に、重厚感漂う荘厳な外観を持つ今作は、ボヴェが誇るハイエンドウォッチメイキングを体現する作品なのだ。
「リサイタル 26 ブレインストーム®︎ チャプター ツー レッドゴールド」の特徴的な要素のひとつが「ライティングスロープ」ケースを採用している点だ。これはオーナーのパスカル・ラフィが2016年に構想した、視認性を高めるために独特な形状を持たせたケースである。側面を12時側から6時側へ傾斜させ、ドーム状のサファイアクリスタル風防を組み合わせることで、ダイアル面に対して傾いた状態でも直感的な読み取りを可能にするというものだ。曲面を描いた立体的な造形のダイアルや針により、この工夫が最大限に活かされている。
手巻き(Cal.17DM06-DT)。2万1600振動/時。パワーリザーブ約120時間。18KRG(直径46mm)。30m防水。世界限定15本(各ダイアル5本)。4576万円(税込み)。
メカニズムを隅々まで堪能
このモデルのために開発された新キャリバー、17DM06-DTは、時分針の他に特許取得済みの両面フライングトゥールビヨンと、24都市を記すディスクを備えた第2時間帯表示に加え、南北両半球から見た月を示すムーンフェイズを搭載している。全てのディスプレイをコンパクトに抑えてバランス良く配置し、同時にメカニズムを鑑賞できる設計を持つ。ドーム型のダイアルの素材は、写真のブルークォーツの他にグリーンクォーツ、ブルーアベンチュリンが用意されており、自分好みの素材やカラーで製作するカスタムオプションを選択することも可能だ。
約5日間ものパワーリザーブを備えるひとつの香箱から輪列から伝わるトルクは、エネルギーコントロール機構を通して一定となり、2万1600振動/時で回転するフライングトゥールビヨンの精度を向上させている。127年に1日の誤差しか生じないムーンフェイズのディスクと、24時間で1回転するダイムゾーンディスプレイは、それぞれがドーム型になっており「放射誘導システム」という特許を取得したメカニズムによって回転している。3つのルビーでつくられたローラーが各ドームの円周上に配置され、重さのある回転体を安定させる役割を持つ。
複雑な機構はもちろんだが、このムーブメントの見所は装飾にもある。スケルトナイズされた地板や受けを含む数々のパーツには、手作業によるエングレービングが施されており、平坦な面のみならず鏡面や垂直面にまで、きらびやかな光を放つ「割れたガラス」をモチーフにした彫刻が隅々にまで施されているのは驚きだ。磨き上げられたピラーや、繊細なサテン仕上げのパーツが、まばゆい光を反射する。
今作を含む「リサイタル 26 ブレインストーム®︎ チャプター ツー」のムーブメントの製作は60点のみに限定されており、そのうちの30個をサファイアクリスタル製と18Kレッドゴールド製に半分ずつ与えられる。3種類のダイアルのバリエーションごとに5点づつ製作され、残りはカスタムオーダーが可能な枠として用意されているそうだ。
ボヴェが持つ独自の芸術性
1822年からの非常に長い歴史を継承するボヴェは、その名声にふさわしい機械式時計の製造や美術的な装飾、革新的なものを生み出すことを誇りとしてきた。現在ボヴェのオーナーを務めるパスカル・ラフィは、スイスの自社ワークショップ内で、時計の考案から部品製作までを統括。
彼らが持つ技術力の高さを証明するものとして、数多くのモデルがジュネーブ時計グランプリ(GPHG)にノミネートされている点が挙げられる。2020年ノミネートされた本作のオリジナルモデルは、優れた機械式時計に送られる「メカニカルエクセプション賞」を受賞した。
Contact info: Bovet/ボヴェ(DKSH ジャパン) Tel.03-5441‐4515
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