グランドセイコーはセイコー創業140周年を記念し、マスターピースコレクションの新作を発表した。何層にも塗装を重ねることで、“日本一美しい星空”と評される信州・阿智村の星空を再現したダイアルが目を引く1本だ。プラチナケースには放射状の模様を手作業で施した。世界限定50本で、2021年8月6日から発売開始する。
星空をイメージした深みのあるダイアル
グランドセイコーは2021年、セイコーが創業140周年を迎えたことを記念し、1年を通じて限定モデルを製作している。その最新作が、世界限定50本の「マスターピースコレクション セイコー創業140周年記念限定モデル SBGZ007」だ。
セイコーの創業者である服部金太郎は「常に時代の1歩先を行く」という信条のもとで、常に最高峰の時計を製作することを目指してきた。その考えを受け継ぎ、セイコーは正確さ、見やすさ、そして美しさを備える腕時計の本質を追求するため、真摯なものづくりを行っている。セイコー独自のメカニズムを取り入れ、内外装ともに美しい手仕上げを施した本作は、まさに同氏の信条を具現化していると言える。
手巻きスプリングドライブ (Cal.9R02)。39石。パワーリザーブ約84時間。Ptケース(直径38.5mm、厚さ9.8mm)。3気圧防水。世界限定50本。880万円(税込み)。2021年8月6日発売予定。
今回の新作では、“日本一美しい星空”と評される信州に位置する阿智村の星空を、ダイアルとケース全体でダイナミックに表現している。夜空のように深みのあるダイアルは、凹凸をつけたダイアルのベースとなる下地に、メッキや塗料を何層にも重ねることによって、ラメ入りの塗料とは全く異なる輝きを実現した。これは同社では「スプリングドライブ8Days」にも使用されている技法で、熟練の手仕事が要求される。
時分針とインデックスには14Kホワイトゴールドを採用。初代グランドセイコーから継承する細いバーインデックスと剣型の針には鋭い面取りが施され、鏡面部分が美しい輝きを放つ。ダイアルの6時位置には、SDマーク(Special Dial=金無垢のインデックスを採用していることを証明するマーク)があり、このモデルの特別性を物語っている。
職人技が活かされたプラチナケース
信州の星空の美しさはケースにまで再現された。厚さ10mmを切る、薄型のプラチナ950製ケースのベゼルやラグ、側面には、星の輝きが広がる様子をイメージした放射状の模様が施されている。はじめにザラツ研磨で歪みなく鏡面に仕上げた後、熟練の彫金師による繊細な手作業によって、1本1本刻まれている。そのため、ケースの模様はふたつとして同じパターンが存在しない。
信州の地で生み出されるムーブメント
本作は、セイコーが誇る高級時計部門「マイクロアーティスト工房」が手掛けるCal.9R02を搭載する。同社独自の駆動方式であるスプリングドライブを採用する手巻きムーブメントだ。
ひとつの香箱に薄くて長い2本の主ゼンマイを並列に重ねた「デュアル・スプリング・バレル」と、主ゼンマイのトルクを使って自らで巻き上げを行う「トルクリターンシステム」を併載することで、約84時間のパワーリザーブを実現している。にもかかわらずムーブメント単体の厚さは4.02mmで、現行のグランドセイコー用のスプリングドライブの中でも最も薄い。結果9.8mmの薄型ケースに収まり、スリムなケースデザインを実現した。
また、マイクロアーティスト工房の職人たちは、パーツの仕上げにも力を注いだ。トランスパレント仕様になった裏蓋からは、輪列を覆うブリッジと穴石の面取り部分に施された鏡面仕上げを鑑賞することができる。広いブリッジの表面全体に筋目を入れることで、青焼されたネジやルビーがくっきりと目に映る。
下部にネジ留めされた18Kイエローゴールド製のプレートには「Micro Artist」の文字がエングレービングされているが、購入者の希望で任意の文字にカスタマイズすることが可能だ。
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