2021年7月13日、A.ランゲ&ゾーネは、3モデル4種類の新作モデルを発表した。手作業で装飾を施した「カバレット・トゥールビヨン “ハンドヴェルクスクンスト”」、誕生20周年を祝う「ランゲマティック・パーペチュアル」のブルーダイアルモデル2種類、そして18Kピンクゴールドのケースにゴールドストーンダイアルを組み合わせた「サクソニア・フラッハ」の4種類だ。それぞれ限定モデルとして展開される。
注目したい4本の限定モデル
A.ランゲ&ゾーネは2021年4月に続いて、新たに複数の新作を発表した。今回発表された3モデル4種類は全て限定モデルとして展開されるため、総じて希少性が高いアイテムである。
手作業による装飾が魅力的な「カバレット・トゥールビヨン “ハンドヴェルクスクンスト”」に、ブルーダイアルを採用した「ランゲマティック・パーペチュアル」の20周年記念モデル、そしてゴールドストーンを18Kピンクゴールドのケースに閉じ込めた「サクソニア・フラッハ」だ。目を見張るような美しさと高い芸術性で、A. ランゲ&ゾーネのコレクションをより一層充実させた。
復活を果たしたカバレット
同社のコレクションでは珍しく、角型ケースを採用する「カバレット」をベースとし、トゥールビヨンを搭載したのが「カバレット・トゥールビヨン」だ。
手巻き(Cal.L042.1)。45石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約120時間。Ptケース(縦39.2×横29.5mm、厚さ10.3mm)。3気圧防水。世界限定30本。参考価格31万5000ユーロ(ドイツVAT19%含む)。
このモデルの第1作は2008年に発表され、A.ランゲ&ゾーネの歴史に残る画期的な機構を備えていた。リュウズを引くと、回転するキャリッジ内にあるテンプを一時的に停止させ、また押し戻すと瞬時に始動するというもの。複雑なレバーが切り替え機構と連動し、トゥールビヨンでありながら秒停止機能を搭載することに成功したのだ。
そして2021年、このカバレット・トゥールビヨンが美しい装飾をまとって復活した。モデル名に記された「ハンドヴェルクスクンスト」はドイツ語で「工芸美術」を意味し、手作業によって装飾を施した特別なモデルであることを表す。
今回の新作の特別な要素として、第一にダイアルが挙げられる。ホワイトゴールド製のベースに半透明のエナメル層を重ねることでダイアル表面を立体的に見せ、中央部にはダイヤモンド模様が施されている。規則的なパターンであるためギヨシェ彫りのようだが、実際はエングレーバーが手で彫ったものだ。わずかなズレでも目立ってしまうため、非常に高度なエングレービング技能が求められる。
スモールセコンドとパワーリザーブ表示のサブダイアルは別体で製作される。表面はロジウムコーティングで仕上げられており、鏡面のホワイトゴールド針と組み合わせることで視認性を上げている。また6時位置の窓からのぞかせるトゥールビヨンのブリッジには、難易度が高いとされるブラックポリッシュ仕上げが施されている。
縦39.2mm、横29.5mmのプラチナ製レクタンギュラーケースには、専用に設計された角型ムーブメント、Cal.L042.1が隙間なく収まっている。トゥールビヨンと中間車の受けには、ダイアルの中央部同様にダイヤモンド模様が彫られ、トランスパレント仕様のケースバックからもこのモデルの特別感を味わうことができるのだ。
誕生20周年を祝うブルーダイアル
2001年に第1作が発表された「ランゲマティック・パーペチュアルカレンダー」は、永久カレンダーとアウトサイズデイトを組み合わせた初のモデルとして誕生した。リュウズを引くと秒針が帰零するゼロリセット機能を備え、メインの調整プッシャーではカレンダー機能を一斉に進めることができる、便利な機構を備えている。
それから20年を経た2021年、ブルーダイアルをまとう2本の限定モデルが新たに発表された。それぞれ50本限定で展開される本作は、ケースや針、ローマンインデックスなどがホワイトゴールドとピンクゴールドで統一されている。
自動巻き(Cal.L922.1)。43石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約46時間。左:18KWGケース、右:18KPGケース(直径38.5mm、厚さ10.2mm)。世界限定各50本。1098万9000円(税込み)。
深いブルーカラーのダイアルはどちらの仕様でもシルバー無垢製で、細かなフルーティング模様が型押しされている。時分針以外にも曜日、月表示に蓄光塗料が塗布されているため、夜間の視認性も確保。クラシカルな外観ながら、実用性も考えられているのだ。
搭載するムーブメントはCal.L922.1。21Kゴールドとプラチナ製の分銅を組み合わせたローターは、4分の3プレートに取り付けられており、全体の厚みは5.7mmに抑えられている。細部に至るまで職人の手によって完成されたメカニズムは、芸術品と言っても過言ではないだろう。
星空のような輝き
手巻き、2針という極限までシンプルさを追求した「サクソニア・フラッハ」は、ダイアルの質感を際立たせるにはふさわしいモデルだ。今回発表された50本限定エディションは、ピンクゴールドのケースとゴールドストーンのダイアルを組み合わせ、星々が輝く夜空を眺めているかのような優美な外観である。
手巻き(Cal.L093.1)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KPGケース(直径40mm、厚さ6.2mm)。世界限定50本。321万2000円(税込み)。
サクソニア・フラッハの完成されたデザインは"less is more"、すなわち「絞り込む」ことによって価値が高まるという思想から生まれた。直径40mm、厚さ6.2mmの薄型ケースは、独特の丸みを持つ細いラグによって手元に心地よく収まる。2018年に同様のダイアルのホワイトゴールドモデルが発売されたが、今作はそのピンクゴールドモデル。ケースやインデックス、針、ピンバックルの素材を統一し、気品を漂わせる。
スリムなケースに収められたダイアルは、シルバー無垢のベースに、非常に薄いゴールドストーン層を重ねたもの。ゴールドストーンの表面には何千もの酸化銅の結晶がちりばめられており、そのひと粒ひと粒がダイアルに差し込む光に反射することで、満天の星空を想わせるような輝きを放つのだ。
トランスパレント仕様のケースバックからは、A.ランゲ&ゾーネのムーブメントで最も薄いCal.L093.1をじっくりと鑑賞することができる。手巻きのシンプルな構造で、厚さはわずか2.9mmでありながら、パワーリザーブは約72時間だ。4分の3プレートやテンプ受けの装飾、シャトン留めの受け石などは同ブランドを代表する要素であり、高い品質を保証する。
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