「時間」をアートのテーマとして捉え、ユニークな時計作りを行ってきたフランク ミュラーの世界観を伝える展覧会が開催される。これはカタログ通販大手のフェリシモが、兵庫県神戸市で2021年10月22日に開館する「フェリシモ チョコレートミュージアム」の企画展の第1回目として予定されているものだ。
フェリシモ チョコレートミュージアム企画展「The flow of sweet time ―FRANCK MULLER至福の時―」
時間:11時~20時(日曜は18時まで)
場所:フェリシモ チョコレート ミュージアム内(神戸市中央区新港町7番1号 フェリシモ本社2階)
料金:大人一般1500円 ※2022年3月21日購入分まで開館記念価格1000円
予約:公式ウェブサイト https://www.felissimo.co.jp/chocolatemuseum/ より事前予約が必要
フランク ミュラーが提案する「豊かなひと時」を味わう空間
フランク ミュラーといえば、複雑時計ブームを巻き起こした時計業界のイノベーターである。時計産業の盛んなスイス、ラ・ショー・ド・フォンに1958年に生まれた彼は、厳格なスイス人の父から精密機械を学び、陽気なイタリア人の母から美しいものを愛でる感覚を授けられて育った。フランク ミュラーが作り出す腕時計の魅力は高い技術力とデザイン美の融合にある。そのアイコンのひとつに、樽形ケースの「トノウ カーベックス」がある。これはアール・デコの時代に生まれた時計ケースの形状をよみがえらせるとともに、立体感を与えて装飾性を高め、独自の技術で実用性まで強化されたものだ。フランク ミュラーは生産に手間のかかるこのケースに複雑機構である永久カレンダーやトゥールビヨンのほか、ランダムに針が動く奇抜な「クレイジー アワーズ」などを搭載し、量産まで実現させた。また大胆な色彩や、独自の書体「ビザン数字」の導入など、遊び心あふれるデザイン性もフランク ミュラーの特徴である。
そんな"時計界のエンターテイナー"ことフランク ミュラーの技術力に迫り、そして氏の描く「豊かなひと時」を味わえるのが、今回の企画展「The flow of sweet time ―FRANCK MULLER至福の時―」だ。同展では前述した「トノウ カーベックス」のケースや風防の加工方法をはじめ、80以上ものバリエーション豊かな文字盤や、ムーブメントのパーツなどが展示される。
同じ会場において、フランク ミュラーのスイーツ部門「フランク ミュラー パティスリー」の作品も展示される。フランク ミュラーは時計ブランド設立の26年後となる2017年より、時計作りの哲学を継承しながら、手作りの少量生産でスイーツ製造を行っている。フランク ミュラーの出身地であるスイスはチョコレート大国であることから、特にチョコレート商品が豊富だ。ミュージアムショップでは、これらの既存商品の一部のほか、企画展限定の雑貨アイテムも販売される。
ミュージアムショップで購入可能なアイテムの一例
宮城・加美の酒蔵がフランク ミュラー専用に作り上げた「FRANCK MULLER純米大吟醸」と、ごく少量の酒粕を隠し味に使用した生チョコレート。フランク ミュラーオリジナルのお猪口入り。1セット2個入り5076円(税込み)。
フランク ミュラーとフェリシモのコラボレーションで作られたミュージアムショップ限定商品。96ピースのウッドピースパズル。各1セット6500円(税込み)。
アートディレクター澁谷克彦氏が装丁を手掛け、比較芸術を専門とする東京大学大学院総合文化研究科教授の三浦篤氏による寄稿文を掲載した企画展の公式図録。4110円(税込み)。
フランク ミュラー×フェリシモ、コラボレーションの経緯
本企画展では「フランク ミュラー パティスリー」を味わうためのテーブルコーディネートも紹介されている。この展示で用いられるのが、同じくフランク ミュラーから派生した「フランク ミュラー フューチャー フォーム」の食器や家具類だ。実はこれら時計以外のアイテムに関してはフランク ミュラー ジャパン発として作られているものが多い。同社(代理店:ワールド通商)の河合寿也代表は「機械式時計はスイスの伝統工芸品として知られているが、フランク ミュラー フューチャー フォームではすべてのアイテムに日本の伝統工芸品を使っている。日本の伝統工芸が廃れつつあるあるなか、日本のものづくりに光を当て、かつ職人同士励まし合いたいという気持ちで時計以外の取り組みにも力を入れている」と説明する。スイーツアイテムにも同じ気持ちが宿っており、例えば大吟醸ショコラは隠し味に日本酒を用いて、器であるお猪口には瀬戸焼を採用している。さらに器には"MADE IN JAPAN"ではなく、"MADE IN SETO"と記す。世界中のフランク ミュラー愛用者に、地域にまで興味を持ってもらいたいという思いからである。
こうしたユニークな取り組みに、チョコレートアイテムに注力するフェリシモより今回の提案があり、本企画展が実現した。フェリシモが拠点を置く神戸は、日本におけるバレンタインデーやウイスキーボンボンの発祥地であり、食文化にはチョコレートが欠かせない。フェリシモは1996年から世界中の珍しいチョコレートの発掘に取り組み、250ブランド以上を日本に初上陸させてきた。その実績が今回のフェリシモ チョコレート ミュージアムの開館へとつながった。同館ではチョコレートやカカオに関する歴史や情報が伝えられる。その他、1万2000個以上にのぼるチョコレートパッケージや、さまざまなジャンルのアートとのコラボレーション作品なども展示される。
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