グランドセイコーはウォッチズ&ワンダーズ 2022において、驚くべき新機構を搭載した、ブランド初のコンプリケーションモデル「Kodo(鼓動) コンスタントフォース・トゥールビヨン」を発表。安定した高精度を実現する世界初のメカニズムである同軸に一体化されたコンスタントフォース・トゥールビヨンを搭載し、大胆なスケルトン構造のムーブメントがそのメカニズムを露わにしている。価格は4400万円で、20本のみが製作される。
高精度と美しさを両立する、グランドセイコーの新たな未来
“新作時計の祭典”と称され、腕時計ブランドが新作発表を行うイベント、ウォッチズ&ワンダーズ 2022。ここで、ひときわ目を引き世界に衝撃を与えた1本の腕時計がある。グランドセイコーが世に送り出した、「Kodo(鼓動) コンスタントフォース・トゥールビヨン」だ。グランドセイコーとしての初のコンプリケーションウォッチである本作は、世界初の驚くべききメカニズムを備えている。
手巻き(Cal.9ST1)。44石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間(コンスタントフォース作動時間は約50時間)。Pt950×ブリリアントハードチタン製ケース(直径43.8mm、厚さ12.9mm)。10気圧防水。世界限定20本。4400万円(税込み)。2022年10月21日(金)より発売開始予定。
さかのぼること約2年前の2020年、グランドセイコーは機械式腕時計のさらなる高精度化を目指し、既成概念にとらわれない自由な発想で生まれたコンセプトムーブメント、T0 コンスタントフォース・トゥールビヨンを披露したことは記憶に新しい。その後、外装を持たなかったこのムーブメントを腕時計の形として実現するため、340を超えるパーツを全面的に見直し、22年に新型ムーブメント、キャリバー 9ST1の開発に成功したのである。
この新型ムーブメントは小型化を達成しただけでなく、より美しく、より心地良い音色を奏でる事にも成功し、従来のグランドセイコーのムーブメントよりも段違いに優れた精度安定性も実現している。本プロジェクトの開始から10年の歳月を経て、グランドセイコーは本作を世に送り出したのだ。
目を引くのは、その美しくも奥行きのある構造だろう。光と影が生み出す陰影の濃淡に美を見出す日本の感性が、外装・ムーブメントともに色濃く反映されている。スケルトン構造のキャリバー 9ST1は、ケース内に“奥行きのある空間”を生み出し、ケースの表と裏から光を透過させて影を落とす事で、豊かな表情を生み出している。
伸びやかなアーチを描く、ケースの立体的な造形は、プラチナ 950とグランドセイコー独自の外装素材である「ブリリアントハードチタン」の組み合わせにより生み出されている。職人によるザラツ研磨に基づく鏡面仕上げと筋目仕上げが施され、独創的な造形をシャープに際立たせつつ、美しい調和を生み出し、日本が大事にしてきた「心地良い間」が見事に表現されている。勿論これは、グランドセイコーでは初の試みだ。
またストラップには、日本古来の伝統技法である「なめし」の技術と「漆塗り」の技術を融合させた、「姫路 黒桟革(くろざんがわ)」を採用。審美性と耐久性の高さから、かつて武将の甲冑に用いられたものである。作法としては、職人が手作業で牛革に漆を何度も塗布し、時間をかけて光沢のある表面に仕上げるというもの。加えて、ストラップの両面に上質なクロコダイルを用いたタイプが付属している。
世界初の機構「コンスタントフォース・トゥールビヨン」
本作が搭載するムーブメント、キャリバー9ST1には、世界で初めて採用された機構であるコンスタントフォース・トゥールビヨンを備えている。
調速を行うテンプに均等なエネルギーを供給するコンスタントフォースと、重力の影響を軽減するトゥールビヨンを同軸で一体化する事で、エネルギーの損失を低減し、安定かつ効率的にエネルギーを供給するもの。またエネルギー変動を抑制し、テンプの振り角を安定させている。この同軸で一体化した機構により、これまでにない安定した高精度を実現しているのだ。
テンプが2万8800振動/時、毎秒8振動で動作することで、内側のトゥールビヨンキャリッジは滑らかに回転を行う。そして外側のコンスタントフォースキャリッジは、その回転に追従する形で1秒に1回の間隔で回転する。この構造により、コンスタントフォース機構がトゥールビヨンのキャリッジを追いかけているかのような動きを見る事ができる。
また、このテンプから生まれる8振動のハイビートの刻音と、コンスタントフォース機構から発生する1秒毎のリズムにより、16ビートのリズムを奏でる。高精度を追求する中で辿り着いたコンスタントフォース・トゥールビヨンという複雑機構が、独創的な動きと音を併せ持つ世界に類を見ない時計を生み出すこととなったのである。
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