カルティエはウォッチズ&ワンダーズ 2022で、ユニークなメカニズムを備えた新作「マス ミステリユーズ」を披露した。半円型のムーブメントが腕の動きに合わせて回転し、それが自動巻きのローターの役割も果たすのだ。
ミステリー機構を備えたカルティエの注目作
カルティエが2022年のウォッチズ&ワンダーズで発表した新作「マス ミステリユーズ」は、非常に目を引く独創的な外観を持っている。
まず注目すべきは半円型にまとめられたムーブメントだろう。しかも、その動きは非常にミステリアスであり、腕の振りに合わせて回転するようになっている。
ムーブメントにはスケルトン加工が施されており、常に不思議な動きを堪能することができる。この「マス ミステリユーズ」は、カルティエが培ってきた技術が注ぎ込まれたミステリー機構とスケルトン構造、双方が持つ魅力を兼ね備えている。
自動巻き(Cal.9801 MC)。43石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。Pt(直径43.5mm、厚さ12.64mm)。世界限定30本。3250万円(税込予価)。
まるで2本の針が空中に浮いているかのような印象を与えるミステリークロックは、時計師の高い製作技術を要するものとして位置づけられている。元時計師であり、近代マジックの父と呼ばれるジャン・ウジェール・ロベール=ウーダンが考案した作品から着想を得て、カルティエの創業者であるルイ=フランソワ・カルティエと天才時計職人モーリス・クーエが、1912年に考案したのがミステリークロックの初代「モデルA」である。
針をムーブメントに直接つなぐのではなく、金属製の鋸歯状の縁を備えた2枚の水晶盤に固定するという画期的なアイディアがベースにあり、通常は置時計の底部に収納され、ムーブメントによって作動するこの2枚のディスクは、片方のディスクが分表示、もう片方が時表示の速度で回転することにより針を動かす仕組みとなっている。ディスクの縁は隠されているため、より幻想的に見えるのだ。
芸術的な置時計としてミステリークロックは生まれたが、カルティエは2013年、ミステリークロックのメカニズムを腕時計に搭載した「ロトンド ドゥ カルティエ ミステリアス アワー スケルトン」を発表している。その後もカルティエはミステリー機構とトゥールビヨン機構を組み合わせるなどして次々と魅力的な作品を生み出してきた。
約8年の開発期間を経て発表されたムーブメント、キャリバー 9801 MC
本作に搭載されるムーブメント、キャリバー 9801 MCは、重力が腕時計の精度に与える影響を回避するという。開発期間は約8年という長い道のりだった。現在特許出願中であり、試作品が完成するまでに5通りの組み立てを要し、2種類の試作品を経て現在の形のキャリバーが完成した。
本機はムーブメントのエネルギーを受け取り、伝達や調節を司る部品はすべてローターと一体化しており、ローター本体をスケルトン仕様にして、動く様子を鑑賞できるようになっている。センター部分では自動車などにも使われる、超最先端の差動システムを搭載し、時間表示とローターを連結させないようにしている。
着用者の動作によって機構が作動すると、空中に浮かぶ針が時の流れを乱すことなく時間を表示するという技術だ。“ミステリーローター”には革新的な原理が用いられ、常にテンプが垂直の姿勢を取り続ける。そのため、このローターは不規則な速度で両方向に回転する。
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