流れる月日を可視化する、クロノブンキョウトウキョウの新作「カランドリエ Type 1」登場

2022.08.09

独立時計師・浅岡肇のセカンドブランド、クロノブンキョウトウキョウの新作、「カランドリエ Type 1」が発表された。今作は、月と日付、曜日を表示するフルカレンダーを搭載したコンプリケーションモデル。2022年8月11日(木)に同社公式ホームページにて、数量限定で販売される。

カランドリエ Type 1


何気ない会話から生まれた、フルカレンダーウォッチ

「もし無人島で暮らすことになったら何を持っていくか」とは、恐らく誰しも一度は想像したことのある問いではないだろうか。もちろん、観光地化されている場所は別として、完全に管理されていない無人島に行く機会など、並の人間にはそうそうあることではないだろう。そこで暮らすとなれば、尚更である。

 この問いに対し、独立時計師・浅岡肇が出した答えは、フルカレンダーを備えた時計であった。そして、そこからアイデアを膨らませ誕生したのが、クロノブンキョウトウキョウの新作、「カランドリエ Type 1」なのである。

カランドリエ Type 1

クロノブンキョウトウキョウ「カランドリエ Type 1」
コインエッジベゼルとカーキダイアル、アラビア数字インデックスがカジュアルな印象の「カランドリエ Type 1」。月と日付、曜日を表示するフルカレンダー仕様ながら、コンパクトな38mm径を採用し、凝縮感のあるデザインに仕上げられている。自動巻き(Cal.9122)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SS(直径38mm)。5気圧防水。数量限定。24万3000円(税込み)。

 今作は、6時位置にデイト表示の小窓、3時位置に月表示、9時位置に曜日表示を備えた、フルカレンダーウォッチである。経過する月日を可視化してくれるツールは、コンセプト通り無人島生活で有用であるに違いない。

 時計が表示するメインの情報である時刻は、他者や他のコミュニティとの社会生活を営む上でこそ、必要となるものである。それらが存在しない、あるいは存在しても小規模である場合には、より原始的に太陽を利用して時刻を認識しても支障はないはずだ。しかし、どのくらいの月日が経過したのか、もう少しでどのような季節が巡ってくるのかは、容易に知ることができない。単調な生活が続くほど実感と現実は乖離していく。いざ帰還した際に浦島太郎状態になってしまっていたらショックは大きいだろう。

カランドリエ Type 1

浅岡氏がご友人と会話した際、「無人島に持っていくとしたら」というお茶目な発想から生まれた1本。3時位置の月表示と9時位置の曜日表示は指針式となっており、それぞれどのくらい経過したのかが視覚的に分かるようになっている。複雑なカレンダー機構を持つため、早送り時には禁止時間帯への注意が必要だ。

 ダイアルはカーキ色に仕上げられ、ホワイトのインデックスとのコントラストが抜群の視認性を生み出している。インデックスにはオリジナル書体のアラビア数字が用いられており、個性を発揮するとともに、判読性を高めている。一段下がったインダイアルは、2枚のダイアルを貼り合わせることによって実現したものである。ぷっくりと厚みを持たせてプリントされたインデックス同様、ダイアルに立体感をもたらしている。

 時分針は、多くのクロノブンキョウトウキョウに採用されている、リーフ針とモダン針の組み合わせ。分針と秒針は、ボンベダイアルに合わせて先端が曲げられており、クラシカルな魅力を引き立てている。

カランドリエ Type 1

試行を重ねて完成したダイアルは2層構造となっており、メインのダイアルにサブダイアル用の2層目を貼り付けている。左右対称に配置されたインダイアルが、アールデコスタイルを引き立てている。インデックスのアラビア数字は、浅岡氏が特別に調整を加えたオリジナルフォントだ。

 特筆すべきは、新規に設計された直径38mmのケースだろう。カレンダーモジュールを追加したミヨタ製自動巻きムーブメント、キャリバー9122を搭載したことにより、ケースは厚みを増している。しかしながらそのことを感じさせないのは、ベゼルに細かく刻まれたコインエッジによるところが大きいだろう。

 どちらかと言えば、ドレッシーなデザインの多いクロノブンキョウトウキョウにおいて挑戦的とも思える意匠であり、カーキダイアルやアラビア数字インデックスと組み合わせることによりカジュアルさが与えられており、新鮮味を感じる。ミドルケースが完全な鏡面に仕上げられているのは、従来と同様に注目すべきポイントだ。

 ケースバックは、「34mm」で採用された多角形の仕様を踏襲し、5気圧防水を達成している。見た目には分かりにくいが、ボックスサファイアクリスタルも新規にデザインされており、細部まで吟味されたデザインが施されていることが分かる。

ケースバック

ケースバックは、「34mm」と同様の新デザインを採用している。ヴィンテージウォッチに範を取り、文字を環状に配している。従来の3気圧防水から5気圧防水へスペックアップしている点も見逃せない。

 今作は、2022年8月11日(木)に公式ホームページにて、数量限定で販売される。今回は日本のファン向けに先行販売する時間帯が設けられており、海外の一般販売が日本時間午後11時の中、日本向けには日本時間午後6時に販売がスタートする。世界中から注目されているが故に、販売開始数分で売り切れとなってしまうクロノブンキョウトウキョウ。今回は、日本向けの枠が用意されていることにより、比較的入手しやすいのではないだろうか。

 さて、今作を手にできたとして、実際に身に着けて無人島で暮らそうという人はどのくらいいるだろうか。恐らくゼロに等しいだろう。しかしそれは問題ではない。我々は、時計を手にしてさまざまなことに想像を巡らせる。クロノグラフを持って宇宙やF1サーキットを、あるいはダイバーズウォッチを基に未知の深海を夢想し、意識だけをそこに送り込む。カランドリエ Type 1を手にしたとき、木の幹や岩に毎日印を付けずとも、手首を傾けるだけで、「もう3か月か」とため息をつく自分に出会えるのである。



Contact info:クロノブンキョウトウキョウ https://kuronotokyo.com/


クロノブンキョウトウキョウ「クロノグラフ2」のホワイトダイアルを発表


https://www.webchronos.net/news/76125/
〝独立時計師・浅岡肇のプライベートウォッチ〟がコンセプト––「クロノトウキョウ」の魅力に迫る

https://www.webchronos.net/features/74843/
【2022年 新作】“透き漆”を施したダイアルが魅力のクロノブンキョウトウキョウ「グランド:森」が時間限定で販売

https://www.webchronos.net/news/80601/