グランドセイコーから、長野・八千穂高原に広がる白樺林を彫金で表現した「マスターピースコレクション 手巻スプリングドライブ 彫金 限定モデル」SBGZ009が発表された。スプリングドライブムーブメントを搭載したこのモデルは、世界限定50本で2023年6月9日に発売予定だ。
手巻きスプリングドライブ(Cal.9R02)。39石。パワーリザーブ約84時間。Ptケース(直径38.5mm、厚さ9.8mm)。3気圧防水。951万5000円(税込み)。世界限定50本。2023年6月9日発売予定。
白銀の白樺林を彫金で表現したマスターピースコレクションの限定モデル
長野県塩尻に工房を構え、これまでも諏訪湖や北アルプスなど信州の情景を表現してきたグランドセイコー。今回、北八ヶ岳の八千穂高原に広がる白樺の林をケースとダイアルでダイナミックに表現した新たなマスターピースが登場する。
「マスターピースコレクション 手巻スプリングドライブ 彫金 限定モデル」SBGZ009は、ザラツ研磨で磨き上げられたプラチナケースの歪みない鏡面に、熟練の職人が手作業で彫金を施している。ベゼルからダイアルにかけて繋がる深く長い彫金は、雪の中でも存在感を示す白樺の力強さからインスピレーションを受けている。
ダイアル部分はケースとリンクするメタリックなカラーを採用し、白樺の幹をイメージした凹凸の深い有機的な型打ちが施されている。太陽光を浴びてきらめく雪景色のように、光を受けるたびに腕元で輝きを放つ。
時分針とインデックスには14Kホワイトゴールドが採用されている。6時位置のSDマーク(Special Dial=金無垢のインデックスを採用したダイアル)が、このモデルが特別な1本であることを物語っている。
秒針はモデル全体と調和するグレーのテンパー針で、ダイアルの上を滑るように進み、静かな時の流れを表現する。職人の手により、ガラスの丸みに合わせて丁寧に曲げられた分・秒針は優れた視認性を実現するとともに、ダイアルの曲面と呼応して気品ある佇まいを演出している。
搭載されるムーブメントはキャリバー9R02である。現行のグランドセイコー用スプリングドライブムーブメントの中でも最も薄い厚さ4.02mmを実現しており、ケースの厚みを抑えることに貢献している。その一方、ひとつの香箱の中に薄く長い2本のゼンマイを並列に重ねた「デュアル・スプリング・バレル」と「トルクリターンシステム」を融合させた機構により、約84時間のロングパワーリザーブを実現し、高い実用性も備える。
このトルクリターンシステムとは、トルクの大きいスプリングドライブの特性を最大限に生かし、限られたエネルギーを有効に使って、時計の持続時間を延ばす独創的な機構である。トルクが大きいフル巻の状態から約48時間は、エネルギーを再利用してゼンマイを自ら巻き上げるのだ。その結果、持続時間はデュアル・スプリング・バレルと合わせて約84時間(3.5日)を実現している。
ムーブメント部品の稜線や端面、ねじ穴の周囲がどの角度から見ても輝いて見えるよう、卓越した匠の技によって鏡面仕上げが施されている。受けの平面全体にも同じく手作業で筋目仕上げが施され、鏡面部やルビーとテンパーブルーのねじが映え、研ぎ澄まされた存在感を放つ。18Kイエローゴールドのプレートには「Micro Artist」の文字が刻印されているが、この文字は購入者任意の文字にカスタマイズすることが可能だ。
近くで見ると一層、彫金の深さに陰影があることを感じられる。匠の技を生むのは、グランドセイコーの高級腕時計工房「マイクロアーティスト工房」だ。2000年に時計の技能を継承する目的でセイコーエプソン株式会社塩尻事業所内に設立された。現在は技能五輪の金メダリストや黄綬褒章受章者を含む「現代の名工」らが所属し、高い技術技能を活かして複雑時計を手掛けている。
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