ロレックスはオイスター パーペチュアル ディープシー チャレンジに続き、RLXチタン製のヨットマスターを発表した。ヨットマスターコレクションでは初の素材となり、スティール製の同様の時計に比べて約3分の1を軽量化することに成功している。セーリング競技時の使用を想定しているが、あらゆるシーンのスタイルにマッチするモデルである。
卓越した時計製造技術を取り入れたスポーツモデル
自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。RLXチタンケース(直径42.0mm、厚さ11.60mm)。100m防水。167万900円(税込み)。
着目したい点はRLXチタン製となった素材の仕上げである。チタンは加工が難しいことで知られているが、軽量と堅牢性を両立させ、素材に高級感をもたらした。サテン仕上げのマットな質感をメインに採用し、ポリッシュ仕上げ、光沢仕上げと、テクニカルサテン仕上げを組み合わせている。
マットブラックのセラクロム ベゼル インサートやオイスターブレスレットを搭載し、新たな素材でロレックスの世界を広げようとしている。マリンスポーツにおいて防水性能、精度、耐久性は高いレベルが求められる。“オイスター”は防水性だけでなく、クロノメーター性能を妨げるあらゆる事象に対する耐性も意味していることからも信頼性が高いことがうかがい知れる。
そして、本作で新たに採用されたRLXチタン素材によって、堅牢性と軽量を卓越した時計製造技術によって両立させた。
そもそもRLXチタンとは何なのか
RLX製モデルが、ヨットマスターコレクションで初めて発表された。ロレックスが特別に採用いたグレード5のチタン合金は、非常に軽い金属で高い機械的強度と耐蝕性に優れている。ケースとブレスレットに使用することで、スティール製の時計に比べて約3分の1を軽量化することに成功した。RLXチタンは加工が難しく、また特別な製造工程を導入する必要があった。
初出は2022年11月、ディープシーRef.136660の発表時で裏蓋のチタンの素材を“RLXチタン”と名付けたことにある。RLXはロレックスの略だと察することができる。チタンは1980年頃から時計業界でも使われるようになり、軽くて錆に強く、アレルギーも起こりにくいため、着用する側にとっては理想的な素材なのだが、加工が難しいことが特徴でもある。
主に2種類のチタンが時計業界では使われているがグレード2が純チタン、グレード5の合金チタンがある。本作に採用されているRLXチタンはバナジウムやアルミニウムを加えたグレード5チタンに近い組成を持つオリジナルのチタン合金である。チタンとしての特性はグレード2の方が勝るが、加工を施すにあたってはグレード5の方が高級感を出すことができる特性がある。
2019年に発表された初代モデルのデザインに忠実に両方向回転ベゼルにレイズドポリッシュ仕上げの数字と目盛入りのマットブラックセラミック製セラクロムベゼルインサートを搭載する。時間間隔を正確に読み取るために最初の15分の目盛は1分刻みになっている。ベゼルは縁に刻みが入れられているため滑りにくく、回しやすいという高い実用性も備える。
リンクと側面のセーフティキャッチ付きオイスターロッククラスプのカバーのエッジ部分にもテクニカルサテン仕上げが施されている。このクラスプでブレスレットが誤って開くことを防ぐ役割を持つ。また、イージーリンク(エクステンションリンク)を備え、ブレスレットの長さを容易に5mm延長することができる。このブレスレットはリンク内部にセラミックインサートが備えられ、手首着用時の柔軟性と耐久性を高めている。
マットブラックセラミックのベゼルとブラックダイアルを備えた本作はロレックスを代表する要素を備えつつ、同内容の時計に比べて非常に軽量という実用性も持っているので実物を見たいという人も多い一本になりそうだ。店頭で手に取るチャンスがあればぜひその軽量感を体感してほしい。
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